ラスト構図
ざわめきは、波になりきれないまま広間を漂っている。
観客たちは互いの顔を見合わせ、
答えを探している。
拍手をするべきか。
憤るべきか。
それとも、ただ帰るべきか。
決定的な合図がない。
幕引きの鐘も鳴らない。
舞台の中央。
壇上に、三人が並んでいる。
距離は近すぎず、遠すぎず。
触れはしない。
だが、切り離されてもいない。
ほんの少し、丸い影が床に落ちている。
鋭さのない輪郭。
断罪の緊張で張りつめたはずの場に、
代わりにあるのは――
空気のゆるみ。
肩から抜けた力。
呼吸の深さ。
ユーフォミアが、静かに瞬きをする。
リリエルが、口元を押さえて小さく笑う。
ライルヒルトは、二人の気配を感じながら、
まっすぐ前を見る。
王子としてではなく。
裁く者としてでもなく。
ただ、ここに立つ一人として。
甘い匂いが、かすかに残っている。
昼間に分け合った菓子の名残。
緊迫ではなく、
体温の記憶。
観客のざわめきは続く。
評価は割れるだろう。
記録は「未達」と刻まれるだろう。
だが壇上には、
崩れなかった三人がいる。
誰も退場していない。
誰も膝をついていない。
誰も、物語の犠牲になっていない。
三つの影は、横に並び、
ゆるやかに重なりそうで、
重ならない。
それでも確かに、
同じ光の中にある。
物語は失敗した。
だが、三人は成功した。




