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声美少女伝説  作者: yuzuki
第2章 「ぷりん王国 - 揺籃期」
17/21

第十六話 -第7回ぷりんちゃん放送局-

 ――ピンポンパンポン♪

『2年B組のサユリン、2年B組のサユリン、至急放送室までお越しください。繰り返します、2年B組の……』(←チルの校内放送)






 ♪♪♪~

『プリンちゃんのぉ、今週の一言!』


 ……先日、ワタクシは全然これっぽっちも出るつもりもなかったのに、たまたまプリン星からこの銀河系にやってきていたために、チルに呼び出されまして、都内某学校の球技大会なるものに参加して参りました。

 誰かシューズくらい貸してくれても良かったのに……。

 あ、いえいえ、なんでもないですよ!

 ところでさぁ、なんでチルが出ないでワタシが参加してたの?

 え、なに?

 チルは他の運動競技に出てたから、ルール上参加できなかったって? ルールという意味では、ワタシが出ている時点で完全にアウトだと思うんですけど。

 まぁ、ワタクシという勝利の女神が試合に参加したため、見事チームは優勝を果たしたのですが……。

 ねぇチル、あれってさぁ、ワタシ出てる 意味なかったよね? 皆にキャーキャー言われてるだけで、何もしてなかったし。てか、リッコ、表のバレーでも、裏の競技の方でもやりすぎ。メインの方の彼が、後で請求書を送るって言ってましたよ。

 それはともかく、不本意ながらも球技大会に飛び入りで参加させられまして、優勝という最高の栄誉と感動を分かち合い、ついでに最後に皆で写真撮影をして友情を深め合ってきました。

 ……え、なんですか? 嫌々って言う割に、すっごい満喫してるじゃないかって?

 チル、あくまでそれは結果論です。嫌がるプリンちゃんに、無理強いをしたという事実に変わりありません。反省してください。

 え~っと、それで、なんでしたっけ……。

 そうそう、それでですね、なんと! その日ワタクシ、驚くべきことに、運命の出会いというものを初体験しまして!

 ええそうです! ビビビッと感じちゃいました、思わずエクスタシー感じて放心しちゃってましたよ。

 はい、その話はまた後ほど、ゆっくりじっくりと、視聴者の皆さんが胸焼けして嫉妬しちゃうほど熱く語ってみたいと思います。

 ふぅ……。

 ……。

 チル、なんですか?

 チルはあくまで今日放送には参加しないつもりなんですね。

 分かりました。いいです、いいですよ、チルがそういうつもりなら……。

 チルが止めないというなら、ワタクシ、とても人様には聞かせられないような放送禁止用語連発しちゃいますよ?

 ……その目は疑ってますね? ヒメちゃんを侮ってはいけませんよ??

 ねぇみんなぁ、ちょっと聞いてくれる? 昔、そうですね、確か小学生の高学年くらいの頃なんですが、あの頃はワタクシもチルもとっても若くってウブな子だったんですが、あのですね~、ちょっとマセてきちゃってた年頃だったんですよー、一緒にチルのお家でお風呂に入ってた時、チルってば、下の毛が――

 ――ピ――ブチン!



 ♪~~


 はーい!

 皆さん、こんにちは。お久しぶりです!

 今日も『ぷりんちゃん放送局』始めていきたいと思います。司会進行役のプリンちゃんで~す、どうぞよろしく!

 実は、今日の放送はですね、ちょっと趣向を変えていきたいと思いまして。

 なんと! スペシャルゲストをお呼びしております!

 2年B組のサユリン(♂)です!

 どうぞ〜!

