黄昏れ時
黄昏れ時
夕暮れ時……晩御飯何に仕様かなと、あれこれと巡らせておりました。
夕焼け空は紅色に染まり、巣に帰り行く烏がチラホラとア〜ア〜ア〜ア〜過ぎてゆきます。
次第に夜の闇の部分がかげを濃くしていきますと……。
あっ! 救急車! そうだねぇ……と、親子の会話が耳に飛び込んで参りました。
てくてく夜風の気持ち良さと、公園通りの緑の香と、排気ガスが入り混じり……少し肌寒いさを感じておりました混沌の中に、そんな声につられて車道の方へと自然に思いと眼が向いてまいります。
点灯するヘッドライト、街中でありますから当然車が行き交っております。
ギリ、ヘッドライトを灯さ無くとも、いけない事は無いかなと言う微妙な明るさで御座いまして。
多分灯さないと、見えづらいんじゃ無いかなと……そんな事を思ったんです。
何故かと言いますとね!
先程! 親子の会話が耳に飛び込んで来たって申しましたよね!
救急車! そうです、救急車何てすよ! 確かにね救急車走ってたんですよ!
でもね! 救急車って、先にピィ〜ポォ〜ピィ〜ポォ〜! って、音でね! 気付くじゃ無いですか……?
でもね? わたしの気付いたのって、親子の会話ですよね! それにね、無灯火で音も無く、ゆっくりゆっくりと走ってるんです。
その時はね、そこの近くに消防署がありましてね、あ〜……緊急出動をして、搬送したのか、誤報だったかは分かりませんよ!
帰り道何だなと、思いましてね。
無灯火だなとは、思いましたけどね。
静かに段々暗くなる中、救急車のシルエットだけがス〜ッと走って行きましてね。
わたしはてくてくと歩きながらね。
そんな光景を眼の隅に残したまま、上着着てくれば良かったなと暫く歩いておりました。
するとね! ふと気付くとね! 佰メ〜トル位前、交差点の手前でね、救急車がハザ〜ド焚いて赤い回転灯回して止まってたんですよ!
えっ! 事故だったんだ……と、驚きましたよ!
進行方向だったんでね、段々近付いて行くんですがね? 作業をしてる感じは見当たらない様に思うんですが……まだ、距離もありましたし……もうすっかりね、暗くなってたんですよ!
何だろうと思いながらね、ずっと見てたんですけど……。
突然ハザ〜ドと回転灯が消えてね、また無灯火で走り出したんです……?
周りの車のヘッドライトに照らされながね、交差点を曲がって走り去って行きました。
その後もね……ピィ〜ポォ〜ピィ〜ポォ〜ッてね……何時まで経っても鳴らなかったんです。
救急車の止まってた所に、差し掛かりましたけどね。
何の事故とかの痕跡もね、野次馬とかも無いんですよね……?
何だったんだろ……?
今も、偶に思うんですが……奇妙だったな〜と、心に残っています。
そんな黄昏時の出来事でした。