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少年のこれまで【4】

魔力精製(マギア・アセール)


魔素を魔力に変換してから魔法を使う方法を教えてもらってから約2ヶ月、ほんの僅かだが初めて魔力精製をすることに成功した。


(初めてできた……慎重に、慎重に……)


そのまま、はじめての魔法を撃とうとしたが、そのまま小さくなっていき、消えていった。


「あっ……」


消えたときはなんだが悲しい気持ちだったが、魔力精製を初めてできたことを嬉しく思い、母と父にすぐに報告に行った。



*****



初めて魔法精製を成功してから5ヶ月。魔法精製のコツも何となく掴むことができた。最初は弱々しいものだったが、今でははっきりとした見事な魔法精製ができるようになっていた。


魔力精製(マギア・アセール)


日々繰り返しやっていくと実力がついてきていることが分かる。だが、心配なことがあった。


氷槍(イエロ・ランス)


母がしていた氷の塊を出して攻撃する魔法を思い浮かべて魔方陣を展開しようとすると、


「またか……」


精製した魔力が霧散した。


初めて精製を成功してから5ヶ月。1度も魔方陣を展開できることがなかった。


母曰く、イメージもしっかり出来ている、魔法の知識も申し分ない、精製の技術も上がっている為魔法を使うことは容易らしいが……


「帰って勉強に戻るか……」


成功したことが無いことにより、自信を無くしていた。



*****



2年が経った。勉強に励む毎日。魔法も勉強はしているが、前ほどではなくなった。と言っても、勉強する本が無くなったのだ。


本の知識は頭に全て叩き込んだ。魔方陣を書けと言われれば、すぐにでも書くことが出来る。なのに……魔法は1度も使えない。


魔力精製も1週間に1度するかしないかとなっていた。


「今日は練習しないの?」


「……練習するので、見ていて欲しいです」


魔法を失敗しているところを見て欲しくない。そういう思いで母に魔法の練習を見られるのを拒んでいた。


だけど、そのままだといけないので母を連れて外に出た。


「どれだけ成長しているか楽しみね」


久しぶりに息子の魔法の成果が見られると、素直に喜ぶ母。その様子が逆にプレッシャーを与えていた。


(絶対に……絶対に成功させなければ……)


呼吸が早くなる。足が少し震えている。自分でガタガタしている事が分かる。


母と同じように右腕を前に差し出す。


魔力精製(マギア・アセール)


声が少々裏返ったが、コツを覚えた今では魔力精製は成功した。


ここからだ。ここからが問題。この魔力をどう使って魔法を使うのか、何も分かっていない。


言葉が出ない。失敗するのが怖い。何を言われるだろうか。今までのことをバカにされるだろうか。失望されないだろうか……


視線が痛い。失敗するのは目に見えている。何も起こらないこと、また宙に霧となって散っていくのが分かっている。だから、何も言えない。言い出せない。


精製した魔力がふわふわと宙に浮かぶ。それは何も出来ない僕を笑うように見えた。上下に動くその様子が……


力がこもる。むしゃくしゃした思い。……どうでもいいか……


(イエロ・)……》


魔方陣を展開しようとすると、肩をとんとんと叩かれた。


「焦っていきなりやっても何も出来ないわ。上から下まで、右から左まで……丁寧にゆっくりと展開していくの。魔方陣は、覚えているよね?好きな物を使いなさい」


笑顔で母はそう言って、少し後ろへ引いた。


初めてこの方法の魔法を見せてもらった時、詠唱をしたら魔法陣が展開した。だから、そういうものだと思っていた。


だからこそ、疑問も出てきた。なんでそんなにも早く魔方陣を展開できるのか。母の存在について気になってきた。それでも今は、始めてもらったヒントを有効に活用しなければいけない。


(自分の好きな魔法……使ったことは無いけれど、ある。ひとつだけとても魅力的で惹かれる魔法がある。使うのは初めてだ。出来るかどうかは分からない。だけど、本を読んでいる中でいちばん見てきた魔法だ。もう魔法陣は頭の中で浮かんでいる。やるしかない……)


大きく息を吐いた。そして、決して大きな声ではないが、はっきりとその魔法を口にした。


最後の切り札(テレステオ・アトゥ)


何十冊とあった本の1番最後に必ず記されていたその魔法。この魔法が必ずあなたを助けてくれる。毎回この嘘くさいワードとともに小さく小さく書かれていた。詳細も記されていない。魔法陣も1部しか描かれていない。誰もが見落とすような、見ても忘れてしまうような、そんな魔法。


そんな魔法の魔法陣を寄せ集めて自分で紙に何度も何度も描いていた。ほかとは全く系統が違う、だけどどこか似ているような、そんな印象の魔法陣が出来上がる。


興味があった。何が起こるか分からない、そんな恐怖もあった。だけども……自分の魔法を使いたかった。


集めた魔力はだんだんとイメージに沿った魔法陣を展開していく。そして……


()()()()()()()()()


いつも通り霧散していく。


ダメだった。母の前で、魔法を使えなかった。


悔しい。自分が弱かった。そのことで頭がいっぱいだった。


もっとしっかり練習しておけば……もっとできることがあったはずなのに……


そう思った時、目眩がした。


(もっと……もっと強い自分でいれたら……)


そのまま気を失い、地面に倒れた。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


宜しければ、ブックマークをして頂けると嬉しく思います。


また、感想や評価をしていただくと励みになります。

書いていただけると、もっと嬉しく思います\└('ω')┘/


次回投稿は11月16日です。

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