「……」

 ほれほれ、なんか言いなさいよ。

「……どうしてこうなった」

 知りません。たぶん、笑いの女神様に一目惚れされたんです。

 せっかくなんで、自己紹介くらいしてください。

「……今、お前が紹介したろ」

 名前だけです。

 そうですね、それではここに秘密裏に調べ上げたサユリンのマル秘プロフィールがありますので、少し読み上げていきたいと思います。

 2年B組所属、本名サユリン、性別オス。

「本名じゃねぇ! ていうか、お前らまでサユリン言うな!」

 第二中学校出身、家は学校の近所で徒歩通学、3つ下の妹がいる、現在サッカー部に所属、背番号10番、ほ~すごいですねぇ。本職はサッカーですが、先日の球技大会ではバスケの方に参加し見事優勝、MVPに輝いてますね。

 リア充死ねっ!

「おい!」

 失礼、私情を挟んでしまいました。

 成績は中の上、得意科目は体育と生物、苦手は古典、いつも昼休み前の休み時間にお弁当を食べる、好きな食べ物はミカン、今流行のフルーツ系男子ですね、好きなサッカーチームは赤いところらしい、好きなコンビニは711、好きなおにぎりの具は韓国風カルビ焼き肉、好きなお茶はアヤなんとかファルコン、好きな女性の仕草は階段を上がる時にちょっとスカートを手で押さえるところとか。

 元カノは2年D組のカッチャン、ふられた理由は『サユリンって、男らしそうなのに意外とヘタレなのね(by.カッチャン)』、初デートは水族館、ファーストキスは3丁目の公園の――

「まてまて! ちょっとまて! お前らどこまで調べてきてんだよ!?」

 ふっふっふっ、我々の放送部諜報担当捜査員の実力を舐めてもらってはいけませんよ。

 それでは次に……

「まて! 頼むから一つだけ聞かせろ!」

 もぅ、なんですか?

「どうしてオレがゲストなんだ?」

 ……。

 ……やだなぁ、たまたま近く歩いてたから捕まえてゲストに――

「うそつけ! 放送で呼びつけて、わざわざ罠まで仕掛けてんじゃねーか!」

 純朴なプリンちゃんが、そんな腹黒いことするわけないじゃないですかぁ。そーですよね、リスナーの皆さんならきっと分かってくれると信じてます。

 仕方ないですねぇ。それでは、そろそろ発表しちゃいましょう!

「……何をだ?」

 みなさ~ん! ここで重大発表がありまーすっ!

 はいちゅーもく! 聞いてくださ~い!


 ワタシとサユリン、実は付き合ってます。


「……うええーー~っ!!?」

 きゃ! 言っちゃった♪

「ちげぇーーっ!! 違う! 『言っちゃった』じゃない! そんな事実は一切ないっ!!」

 やだなぁ、照れなくたっていいじゃないですか。

「照れてない! いや、そーゆー次元の話じゃない!!」

 あの日、あんなに見つめ合って、二人で愛を語り合ったじゃないですかぁ。

「語ってねーよ! てか、寄って来るな! 近い! ちょっ……」

 カッチャンはどこまでいきましたかぁ? ワタシの方はAもBも全然オッケーなんですが、Cはちょっとまだ心の準備がほしいかなって……

「おい、チル! 唖然としてないで、早くコイツを、なんとか……おわっ!?」

 むぅ。ここでチル呼ばなくたっていいじゃないですか。あれは置物みたいな放送室の付属備品ですので、気にせず二人の愛を育みましょう。

「黙れ! 寄るな、キモい!」

 ……ひ、ひどい!

 言うに事欠いて、キモいだなんて!? ワタシとのことはお遊びだったの?!

