気になるお年頃
早乙女理久の人懐っこい性格のせいか、入学する頃にはお互いを名前を呼ぶようになっていた。クラスは別になってしまったが、毎朝毎晩一緒なので離れてしまった感はない。
入学してからしばらく経ち、クラスでも仲の良くなったメンバーに、
「お前ら、付き合ってんの?」
と言われ、驚く。何で?
「いや、すんげー仲いいじゃん?この学校じゃぁめずらしくもないしな。」
と言われた。男子校特有の実態、カップルも多いんだそうな。そうなんだ、いや、そうかもしれない。実際俺も理久も女子苦手だしね。しかしそうか、周りにはそういう風に見えているのか。………イヤじゃない自分にちょっと動揺したことは内緒だ。
「お前はともかく、乙女ちゃんはそうなりたいって思ってるんじゃね?」
え?そうなの?どうしてそう思うの?ドキドキ。
「だってあいつ、他の奴と一緒の時との差、えらいあるよ?っと、噂をすれば、ほら。」
と奴が顔を引き攣らせながらそう言った方を見れば、移動の途中なのだろう、廊下を歩く理久と目が合う。にっこり微笑んで手を振ってくる。うん、いつもと同じだ。こちらも手を振り返して視線を戻す。
「うん、ただの雑談だからそんなに睨まないで欲しいわー。」
睨む?理久が?またまた~、と思ってもう一度視線を理久に向けると普通ににこにこしていた。
「はいはい、ごちそうさま。」
だから何が?
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結局みんなには乙女ちゃんと呼ばれている理久、無念!