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第67話

【視点変更:早坂冬登はやさかふゆと


「お、お友達です……。」


授業中、ずっとあの一言ばかり脳内再生される。


どういうことだろう?


僕、振られるのか?


今日、昼休みに屋上で振られるのか?



3時限目が終わり、10分間の休憩時間に僕はたまらずモトキの席へ向かう。


かがりさんはクラスルームに居ない。今がチャンスだ。


「どうしたフユト?」


「なぁ、僕、篝さんに振られるかもしれない。」


「は?なんだ?授業中に居眠りでもしてたのか?」


「違う!」


僕は朝のやり取りを説明する。


「……ま、よくがんばったよ今まで。」


ポンと僕の肩に手を置くモトキ。


「あっさりだなお前。」


「冗談だよ。それにしても、お友達ねぇ。」


「僕、昼休み、屋上に行くのやめようかな。」


「約束したんだろ?約束くらいは守れよ。」


「約束は……してないよ。僕、返事してないから。」


「そうか。まぁ、お前らの恋愛に深く物申す気はないし、俺はお前の味方だ。いいようにやれよ。」


「ありがとう。」


やっぱり頼るべきものは親友だな。


「モトキだったら、どうする?屋上に行く?」


「俺か?そうだなぁ。振られるって分かってたら行かないかな。」


「やっぱりそうだよな……。はぁ。」


「あと1限あるんだから、それまで考えてろよ。」


「うん。ありがとうモトキ。」


篝さんがクラスルームに戻って来たことに気付いたモトキは会話を打ち切り、シッシッと僕の事を手で追い払う。




■■■■■■




結局結論が出ないまま昼休みになってしまった。


僕は篝さんの机に視線を向ける。


篝さんがこちらをチラっと気持ち見た感じで、そのままクラスルームを出て行った。


「……。」


「よーフユト、悩んでるかー?」


モトキが篝さんのいなくなったタイミングで現れる。


「結論が出ないんだ。助けてくれモトキ。」


「……男らしくないな。潔く振られろ。」


「ふざけんなよお前!」


「わりぃわりぃ。冗談だって。」


しかしすぐにモトキは真面目な顔になる。


「で?本当にどうすんだよ?もう悩んでる時間なんてないぞ。」


「……僕は振られたくない。」


「それなら行くのやめるか?」


「……うん。」


「そうか。それがお前の出した結論なら俺は止めない。購買でパン買いに行こうぜ。」


「うん。」


モヤモヤする。


どうして篝さんは急に「友達」と言ったのか。


朝のやり取りを振り返っても、何も心当たりがない。


一週間連絡は取れなかったせいか?


「おいフユト。」


僕はその声に気付かない。


「おいって!」


「え?」



ゴンッ!



顔面にするどい衝撃。


僕は壁に激突していた。


「ここ、右カーブだぞ。」


「いてて。遅いよ、ぶつかってから言うなよ。」


「お前大丈夫か?気になるなら屋上行けよ。俺も付いて行ってやるから。」


「……。」


「僕はまだ彼女が好きなんだよ。ここで意味の分からないまま終わりたくない。」


「……でもよ、うじうじ悩むくらいなら話し合えよ。別に別れ話を持ちかけられるって決まったわけじゃないんだろ?」


「でも、僕に「お友達です」って紹介したんだ。僕は「彼氏です」って言ったのを否定したんだよ。」


「……はぁ。」


溜息をつくモトキ。


相坂あいさかさんに怒られるぞ。」


無意識に言ってしまった一言。


「あ、ごめん。」


僕は慌てて謝る。何て事言ってしまったんだ。


「いいよ。気にしてねぇよ。でもよ、フユト。」


「ん?」


「篝ちゃんはすぐそばに居るんだぞ。お前、後悔するような行動はするなよ。」


「……。」


後悔。


もしこのまま屋上に行かず、昼休みが終わったとする。


それから何も会話ができないまま自然消滅ということになったらどうする?


それは振られるよりもひどい結末なんじゃないか?


モトキが不意に背中を叩く。


「男だろ!好きな女くらい繋ぎ止められないで、相坂の約束なんて守れんのかよお前!」



「!」



【篝のこと、頼んだわよ。】




そうだ。


僕は相坂さんと約束したんだ。


「ごめんモトキ。僕、屋上に行くよ。」


「そうか。俺は食堂でパンでも食べておくよ。何かあれば呼べ。」


「ありがとう。」


僕は踵を返し、屋上へ向かう。


覚悟を決めろ僕。



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