第六話 楽勝でした。
周りの風景が物凄い勢いで流れる。
森の外まで後8秒‥7…‥6‥…4‥‥3……2‥……1!
最後の一歩!俺は思い切り地を蹴った。
この半年、もはや見飽きた木々が途切れる。
そこに広がっていたのは 舗装されてはいないがしっかりと踏み固められた道、その向こうには涼風が吹いている平原。
たったそれだけのことなのに俺は心の底から沸き上がってくる感情を抑えられなかった。
「ヨッシャャャャ!ついに、ついに、森から出たぞぉぉぉぉ!」
思わず叫んでしまった。でもそのくらい嬉しい。半年も森の中だったんだから喜んでも仕方ない。
さて目の前にある道は左右に延びている。どちらに行くべきか?
う~ん‥……最後に誰かが向かった方に行こう。
ん?どうやって確かめるかって?
こうすんの
‥……空間操作+時間操作発動
この二つを組み合わせると過去を見ることができる。
‥……商人かな?馬車が左に行ったね。
それじゃ左に行くか。
歩いて数時間‥……何故歩かないかって?ただの気分。
おろ?おろろろぉぉぉ!領域内にこの世界で初めて人間の反応が!
俺は走り出した。言っとくが加速しないでもめちゃくちゃ速いぞ。ステータスが高いから。
‥……着いたけど。商人の馬車とその護衛と盗賊だね。
現在進行形で襲われているね。あっ護衛一人やられた。
え~と……護衛が6人で4人やられてる。男4人女2人、やられているのは男だけ。盗賊は20人で6人やられてる。こっちは男だけ。
この人数差を考えると護衛は頑張った方じゃないかな?
「いい加減諦めたらどうだぁぁ?可愛がってやるぜぇぇ!」
「お頭ぁ俺に最初に味見させて下さい!」
盗賊が下卑た笑みを浮かべながらそう言った。
それを聞いた女二人が絶望した表情を浮かべた。
‥……そろそろ助けるか。
とりあえず‥……風域展開
周囲の風が渦巻き始める。
「?」 盗賊の一人が俺に気づいた。
「おっ……お頭ぁ!あそこに「さぁ風よ切り刻め」え?」
その瞬間 渦巻いていた風からかまいたちが飛んでいく。もちろん狙いは盗賊の全て。
いきなり飛んできたかまいたちに反応できるやつはいなかった。
後に残ったのはバラバラになった盗賊と何が起こったか分かっていない護衛と商人。
「え~と、大丈夫ですか?」
商人たちに話かけた。