怪傑 鉢巻マン参上。
ヒーロー鉢巻マンの大攻防戦
僕の名前は久岡透。職業はスパイだ。こういう職業柄、まわりの人間に顔や名前を憶えられてはいけない。大変と思うかもしれないが別にそんなことはない。都会に住んでいると近所の人との交流もほとんどないし、スパイなので戸籍もなく役所から自分の情報が出る心配もない。仕事は大変だが今日は休みなのでゆっくりと休むつもりだ。さてと寝るとするか…。
どれくらい寝ただろう。寝たのは朝だったのに今は夕方である。どうやら一日を無駄にしてしまったようだ。これから何をしようかと思い立ちあがると窓から悲鳴が聞こえてきた。窓から外をのぞくと、いわゆる「怪人」がいた。ドロドロの液をはいて攻撃している。
・・・・・見なかったことにした。僕の職業はスパイだ。下手に出て行って顔や名前を憶えられたりしたらそれこそ死活問題である。しかしいろいろ気になるのでとりあえず窓から見ていることにした。
ずっと怪人を観察しているのだが、なんと怪人は鉄砲が聞かないらしい。警官隊が拳銃をいくら打ってもまるで効いていない。あと近所のプロレスラーが戦いを挑んでいたが3秒でKOされていた。なぜ怪人もレスリングで戦いだしたかはちょっとわからないが。
まぁ、ノリの良い怪人なのだろう。結構面白いのでしばらく見ていると、こんな声が聞こえてきた。
「怪人の体を徹底的に調べた結果、怪人を倒せる兵器は光子力光線だけということがわかりました。」
「いますぐ光子力光線を使いやつを倒すのだ。」
「しかし…。」
「しかし、なんだ。」
「しかし、光子力光線は発射装置があるのではなく、特別な薬を飲んだ人間が自分の体から打てるのです。しかし、その薬は昨日何者かにとられたまま、見つかっていないのです。」
「…拳銃攻撃を続けろ。」
「ハッ。」
まじかよ。光子力光線の薬を盗んだの俺なんですけど。スパイの仕事でとってこいと言われたからとってきたのだがまさかこんなにすごいものだとは…。その時、窓から再び悲鳴が聞こえてきた。窓から様子を見ると老人が捕まっている。
・・・・・僕は今まで悪いことをいっぱいしてきた。スパイという職業柄仕方ないと自分を納得させてきた。しかし、自分の目の前で老人が殺されかけているのをただただ見ているだけなのは人としてどうなのか。しかもそれを救う手段を持っているのは僕だけなのに。… 気が付いたら光子力光線の薬を手に持っていた。僕は覚悟を決めていた。薬を一気に飲み干した。本当なら今すぐ窓から飛び降りていきたいぐらいなのだが僕はスパイだ。顔も名前も憶えられてはいけない。なのでヒーローのふりをすることにした。鉢巻をつけてサングラスをはめた。鏡を見た。これで顔を憶えられることはないだろう。僕は窓から飛び降りて怪人の前に立ちこう叫んだ。
「見つけたぞ、怪人。怪傑、鉢巻マン参上!!。」
周りの人たちはともかく、怪人にまでひかれたのはちょっとイラッとした。
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