第八話 いざ町へ その三
森を抜け平原に出た。
森とは打って変わって開けた場所だが、障害物が無い分隠れられないし、徘徊する魔物と戦わざるを得ない。
現在、角が生えたサイっぽい化け物と遭遇している。
うーん、どうしよっかなぁ。
平原で戦う際には気体は扱いづらいしなぁ。
液体を使うか。でもあんまりレパートリーないしなぁ。
ま、いっか。
ガルドはもう避難させた為、遠慮なくぶちこめる。
「"フッ化水素酸"」
高濃度のフッ化水素酸を化け物の頭上に大量に発生させる。
当然、身体中に隈無くかかるわけで、
ぐおぉぉぅぅぅぅぅう
化け物は重低音で叫びながら文字通り消えていった。
そして魔物が消えたことに驚きながらガルドが聞いてくる。
「ほんっとすげぇな。どうやってるんだ?
ま、聞いたところで教えてくれないと思うがな。」
ふむ、どうするか。
「ガルドさん、理力についてもう少し詳しく話してくれれば、教えてあげますよ。」
「お、マジかよ! 何が知りたいんだ?」
食いついてきた。
原の底で黒い笑みを浮かべながらチョロいとほくそ笑むのであった。
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ガルドから得られた理力についての情報を説明すると、
まず、理力とは精神力を代償に任意の物質を発生させることが出来る。だがそれはその世界にあるものに限定される。
そして理力の使用により精神力を使い果たしてしまうと身体に何らかの異常が発生するらしい。
気絶だったり、身体の不調、時には一時的に理力が使えなくなる、酷い場合では死に至ることもあるという。
ガルド曰く、精神力は人によって様々だが、僕は通常より数倍の精神力を持っているらしい。
僕はこの情報と引き換えに硫化水素についてガルドに話したが、ガルドが知らない以上、使えはしないそうだ。
そんなこんなしていると
「お、町が見えてきたぞ!」
やっと町かぁ。