「遊びも何も、まだ何も始まってねーよ! 黙れ、変態!!」

 むぅ……まぁ、変態であることは認めますが、こんな可愛らしいワタクシを捕まえて、その答えがキモいとは……

「み、認めんな! と、とりあえず離れろ!!」

 ちっ! 逃げられたか……。

「お前、今、本音が……」

 リスナーの皆さん、今サユリンは、放送室の隅に逃げ、怯えた子犬のようにワタシを威嚇しております。

 完全に、ヘタレですね。

「ちげぇ! おい、チルまで頷いてんじゃねーよ!」

 目の前に出された据え膳食わないなんて、ヘタレ以外何者でもないじゃないですか。

「据え膳に毒盛ってんじゃねーかよ。てか、なんで俺なんだよ?!」

 笑いの神に見初められたからです。

 どうも、ワタシが(笑いの)女神様です。

「ふざけんな! というか、オレじゃなくって、A組のミッチィとか生け贄はいくらでもいるのに、なんでオレが――」

 なんですか。あれだけのことをしておいて、自覚無しときましたか……。

 仕方ないですね~、それでは語って聞かせましょう。

 皆さん、聞いてください。

 あれはそう、忘れもしないあの日、球技大会最終日のことです。

 たまたま銀河太陽系の第三惑星付近へやってきていたワタクシは、チル達に急遽呼び出されて、またいつものようにこの学校へ遊びに来ていたわけですが。

 あ、皆さん、その節はどうもありがとうございました。また、写真焼き増ししてくださいね~。

 それでですね、その球技大会の後なんですが、ワタクシもちょっと舞い上がってた部分もあったと思うんですよ。少し油断してたら、この空気読めない男がですね、ノックもせずに入ってくるもんだから、なんてゆーかその……

 ワタクシ、お父様にもお母様にも見せたことのない大切な秘密を、友人の中でもチルしかしらない大事な秘め事を、なんとこのサユリンには知られてしまったのです!

 これもう、結婚しかないと――

「話が飛び過ぎだ!」

 ナイスツッコミです!

 チルにも勝るとも劣らない素晴らしいキレのある抜群のツッコミです。

 これはもう結婚しかありません。

「だから、なんでそうなる!?」

 嫁入り前の娘の裸見といて、何言ってんですかぁ!?

「娘言うな! お前のどこが――」

 フンだ! どこがですって?! そんなもん、上から下まで全部ですよ!

 このチルよりも大きいおっぱいの、どこが偽物だって言うんですかぁ!?

「なっ!? だ、だから、なんでお前の胸にそんなものが……」

 そんなものとはなんですか! この立派な、チルよりも大きいおっぱいが――

「だから、おもむろに服を脱ごうとするなー!」

 別に減るもんじゃないし、別にサユリンにはもう見られちゃってるし、ワタクシのこのおっぱいがチルよりも大きくて決してまがい物ではないことの証明をぉ!

「見てねーよ!」

 ――ちょ、ちょっとチル、蹴らないでって!

 全く、もぅ。

 なんですか2人して。ヒメちゃんのちょっとした、軽い冗談じゃないですか。

「お前のそれは冗談になってない」

 そんなチルまで頷いて。

 チル、あなたはどっちの味方なんですか?

「いや、どっちの味方でも、そこは止めるべきだろ、人として……」

 そうですね、冗談ではすみませんね。

 なんせワタシの裸を覗いたんですからね、サユリンは!

「だから、裸なんて見てねーよ!!」

 そうですよね、下着姿を見られるよりも恥ずかしい、深い心の傷を負わされたんですよワタクシは!

「だから、それも鍵かけてないお前が悪いんじゃねーか! そもそも、あんなとこで着替えてるお前が――」

 まぁ! 覗いたことを正当化する気ですか?!

「違う! あれはその、ヒメちゃんの方じゃなくって、もう一人の方の変態的な――」

 ひどい男です! 乙女の柔肌見といて、言い逃れしようったってそうはいきません。

 はい! 皆さん、聞きましたか~?

 このサイテーな男、サユリンは、ワタクシの裸を覗いたんですよ!?

 サユリンサイテー!

 変態~!

 はい、皆さんも言ってあげてください。

 リピートアフタミィ、『サユリンサイテ~!』


 ――サユリンサイテ~!


 皆さん素晴らしい! ベリィグッド!

