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【幻想短編小説】エリシェバの庭 ~白薔薇の約束~  作者: 霧崎薫


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9/12

第九章 秋の黄昏

 十一月に入り、庭は深まる秋の気配に包まれていた。菊が色とりどりの花を咲かせ、紅葉は最も美しい時を迎えていた。野菜畑では、最後の収穫を終え、冬支度が始まっていた。


 エリシェバの体調は、日に日に弱っていくのを感じていた。それでも、できる限り庭の手入れを続けた。


「エリシェバさん、無理なさらないで」


 菊たちが心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫よ。これが私の喜びなの」


 エリシェバは、優しく微笑んで答えた。


 その日の夕暮れ時、突然の寒気に襲われた。視界が少しぼやけ始める。


「エリシェバおばあちゃん!」


 リリアが真っ先に駆けつけた。天使のミカエルも、すぐに現れた。


「エリシェバさん、今日はもう休みましょう」


 二人に支えられ、エリシェバは家の中へと戻った。窓の外では、花々が心配そうに揺れていた。


 夜になると、庭から不思議な光が漏れ始めた。ベッドに横たわりながら、エリシェバはその光景を見つめていた。


 花々が、これまでで最も美しい光を放っている。妖精たちや天使たち、そして大地の精霊たちまでもが集まり、祈りの輪を作っていた。


「エリシェバさん」


 ミカエルが、静かに寝室に入ってきた。


「もうすぐ、冬がやってきます。でも、心配することはありません。私たちが、ずっとそばにいますから」


 エリシェバは、穏やかに頷いた。確かに体は弱っているが、心は不思議なほど平安に満ちていた。


 窓の外では、最後の紅葉が月明かりに照らされて輝いていた。それは、まるで秋からの別れの挨拶のようだった。


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