第十二章 永遠の春
二月も終わりに近づき、庭には早春の気配が漂い始めていた。
「エリシェバさん、新しい春がやってきますよ」
まだ雪の残る地面から、クロッカスの新芽が顔を出していた。その声は、希望に満ちていた。
エリシェバは、微かな力を振り絞って、最後に庭を見たいと願った。天使たちは、そっと彼女を抱き上げ、十字架の下まで運んでくれた。
そこで彼女は、静かに目を閉じた。
「ヨハネス……ただいま」
その瞬間、庭全体が金色の光に包まれた。花々は最も美しい光を放ち、妖精たちは祝福の歌を歌い始めた。天使たちの歌声が天まで届き、大地の精霊たちも土の中から喜びの声を上げた。
エリシェバの体は、ゆっくりと土に還っていった。それは決して悲しい過程ではなく、新しい生命への変容だった。彼女の魂は、ヨハネスと共に天国へと旅立っていった。
春になると、十字架の下に一輪の白いバラが咲いた。それは、かつてヨハネスが植えた白バラと同じ香りを漂わせていた。
花々は今でも、エリシェバとヨハネスの愛の物語を語り継いでいる。妖精たちは庭を守り、天使たちは祝福を注ぎ続けている。
そう、エリシェバの庭は、永遠に命の輝きを放ち続けているのだ。
(了)




