赤羽凛 科学者 29歳 所属 荒矧研究グループ
しばらくしないうちにクライアントの一人が死亡してしまった。一体あの薬の投与のなにが悪かったのだろうか。検体での実験投与では上手くいっていたはずなのにどうして人間だとこうも上手くいかないのだろう。副作用が強すぎるのかな?しかし、STY患者はまだまだ腐るほどいる。彼らにはこの世の中の為の犠牲になってもらわなければならない、と言っても数日はこの実験は休止しなくてはならないかな?だって、一度に人間が死んでいけば研究費どころかこの施設から追放されかねないもん。
「赤羽君・・・どうかね?」
「ええ・・・今回の実験で分かった事があります。まあ、検体は死んでしまいましたが」
「そうか・・・まあ、検体はいつでも手に入るから気にしないでくれ。それより分かった事と言うのはなんだね?」
「・・・はい。これを見て下さい」
彼女は数枚の紙を後ろに居る白髪の男性へと渡す。しばらくすると後ろに立っていた白髪の男性は笑いだす。
「こ、これは素晴らしい・・・これは・・・いいぞ。第一段階が終了間近ではないか。やはり、君にはいつも驚かされるよ」
そう言いながら白髪の男性は彼女の肩を数回揉み部屋を出て行く。彼女は彼が研究所から出て行く事を確認すると近くにあったウェットティッシュで肩を拭き始める。
「不潔、不潔、不潔。服の上からでも触られると寒気がする・・・」
新品で開けたはずのウェットティッシュはすぐさま空になってしまっていた。彼女の表情は狂気に満ちていた。
「・・・もう一人ぐらいいなくなっても大丈夫・・・よね」