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主人公にはなれないけど、俺は  作者: 葉月レオ
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3

「実は手伝い係はこのクラスからでている。」


そんな担任の先生の言葉に、クラスのざわめきが大きくなる。もしかしたら自分かも、そんな期待の高まりを感じる。


「ーーえーっと、和泉川イズミガワ紅斗、だな。」

「えっ!」


自分の名前を呼ばれて思わず驚きの声をあげた紅斗にクラスの視線が集まる。……まさか紅斗が選ばれるなんて、驚きだ。黄奈も驚いていて、思わず二人で目を合わせる。


「そんなわけで、今日の放課後に和泉川は生徒会室に行くように。」

「えっ、あ、はい。」


多分未だになんのことか紅斗が分かってないであろうことは、多分俺と黄奈だけが分かる。間の抜けた返事をした紅斗に、これは休み時間にでも説明しないとな、なんてことを考えた。



「なあなあ、係って何のことだよ……。」

「やっぱり分かってなかったんだな。」

「紅斗入学式の生徒会長の話の時、寝てたもんねえ。一番前の列の席で。」

「うっ……そ、それは今はいいだろ。」


黄奈にそう言われて焦る紅斗。二人は出席番号が近いから見えたんだろうが、まさか入学式で寝るとは……。よくやるな、何て思う。

説明を求める紅斗に、簡単にだけど係の説明をすると、だんだんと顔色が悪くなる。


「ええー、面倒くさすぎないか、ソレ。」

「なーに言ってるの! 企画の準備内容によっては授業免除もあるし、選ばれればほぼほぼ生徒会入りは確実なんだからすごくラッキーなんだよ!」


面倒くさがる紅斗に黄奈が熱弁する。授業免除なんてものもあるのかと、俺もそれは初めて知る。

それでも嫌そうな紅斗に黄奈は続ける。


「しかもあの凛華リンカ会長と一緒に仕事できるんだよ! 羨ましい……。」


そう言って黄奈はキラキラと目を輝かせる。ーー凛華会長、か。確かに入学式で見た時、カリスマがあるっていうのはこういう人のことを言うんだなって思わされた。

聞くところによれば全国模試一位で運動もすごくできて、生徒全員のことを把握しているとか。芸能人顔負けの美貌で、スタイル抜群。人望もある……なんて、まさしく完璧と呼ぶに相応しい人物、らしい。

聞いた時はそんな人間がいるものかと思ったけれど、凛華会長の活躍でより一層今期の生徒会は注目度が高まっているみたいだ。そう考えると紅斗も楽じゃないよなあと思う。


「そんな人間いないだろ。」


凛華会長ファンらしい黄奈の説明を聞いた紅斗は弁当を食べながらそう零した。俺と全く同じ感想だ。

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