正義はどこに。
チッキム大将は焦っていた。そろそろ結果を出さなくてはいけない。大将は地球侵略の指揮を任されたものの結果を残せていなかった。このままでは大帝様に殺される・・・・・なんてことはホワイト企業である大帝軍ではありえないわけだが結果を残せないと失脚してしまうことは地球の企業と何も変わらなかった。
「失脚したくねえな・・・。いっそ転職するか?。でもこの中年を雇ってくれる会社なんてほぼないし・・・。」
悩むチッキム。しかし一時すると急に部屋を出て行った。何かひらめいたようである。
武田は酒におぼれていた。武田が最近、兼任したポストは典型的なブラックである。疲れた体をバーで癒していたのだった。
「くそ・・・。いそがしすぎるんだよ・・・。少し前までは暇そのものだったのに・・・。兼任なんてくそくらえだ。」
愚痴る武田。そこに黒い影が忍び寄っていた。
チッキムは武田のいるバーに来ていた。
「あれが武田か。」
そしてチッキムは武田の横に座る。武田は酔っておりチッキムには気づかなかった。そしてチッキムは武田に声をかけたのである。
「われは大帝軍のチッキムである。」
大帝の名前が出た時点で武田の目はもう覚めていた。
「・・・大帝軍の幹部が何の御用で。」
「実はな、お前に話がある。」
そういうとチッキムは大帝軍ご案内のパンフレットとぜひ大帝軍に入ってほしいむねを伝える手紙を武田に渡した。
「なんだこれ?。」
怪しみながらも武田は渡されたものを読み始めた。チッキムは思わず微笑む。これで武田という優秀な人材が手に入る上に、地球陣営の人間を引き抜いたという結果までえられる。まさに一石二鳥なのだ。もともと武田が最近残業で苦しんでいたことはスパイを通じて耳に入ってきていた。ホワイトな大帝軍に魅力を感じるのは間違いないだろう。そのうえ手紙では大佐の地位を保証した。大帝軍は今、脳筋であふれている。そろそろ優秀な参謀が欲しかったところである。そうこう考えているうちに武田の口が開いた。
「・・・確かに悪くない待遇だな。」
反応は悪くない。
「特に時間外労働に関しては、正義はこちらではなく君たちのほうにあるようだ。」
・・・いけるか?。
ジャキッ。
武田がチッキムに銃を突きつけた。
「待遇や労働環境で地球を捨てれるわけないだろう。本官をなめるな。」
「・・・いいのか。中年のお前がこのホワイト大企業に転職できるチャンスは二度とこないぞ?」
揺さぶりをかけてみる。しかしおそらくダメであろう。
「・・・今回は暴れたりしていないようだから見逃す。早く帰れ。」
しかし、ここであきらめるわけにはいかない。力ずくでも武田を連れ帰ってみせる。体中を力が巡る。だんだんと元の姿に戻っているからだ。今までは武田に合わせて人間の格好をしていたがもはやその必要はない。
「・・・このバーには鉢巻マンと仲間たちがいる。100人程な。」
武田が衝撃の事実を口にした。このままでは殺されてしまうかもしれない。いくら大将といえども100人には勝てない。やむをえず変えることにした。
チッキムは帰っていった。武田は安堵のため息をつく。今武田が言ったことは、すべて、ハッタリだったのである。危機は去った。
武田は一つの決心をした。兼任先のホワイト化と残業代未払い分の請求をすることである。なぜか。武田は〔正義〕が一つでも相手にあることが許せなかったのである。
次回予告
しゃべる石を拾った大野少年の運命は。
少年と石の悲しい決断とは。
次回、「誰のもの。」 お楽しみに。




