第六話 いざ町へ その一
「じゃあ、僕がこの世界の住民じゃないって事が証明できたところで、この世界のことについて教えてくださいますか?」
結局ガルドはポカーンとしたまま戻らなかったので、しかたなく巨大な水球を生成して、意識が元に戻るまで沈めた。
少々、取り出したときに痙攣していたが、まぁ大丈夫だろう。治ったし。
「げほっげほっ、おまえなぁ...あぁ...生きてて良かった。
とりあえず、町まで行けば大体分かるから、町に行かないか? この森は危険だしな。」
「おや、そうですか。
では町まで案内お願いします。」
町を見れば多少は文化が理解できるかも知れないな。好都合だ。
「ところで、なぜあなたはこんな森のなかに居たんですか?」
ガルドはこちらを振り返りつつ答えた。
「只の薬草採取の依頼だ。」
ん?
「只の薬草採取で獣と戦うんですか?」
「あぁ、あれは偶然出くわして逃げてただけだ。」
「逃げてた、ですか。
あの獣は何か特別なものだったりしたんですか?」
「あれは雷を纏う魔獣、雷獣だ。
まず、普通のやつは向かっても殺されるだけだ。
強いやつでも雷で焼かれて死ぬ。
大体、自然の名前がつく獣は化け物だ。近づかない方がいい。」
ガルドは顔を苦くして答えた。
あの獣がそこまで強いものなのかなぁ、とも考えたが黙っておこう。
「そうですか、ご忠告ありがとうございました。
ところで、この森は後どれぐらいで抜けますか?」
「魔物が出なければ、一時間。出ればもう少し。
魔獣の場合は死ぬかもしれないな。」
「そういえば、魔獣と魔物の違いは何ですか?」
RPG的に考えればどちらも同じく敵だがこの世界では違うものである可能性もある。
聞いておいて損は無いだろう。
「魔獣はな、簡単に言っちまえば頭がいいんだ。
罠も使うし、それぞれに特殊な力も発生する。
特殊な力ってのは、さっきの雷獣が使ってたような雷とかだな。
それに比べて魔物は頭が悪い
猪突猛進って感じだ。」
大体分かった。
違いは知能と能力だけ、ということ。
あと気になることは、
「あなたが使っていたような術は何ですか?」
何も無い空間から物質が生成される現象について。
「言い方は様々だな。
誰でも使えるが、場所によってはただ力って呼ぶ所もあれば、心術とか理力、異能とか呼ぶ所もある。
まぁ、多いのは心術と理力だろ。
そんなことより、魔物だ。構えろ」
よく見ると周囲を醜い化物達が囲んでいた。
これは...戦うしかないか...
「いくぞオラァ!」
ガルドの怒号とともに戦いが始まった。
因みに、主人公は常時白衣を着ている設定です。
ガルドは見た目おっさんだけど中身は二十代前半設定です。
あしからず。