第十章 冬の訪れ
十二月に入り、庭は冬の装いへと変わっていった。シクラメンが凛として咲き、クリスマスローズがつぼみを膨らませ始めている。野菜畑は雪囲いをされ、静かな眠りについていた。
エリシェバは、温かな部屋の窓辺から庭を眺めていた。外に出ることは難しくなっていたが、花々の声は、今まで以上にはっきりと聞こえてくる。
「エリシェバさん、私たちが冬の間、庭を守っていますからご安心ください」
シクラメンたちが、凜とした声で語りかけてきた。
「ありがとう。あなたたち、本当に強くて美しいわ」
窓の外では、新しい天使が庭を見守っていた。銀色の髪をした、ウリエルという名の冬の天使だ。
「エリシェバさん、初雪が近づいています」
ウリエルが、静かに告げた。その言葉通り、その夜、最初の雪が降り始めた。
庭は、真っ白な雪のベールに包まれていく。花々は、まるで白い宝石のように輝いていた。妖精たちは、白い羽に着替えて雪の中を舞い、大地の精霊たちは、土の中で温かな眠りについた。
「まあ、なんて美しい……」
エリシェバは、息を呑むような光景に見入っていた。
その時、十字架の方から温かな光が漏れ始めた。雪の結晶が、その光に照らされて虹色に輝く。
「ヨハネス……」
エリシェバは、静かに微笑んだ。もうすぐ、再会の時が近づいているのを感じていた。




