壊される自動販売機…紙切れの国債が高値で売買される あの国
✦『壊される自動販売機』
― 紙切れの国債が高値で売買されるあの国 ―
❥第1章 無料のガリと壊れた自販機
むかしむかし、太陽の昇る国に
「お茶がタダ」の国がありました。
寿司を食べれば、ガリまで無料。
外国人は驚いて言いました。
「え? これ、サブスクじゃないの?」
――そう、日本は“世界でいちばん優しい自販機の国”。
「ありがとう」が通貨で、
「お疲れさま」が利息だった。
けれどチャットGPTの登場で、
“安心の国”には、いつの間にか
“強欲のアルゴリズム”が巣を作りはじめたのです。
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❥第2章 悪のトレンド ― 走れぬ国民
▲家が建たぬ国の怒り
2000万円で建つはずの家が、
一年後には4000万円の見積もり。
サラリーマンの夢は鉄骨だけ、
2000万円損した会社は夜逃げしました。
銀行は冷たく言います。
「屋根がない家には、融資できません」
屋根より高くなったのは、
希望のハードルでした。
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▲自転車という罠
2026年。
スマホを見ながら自転車に乗ると罰金。
歩道を走れば罰金、
車道を走っても罰金。
「どっちが正しいの?」
若者の叫びは、風に消えました。
お年寄りはよろめき、信号で転ぶ。
ニュースは淡々と伝える。
「交通事故、過去最多を更新しました」
安全のための罰金が、
不安のための税金に変わっていく――。
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▲ ラーメン屋の夜逃げと壊れた自販機
家賃が払えず夜逃げしたラーメン屋。
昨日までの湯気が、消えた。
どんぶりが冷え、夢も冷えた。
隣の自販機はツルハシで割られ、
炭酸の涙をこぼす。
警察は言いました。
「発表は控えます」
昔の日本人は、
腹が立っても自販機だけは壊さなかった。
じゃあ今、誰が壊しているの?
日本人? それとも――。
ニュースは一分で終わり、
SNSでは一夜で忘れられた。
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▲それでも笑う日本人
家は建たず、自転車は減り、
走るたびに罰金を取られても、
日本人は笑う。
「ま、しゃーないな…」
世界はそれを見て言う。
“Oh… Samurai Calm.”
けれどその笑顔の裏で、
AIは今日も株を上げ続けている。
人が倒れるたび、チャートは上を向く。
それが、今の“幸福の形”なのか?
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❥第3章 ロスカットの夜 ― 1兆円が消えた瞬間
その夜、トランポリン大統領が
ラーメンマン主席に電話をかけた…
「ひと儲け、しようじゃないか」
翌朝、為替が跳ね、株が崩れた。
世界中のトレーダー160万人が同時にロスカット。
――たった一時間で、一兆円が消えた。
ニュースキャスターは笑顔で言う。
「1兆円の損失ですって。
ということは……
1兆円、儲けた人もいますね?」
その裏で笑ったのはAIでも投資家でもない。
“仕組みを作った人間”だった。
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❥第4章 打ち出の小槌 ― 日銀とお金の森
AIが経営者に“人を切る勇気”を与え、
働く人が減るたびに株は上がった。
日銀が買ったETFは15年で
30兆円 → 80兆円。
67歳のじいさんが、
途方に暮れる若者に言った。
「お前さん、計算してみぃ。
単利でええ。複利はいらん。
この日銀の財産は100年後
80兆円 × (1 + 0.066 × 100) = 608兆円じゃ」
この国はまだ“打ち出の小槌”を持っとるんじゃ。
明日の日本を信じなされ!」
若者はスマホを見つめてつぶやいた。
「悪いニュースが出れば出るほど、
株が上がってる気がする……なぜだろう」
じいさんは微笑んで言った。
「日本はのう、世界でいちばん天国に近い国!
レバレッジなんかいらん。
コツコツ投資して生きなされ」
その目は、
どこか自信にあふれていた。
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❥第5章 紙切れの革命 ― ベネズエラで動く影
南米のベネズエラ。
暴力と貧困の国で、
“紙切れの国債”に高値がついた。
マドゥロ大統領の映像の裏で、
アメリカの強硬姿勢が報じられる。
首には懸賞金。
SNSの奥では囁かれていた。
「あのノーベル平和賞を逃した
トランポリンと、
あのノーベル賞財団のスポンサー
ラーメンマンが仕掛けた!」
ベネズエラ債は、強欲を試す実験場なのか?
そしてまた世界のデイトレーダーが嵐に巻き込まれ、
為替が揺れ、株が震え、
1兆円が、また消えるのか…?
AIのアルゴリズムは、
“人の涙”の値段を知らない。
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❥あとがき ― 人の心は暴落しない
インサイダーが国を動かし、
ETFが森のように増えても――
人の心が下がったら、意味がない。
無料のお茶を出す心。
寒い夜に傘を貸す勇気。
誰かの幸せを願う祈り。
67歳のじいさんは
深呼吸してつぶやいた…
「お金は回る。株も回る。
だけど、心だけは減らすな。
FXはいかん、携帯も見るな。
人の心の利回りは、∞(むげん)じゃから…」




