第七話 いざ町へ その二
「いくぞオラァ!」
ガルドが理力とやらを発動させながら走っていく。
うーんまだ良く分かってないんだけどなぁ
まぁ、いいか。心術やら理力やらが使えれば。
で
敵は複数、囲まれている。
一体ずつ相手にするのは効率が悪い
理力が仮に任意の物質を発生させられるのだとしたら有毒なものもそれに含まれるはずだ
やってみる価値はある。
「ガルドさん!僕のほうに戻ってください!」
「あぁ!なんだテメェ策でもあるのか!?」
なんで口調が荒っぽいかな...
「えぇ!あるので戻ってきてください!」
「分かったぜ!」
ガルドが戻ってきた。これで出来る。
「僕が合図をしたら息を止めてください。じゃ無いと死にます。」
醜い化物達が僕達が話をしているのを見て隙だと思ったのか、一体突っ込んできた。
僕は飛び掛ってきた化物を蹴り飛ばし合図を出す。
「ガルドさん!息を止めてください!」
いけるか?いや、殺るんだ!
「"硫化水素"」
瞬時に自分達の近くの新鮮な空気を操って外界の空気と隔絶する。
そうでもしないと、自分の命が危ないからだ。
化物達を取り囲む空間にえもいわれぬ腐卵臭を放つ気体が発生した。
たった一呼吸、その気体を吸っただけ。
それと同時に化物達はもがき苦しみ、喉を掻き毟りながら絶命していった。それも体中を緑色に変色させながら。
僕は安全を確認し、ガルドさんにもう大丈夫との旨を伝える。
「なぁ...どうやって殺したんだ?」
少し気味悪げに聞いてくる。
...まぁ教えたところで理解できないわけだし、簡単に説明すればいいか。
「生物に有毒な気体を発生させました。詳しくは教えられません。
ガルドさんも、まだ僕から離れないでください。危険ですので。」
その後も遭遇した魔物を悉く化学の力で殺しながら進んだ。
やはり、異世界の生物と言えども化学物質には適わないようだ。
「よし、もうそろそろ町に着くぜ。
こっからは森を抜けて平原だ。」
目の前には、今までの鬱蒼とした森ではなく、開けた平原が広がっていた。
「ここからは何を使いましょうかねぇ」
僕は不気味につぶやいた。