Grund
息苦しい。首元辺りに手を伸ばしてみるとひんやりとした鉄独特の冷たさを感じる。いつの頃だっただろう?この首輪をつけている事がオカシイことだと気がついたのは?昔はこの苦しく重い塊を誰もが付けているものだとばかり思っていた。しかし、そうではない。今、自分が置かれている環境は異質なものであり人間として扱われていない。ただ、少しだけ周りとは違う力を持っているだけと言うだけで隔離されてしまった。両親は彼を庇うどころか邪魔物を家から排出できたと喜んでいた。彼の去り際には母親の安堵した表情が彼の脳裏には焼き付いている。
いつか全ての人間に復讐をする
この言葉だけを彼は毎晩繰り返しながら浅い眠りへと入る。深い眠りに入るのは怖いのだ。何人もの人格が自分の体を乗っ取ってしまいそうで。彼の眼の下には視線を逸らしてしまいたくなるほどの黒いクマが広がっていた。虚ろな目をした彼に誰も好きこのんで近づこうともしない。近づいてしまえばきっと彼の持っている能力で殺されかねない。が、それを知ってか知らぬか白衣を着た男性が頬笑みを向け昼食が乗ったお盆を持ち近づいてくる。
久々の来客だ。いつもなら雑に投げるように置かれ汁ものがあれば殆どが飛び散りご飯も床に落ち精々二、三口食べれるぐらい。だが、今回は違った。丁寧に地面へと置かれ白い白衣を着た人間はその場に座り込む。鉄格子があると言えど彼が本気を出せば軽く赤子の手をひねるように目の前の男の首をちぎることだって可能だろう。しかし、彼の目に入ってきたのは男が微笑みながら涙している姿だった。
「・・・っ」
あまりにも唐突な出来事に言葉を能力を発する事を忘れただ、見つめるだけ。白衣の男も謝罪を口にしつつ涙を拭き再度、笑みをこちらへと向けてくる。
「僕は君たちを自由にするために来たんだ。少しでいいから僕の話しを聞いてくれないかな?」




