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主人公にはなれないけど、俺は  作者: 葉月レオ
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「だって気になっちゃったもの。」


むせながら何でそんなことをという視線を向けた俺に対して、おばさんはさらりとそう言って、微笑んだ。普段は天然っぽいところもあるのに、こういう所は鋭い。俺の返答を待つおばさんに対して、口を開きかけた時だった。


「俺はーー。」

「ほら! いい加減シャキッとしなさい。 もー、紅斗が早く行こうって言ったのに遅刻しそうじゃない!」

「あらあら。」


階段を降りる二人の足音。眠たげに目を擦りながら降りてくる紅斗とは対照的に、紅斗の背中を押しながら何とか急ごうとハッパをかけている黄奈。そんな二人を見たおばさんは困ったように笑いながら朝食を並べ始めた。

おばさんの作った朝食を見た黄奈が目をキラキラと輝かせる。


「今日も美味しそう! さすがです。」

「もー。 黄奈ちゃんったら、いつもありがとう。 食べていく?」

「え! いいんですか?」

「だからお前は太るんだよ。」

「なっ。」

「紅斗、やめとけ。」

「蒼汰も否定してよ〜!!」

「いや、今のはそういうことじゃなくて。」

「ほらみろ、蒼汰もそう思ってるぞ。」

「二人ともばか! 嫌い!」

「ごめんって。」


涙目になった黄奈に俺たち二人は慌てて謝った。そうしたことで納得はしていなさそうだったが何とか許してもらえ、学校の準備をすませて、学校へと向かった。


奇跡的に三人とも同じクラスで(席は離れているけど)若干走りながら学校へと向かった俺たちは席に着き、一息つく。そうするとちょうど良く担任の先生が入ってきて、ギリギリだったことを知る。


朝のホームルームが始まり、中学が一緒だった人もチラホラいるが、殆ど知らない人ばかりでみんな静かだ。まだ俺も含めて緊張しているのだろう。

窓側の席だった俺はチラリと黄奈と紅斗の方を向くと、丁度二人もこっちを向いた。紅斗がさりげなく変な顔をしてくるものだから黄奈と二人で笑いそうになる。

そんな風にコッソリとふざけ合っている時、担任の先生が言った。


「そういえば、今年の生徒会手伝い係が決まったぞ。」


その言葉に教室がざわめいた。紅斗が何だそれ、という顔をしていたのはふざけていた俺たちからは丸見えで、やっぱり話しを聞いてなかったなと思わずため息をつく。

この学校では、一年生から一人、生徒会の手伝い係がクジで決まるのだ。係になったものは一年間を通して生徒会の手伝いをし、次の年に生徒会長からの推薦を受けることができれば、晴れて生徒会に入ることができる。

もちろん生徒会の手伝いをしなければいけない、そして手伝いをする以上は手本になるような学生にならないといけない、なんて面倒くさく感じるかもしれない。

けれどここの生徒会は色々な場所で有名で、入ることができれば大学の推薦なんかもいくつか貰える。そして特に今年の生徒会長は歴代最高と言われた人で、 そんな先輩と一緒に過ごせるってことは、より良い学校から推薦が来たりするっていうわけだ。


まあでも学年で一人、しかもクジで決まるんだから、みんな期待しつつも自分は違うだろう。そんな顔を俺含めてしている。


ただ一人、あまりわかっていない紅斗を除けば。


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