 学校中の皆の心が今一つになって――

「だああ〜〜! お前ら黙れ!!」

 いいえ、黙りません。学校中の皆が黙ろうと、ワタシは黙りませんよ、声高々に宣言します、罪は罪です!

「だああーっ! 悪かった、悪かったって!! 俺が悪かったよ!」

 謝ったところで罪が消えるわけではありません。

「ていうか、全面的に俺が悪かったのか?! 違うだろ! お前だって、知られたくないことなら、もっと気をつけて人に見られないように——」

 犯罪者は皆そう言うんですぅ! 悪気はなかった、やるつもりはなかったんだ、つい魔が差しただけだって!

「うぅ〜、な、なんで俺がこんな目に……。役得も何も無かったのに……」

 自分の運命を呪ってください。

 サユリンは、そういう星のもとに生まれてきたのですよ。

 はい、そろそろサユリンがマジ泣きしそうな感じ。もう一息ですね♪

 ……ん、なんですか、チル?

 流石に可哀想だというチルの哀れみの視線が飛んできます。

 知らないんですかチル、痴漢に人権はないんですよ。

 仕方ないですね〜。そろそろ時間も押してきてますので、裁判の判決はリスナーの皆さんに委ねたいと思います。

 はーい! では皆さん!

 こんな痴漢で変態なサユリンですが、許してあげてもいいでしょうか?


 ——ザワザワザワ……


 はい、満場一致の判決。

 死刑ですね!

「うそだぁ! そんな声、絶対に聞こえてねー!」

 はい、流石に放送室からは皆さんの声は聞こえませんね。当然です。

 まぁワタクシも鬼ではないですので、このあたりで情状酌量の余地はあるかなと思います。

 では、サユリン。

「なんですかごめんなさい」

 ……ワタクシが何か言う前に謝ってますね。

 サユリンも相当反省したということで、まぁいいでしょう。ワタクシも少しイジメ過ぎた感があります。

 ですので、ワタクシのお詫びも兼ねて、最後にこれで許してあげましょう。サユリンも役得が無いと言っておりましたので。

 じゃあ、サユリン!

「な、なんですか……」

 ワタシも言い過ぎました、ごめんなさい。

「俺も悪かった、ごめんなさい……」

 はい、だから、最後に——


 ——キスしてくれたら、許してあげます。


「………………は?」

 ワタクシもさっき罵りながら、ちょっとやり過ぎたかなって思ったわけですよ。なので、少しはサユリンの大人の階段上るお手伝いくらいしてあげようかなって。

「……は? ええっ?!」

 てゆーか、もう責任とってもらおうかなって。ほら、言うじゃないの、毒を食らわば皿までって。

 なんかお皿の上に乗った極彩色の毒入りプリンのイメージが思い浮かびますが、それは気にしないでください。

 ワタクシはこれでも真剣です。

「……ええ!!? いや、だから、なんでそう……」

 ぅん〜。

 と、ワタクシは目を瞑っておねだりポーズで待ち構えます。ドキドキ。

「いや、待て! ムリ、絶対ムリだから!」

 ん〜。

「……っ!!?」

 ……。

「……」

 ……ごくり。


「…………む、無理だぁーーーっ!!!」

 ――ガラッ!


 ああ〜!

 ……ちっ。逃げられました。

 サユリンの、いくじなしぃ〜!

 はい。

 それではですね、放送をお聞きの皆さんに、最後に大切なお知らせがあります。よく聞いてくださいね。

 今後の学校生活の中で、サユリンのことは虐めたり汚いものを見るような目では決して見てはいけません。ワタクシが許しません。

 皆さん、どうか愛を持って、サユリンを構ってあげてやってください!

 大事な事なのでもう一度言います。皆さん、大きな愛を持ってサユリンをいじってあげてください!

 どうぞよろしくお願いいたします。

 ……チル、こんなところで良いですか? え、フォローになってないって?

