第八章 秋の実り
十月半ばを過ぎ、庭は紅葉の季節を迎えていた。もみじが赤く色づき始め、サザンカが白い花を咲かせる。野菜畑では、サツマイモの収穫が始まっていた。
「エリシェバさん、私たちの下にきっと、たくさんの実りがありますよ」
サツマイモの葉が、誇らしげに語りかけてきた。
「ええ、楽しみだわ。今年も、きっと甘くて美味しいサツマイモができているはずね」
収穫作業は、妖精たちが手伝ってくれた。土の中から次々と、大きな芋が顔を出す。
「わあ、今年は本当に立派なサツマイモね!」
収穫したサツマイモは、近所の人々にも分けられた。受け取った人々は、まるで宝物のように大切そうに持ち帰っていく。
その日の夕方、不思議な出来事が起きた。収穫を終えた畑から、かすかな歌声が聞こえてきたのだ。
「これは……」
「大地の精霊たちの歌声です」
ミカエルが説明してくれた。
「土の中の小さな命たちが、豊かな実りへの感謝を歌っているのです」
エリシェバは、茶色い土を見つめた。そこには確かに、目には見えない無数の生命が息づいている。それらの小さな命が、この庭の豊かさを支えてくれていたのだ。
夜になると、月明かりの下で新しい光景が広がった。大地の精霊たちが、土から姿を現したのだ。小さな土色の体を持つ彼らは、収穫祭の踊りを披露してくれた。
花々も、妖精たち、天使たちも、共に祝福の歌を歌い始める。エリシェバは、この素晴らしい光景に心を奪われた。
「ヨハネス、見ていてくれるかしら……」
そう呟いた時、ふと十字架の方から温かな光が漏れ出した。それは、まるでヨハネスからの応答のようだった。




