私の兄⑥
私の兄が高校生
私が中学生の頃。
私は立派な中2病に掛かっていた。
何者でもないのに自分が特別な存在であると思い、別にいじめられてもないのに不登校になってみたり、自分で腕に入れ墨を入れてみたり、楽器を購入して夜中まで練習し、両親にブチギレられた。
両親はブチギレたのに夜中の楽器練習を辞めない私に呆れ、恐れおののき敷地内に小屋を建て夜はそこで練習するように、と言われた。
楽器は面白いように上達した。
親戚がフライングVの5弦ベースを持ってるタイプの人だった。
教えてもらった。結局ゴネて5弦ベースも貰った。弾けないのに。
高校生になったら軽音部入るんだ〜とアホみたいに兄に報告していた。
後から知ったのだが、兄はその時進学の事で両親と揉めていた。
敷地内に、小屋を作ったのも私が、兄貴の受験勉強の邪魔だったからだ。
兄は進学校に行っていた。
そこから難関大学を目指すのか、兄の夢に最短で近づく事のできる専門学校に行くのか。
両親、担任、進路指導、本人
それぞれ別の道を提案していたらしい。
両親も後から後悔していたが、
この時兄はしんどい思いをしていた。
そんな中、中2病真っ盛りの私はアホ全開で迷惑をかけ続けた。
何をしてても満たされない感覚があり、何度も両親が学校に呼び出されるようになってしまった。
なんでそんなことをするのか、問いただされる。
怒られるわけではなかった。
でも私自身なんでかわからない。ただ、楽しそうで刺激のある事を求めていた。
自分が特別でありたい気持ちがあった。
それが長い事続き、両親も私に呆れていいはずなのだが、両親はなぜか私の事を投げ出さず、法に触れない限りは好きなようにやってみなさい、と言ってくれた。
とても不思議だったが、大人になってから聞くと兄のおかげだった事がわかった。
兄は
「妹には勉強だけで苦しい思いをしてほしくない。自分の様になってほしくない。妹を自由にさせて欲しい。お願いします。」
と両親に頭を下げていたらしい。
私の兄はそんな男なのだ