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悪役令嬢は太って断罪を回避する  作者: 南蛇井


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22/30

デルガ視点:数値の最終確認

王宮塔・最上階。


観測室は薄暗く、壁一面の水晶板だけが淡く光を放っている。


壇上の様子は、魔力投影によって空中に映し出されていた。


三人の立ち姿。


観客のざわめき。


そして、そのすべてを数値化した指標。


デルガは静かに手をかざす。


水晶が反応し、最新値が浮かび上がる。


威厳指数:基準値 −3%


ほんのわずか。


だが、王子の冷厳さを示す曲線が、理論値より下に沈んでいる。


デルガの眉が動く。


次。


儚さ係数:停滞


上昇すべき局面。


断罪直前、ヒロインは最も“壊れやすく”見えなければならない。


だが、曲線は平坦。


血色の影響か。


親和性上昇の副作用か。


そして。


緊張誘発値:想定値 −12%


ここで、デルガの指が止まる。


−12%。


誤差と呼ぶには、やや大きい。


広間の空気が、張り詰めきらない理由。


最後に。


敵意収束率:拡散


本来なら、観客の視線は一方向に集束する。


悪役へ。


罪へ。


断罪の正当性へ。


だが今、感情は散っている。


困惑。


戸惑い。


微妙な共感。


デルガは目を細める。


「……まだ軌道修正は可能だ」


低く、呟く。


数値は崩壊していない。


破断もしていない。


完成率は依然として高水準。


決定的なのは、あの瞬間。


王子の宣言。


断罪の明言。


それさえ決まれば、場は引き締まる。


空気は一気に収束する。


観客は自ら感情を選び直す。


物語は“宣告の瞬間”で完成する。


それが設計だ。


デルガは水晶に映るライルヒルトを見る。


姿勢は正しい。


立ち位置も完璧。


あとは台詞。


あの一行。


「ユーフォミア、貴様の罪を――」


その瞬間、威厳指数は急上昇し、


儚さ係数は最大値へ、


緊張誘発値は理論値に到達するはず。


デルガは自分に言い聞かせる。


「問題ない」


誤差は収束する。


物語は自浄する。


完成は、目前だ。


水晶の光がゆらめく。


壇上の王子が、息を吸う。


デルガの視線が鋭くなる。


ここだ。


ここで、すべてが整う。


――整うはずだった。

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