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どれだけ遅くなるかわからないから。そう言った紅斗の言葉に甘えて、俺たち二人は先に帰路についた。中学の時よりも通学路が短くなったお陰で、帰る時の窮屈さが少ない。
「まさか紅斗が選ばれるなんてね!」
「本当にな。それに本人分かってなさそうだったし……。」
「名前呼ばれた時の顔、ポカンってしてたもんね!」
そんな風に言い合いながら、笑い合う。紅斗にこの会話を聞かれたら怒られそうだけど。
無意識だったのか、小さな声で黄奈が漏らす。
「凛華会長と一緒、かー。」
昼休みの時の羨ましそうな顔はなかった。そんな顔を見て、俺は今朝のおばさんの言葉を思い出す。
黄奈ちゃんとどう、なんて……。小さい頃から見ていたんだ、黄奈が紅斗のことを好きなことはもう知っている。多分、紅斗も。
「心配?」
「えっ、あっ、な、何のことかな!?」
隣にいる黄奈の顔を見ながらそう言うと、顔を真っ赤にしながら否定しはじめた。今更バレてないとでも思っているんだろうか。
紅斗も黄奈も人に対してはすごく気遣いができるのに、お互いのことになると鈍感だ。ずっと幼馴染だったせいだろうか。
かといって俺が横槍を入れるっていうのも、いくら幼馴染っていったって、でしゃばりすぎだとも思う。
「ま、俺も噂の生徒会長がどうだったか気になるし、明日一緒に紅斗に聞こうか。」
「そ、蒼汰は多分何か勘違いしてると思うけど、そういうなら、き、聞こうかな。」
「うんうん。じゃあまた明日な。」
「うん、またね。」
吃りすぎ、なんて突っ込んだら黄奈がオーバーヒートするであろうことは経験上わかっているので、あえて突っ込まない。家に着いた俺たちは別れ、それぞれの家へと入った。
「ただいまー。」
家へと入ると、祖父母のおかえりが返ってきた。靴を脱いでリビングに向かう。
「学校、どうだった?」
「知ってる人も多少いたのと、紅斗と黄奈と一緒だから楽しく過ごせると思うよ。」
「そっか、良かったねえ。」
鞄をソファーに置き、ニコニコとしながら聞いてきたばあちゃんの問いに答える。ブレザーをハンガーにかけ、洗面所へと向かい手を洗う。戻るとじいちゃんが夕飯を並べてくれていた。
「手伝うよ。」
「いーから座っておけ。久々の学校で疲れただろう?」
「大丈夫だよ、殆ど先生の話しを聞いてただけだったから。」
実際に今日は授業、というよりも殆ど説明だったりで終わった。だから元気は有り余っているくらいだ。
じいちゃんの手伝いをしながら夕食を並べ、三人で食卓を囲む。ばあちゃんの和食はいつ食べても美味しい。
こうやって三人で食卓を囲みながら今日あったことを話すのが日課だ。紅斗が手伝い係になったことを伝えると、じいちゃんが楽しそうだなあ、なんて感想を漏らす。
そんなじいちゃんにばあちゃんがアナタは呑気ですねえ。何て言って、夕飯は楽しく終わった。