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路地を曲がったところで波多野さんはやっと足を止めて私をじとりと睨む。

その目は完全に据わっている。


「百瀬のアホ。何絡まれてるんだよ。」


ため息混じりに怒られて、私は身を小さくした。


「うー、波多野さん助けてくれてありがとうございます~。ほんとスーパーマンみたい!どうやって切り抜けようか悩んでたんです。」


「無視しろ無視を!ていうか、お前無防備すぎだろ。家に入られたらどうするんだよ。」


完全にお説教をくらって、私はますます身を小さくする。

確かに波多野さんの言うとおりだ。

家に入られるとか、そこまで考えていなかった。

なんという浅はかさか。


「…危なかったですよね。」


改めて想像しその危険性を認識すると、私はサーっと血の気がひくように青ざめた。


「どうしよう、家もバレちゃいましたよね?」


郵便受けを開けているところで声をかけられたのだ。

アパートどころか部屋番号も見られていたかもしれない。


波多野さんは口元をおさえながら、はあーと深いため息をついた。


ああ、これは完全に呆れられたかもしれない。

それどころか、嫌われても仕方ないくらいの間抜けさだ。

何だか気まずい沈黙が訪れて、私は口をつぐんだ。

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