物語の評価(メタ的結論)
王宮の高み。
観測室では、すでに水晶は沈黙している。
記録だけが残る。
国家的視点、最終評価。
予定された劇的カタルシス:失敗。
王子の威厳演出:未達。
悪役排除による浄化:未発生。
恋愛収束:曖昧。
数値は冷たい。
情け容赦なく、物語を「未完成」と断じる。
断罪は起きなかった。
悪役は消えなかった。
王子は決定的な威光を示さなかった。
緊張は解放されず、
拍手も喝采も生まれない。
国家が求めた“美しい終幕”は、
訪れなかった。
物語は、失敗した。
少なくとも、
設計図の上では。
だが――
壇上の三人の視点には、
別の記録がある。
ユーフォミアは、立っている。
孤立していない。
断罪の的にならず、
排除もされなかった。
リリエルも、そこにいる。
勝者として持ち上げられることもなく、
敗者として踏みつけられることもない。
ただ、自分の足で。
ライルヒルトもまた、
威厳の仮面を外したまま立っている。
喝采はない。
だが、偽りもない。
誰も傷つかない。
誰も消えない。
役に潰されない。
三人は、
物語の部品にならなかった。
予定された三角形は崩れた。
頂点は失われた。
だが、横並びの線は残った。
均衡は劇的ではない。
しかし、静かに安定している。
国家は評価する。
「失敗」と。
だが三人は、互いを見る。
そこには敗北の色はない。
選択したという確かさだけがある。
物語は、完成しなかった。
だが。
三人は、完成した。
役割ではなく、
人間として。
国家の物語は失敗した。
けれど。
三人の物語は、
成功した。