 据え膳食わないヘタレに、もうこれ以上は何を言っても無駄ですよ。きっとワタクシがフォローしなくたって、皆さん生暖かい目でサユリンを受け入れてくれると思うので何も心配はいりません。

 チル、ここのリスナー達はね、空気の読みっぷりハンパないんですよ!

 はい、というわけで皆さん、後で彼を慰めておいてあげてください。

 それから、彼の名誉のために言っておきますが、彼が故意的に痴漢を働いたとかそういう事実は一切ないです。

 やだなぁ、あんなヘタレにそんな甲斐性あるわけないじゃないですかぁ。

 ……え、なんですかチル、全然フォローになってないって?


 ——何言ってんですか。今日の放送止めなかった時点で、チルも同罪ですよ?


 というわけで、本日の放送はこれくらいに……

 何今更慌ててんですかチル、当然ですよ、ワタクシ達は一蓮托生、毒を食らわば皿まで!

 はい、皆さん、最後にもう一言だけ!

 チルをいじる時は皆さん、是非大いなる愛を持って優しくいじってあげてください!

 それでは、最後になりましたがこの放送に関するご質問やご意見・ご感想は、掲示板への書き込みなどで受け付けておりますので、どうかよろしくお願いします。

 ……ヒメちゃんドSとか、絶対に書かないでくださいね?

 本日の放送は、ワタクシ、プリンちゃんと、スペシャルゲストの被告人サユリン(♂)でした。

 ばいば〜い、またね〜!


 ――ピ――ブチン!






〜 放送開始5分前の話 〜


 校内放送で突然呼び出された俺は、教室にいた他の友人達に追い出されるようにして、仕方なく放送室へと馳せ参じた。

 身に覚えはない。

 俺は、チル達の友人というだけで、放送部の活動とは全く関係が無い。

「おいチル。いったい何の用で——」


 ——バシャッ!


 扉を開けた瞬間、冷たい何かが顔にかかった。

「うわっ! 冷たっ!?」

「きゃー!! だ、大丈夫ですかぁ?!」

 冷たい水のようなもの、お茶か何かだろうか。反射的に目を瞑って叫び声を上げると、驚いたような女の子の声が聞こえてきた。その水をかけた張本人のようで、とても慌てた様子だった。目にも水滴が入ったようで、痛くて瞼が開けられなかった。お茶じゃねーだろ、これ……。

 チルではない、その声は聞き覚えのない女の子のものだった。顔が見えないので分からないが、たぶん俺の知らない放送部の女の子。

 しかし、なぜかその女の子の声に聞き覚えがあるような気がした。

「あ、あの! ご、ごめんなさい!! 良かったら、コレ使ってください!」

 委縮したようなその女の子の声。

 手に差し出された小さな布、拭くのに使えということらしいので遠慮なく顔を拭くのに使う。

 そもそも、部屋に入った俺にいきなり水をぶっかけるとか、その状況が理解できない。どんなことをすれば、そんな事態になりうるのか。

「おい、いったい何なんだよ——」

 文句を言おうとしたところで、それは不快な不協和音によって遮られた。

 視力が戻りつつあったその目にも、それは光となって視界と記憶の中に鮮明に焼き付けられた。


 ——パシャ!


 それはまるで、カメラのシャッター音。

「……え?」

 自分の手に持つもの、ハンカチと思われたそのやたらと柔らかくて肌触りの良い小さな布、それはまるで女の子のパンツ。

「……は? いったい、何が……」

 開けた視界には、カメラを構えた女の子の姿。

 その隣には、頭を抱えながらも申し訳なさそうにこちらを見るチル。

 そのチルと同じ女子の制服を着た小柄な女の子。その女の子の姿に、俺はとても見覚えがあった。

 忘れもしない、あの日のあの姿。あの笑顔。

 彼女はカメラを下げると、満足そうな顔で俺に向かって宣告した。


「ようこそ、私たちの城へ」


 悪魔の笑みを浮かべたお姫様が、そこにいた。






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