少年の旅立ち
とある国のその昔、心優しい少年がいた。
後にその少年はあらゆる魔と戦う者となり、その戦いぶりが国から讃えられ、国民からは英雄と呼ばれるようになった。
そして、その英雄のこと様々な方法で今にも伝えられている。
『ルピスカルス』
この物語もそのひとつであり、少年少女に夢や希望を与えていた。
そして今日もまた、1人の少年が英雄を夢みて旅に出る。
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「お父様、お母様、今までお世話になりました。お兄様を目標に、まずは一人前の冒険者となり人々のお役に立てるよう頑張ってまいります」
少年は、皮の防具に身を包み、別れを告げる。
「ああ、頑張れよ。ただ、セネは元々体が弱い。それは自分が一番わかっているはずだ。無理はするなよ。少しずつでいい」
「はい。分かりました。気をつけます」
「これ、ちょっとだけど持って行って。初めは色々と大変でしょう。お仕事が落ち着いてきたらでいいから、また顔を見せに来てね」
母が小さな袋いっぱいに入ったお金を差し出す。
「ありがとうございます。大切に使いますね。それでは、行ってきます」
そうして、少年…セネ=デルフィは、小さな村から旅立った。
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「……行ったな」
「そうですね。カルの時もそうでしたけれど、やはり旅立っていくのを見るのは何だか、こう、心にくるものがありますね」
「そうだな。あれからもう6年か。カルを見送った時、いつかセネも旅立っていくのかもしれないと覚悟はしていたが、いざ旅立っていくのを見るとさびしくなるな」
「そうですね…今やカルは国を任されるほどの騎士ですよ。元気にしているでしょうか…」
「心配してもしきれないな。まあ、帰りを気長に待とう。俺たちの役目は帰ってきた時に笑顔で迎えることだ」
「ええ。それまで私たち二人でできることをしっかりとしていきましょう」
息子の旅立ちに少々涙を浮かべていたが、両親は息子の成長を強くかみ締め、村へと帰っていった。
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次回から少しセネの過去のことを書いていきます。