忌子
定期的に、郁芳家では双子が生まれる。
もちろん、確率的には一定数産まれるのがわかっているが、郁芳家の場合、それがあらかじめ決められている。
天皇の代替わりや戦争のような、大事件がおこる前後に生まれるからだ。
どうしてそんなことが分かるのか、どうしてそのタイミングなのかについては、全くわかっていない。
ある種超常現象のようなカタチであるから、実際に理論立てて証明することなんて、きっとできない。
この時に生まれた双子は、忌子と呼ばれるのも、そんなオカルトの延長なのだろう。
忌み嫌われるということが多いものなのだが、郁芳家では少し様子が違う。
これは、忌火と同じく、神聖なるものあるいは俗ではないものとして一定年数扱われるためだ。
双子が生まれると、すぐに郁芳家の家長が必要な人らを招集する。
そして、この双子が忌子に相当するかどうかを審議することになっている。
そうだとされると、氏寺や氏社へと使者が立てられ、生まれたことを神仏に報告するとともに、これから起こるであろう天変地異から国を護ってもらうように言上することになっている。
そして双子はというと、この神仏の依代となり、数えで6歳になるまでの間、神仏と人の間に立つものとされる。
数え6歳を迎えると、忌子と呼ばれることもなくなり、他の子供らと同じように育てられることになっている。
そしてこの伝統は数百年に渡り、受け継がれている。
もっとも、表立ってすることはないので、本当のところは郁芳家の人らしか知らない。




