第十五話 人助けその3
森で夜を迎えた。
パチパチと焚き火から音が鳴る。
「さ~てと、取り敢えず野宿の準備をしよう。」
他の五人に言った。
「分かりました。生憎食料が無いので、何か獲物を狩って来ましょうか?」
エインが言ってきた。確かにぼろぼろで食料何か持って無いだろう。と言うか持ってたら凄いわ。
「気持ちは嬉しいけど止めておいてね?君では逆に餌になると思うから?」
にこやかに返答した。酷い?いいや酷くない!普通の森ならともかくここに怪物ウサギしか居ないんだから。
「悪いけどテント張っててくれない?」
先程の言葉に少々ショックを受けたようだが素直に聞いてくれた。
アイテムボックスからテント等を2つずつだした。ちなみにアイテムボックスはそれほど珍しくない。
「食材は俺が獲ってくるから宜しく。」
そう言って俺は獲物を探しに向かった。
さ~て近くには何がいるかな?領域の範囲を広げる‥……ウサギしかいないな。
一番近くのウサギは ホッピングラビット Lv134 ×6体
二人で一匹で残りは明日の朝でいいか。
ウサギの所にいった。
「きゅゅゅきゅ!」「きゅっっ!」「きゅぅ!」
鳴き声だけだと可愛らしい。
ちなみに翻訳すると
「おい見ろ、旨そうなのがいるぞ?」「俺頭食いたい」「なら心臓で」
‥……ウサギ‥……可愛いげねぇよ
ウサギが飛びかかろうとするが
「喰われるのはお前らだ。」
加速してウサギどもの首を切り飛ばした。
「血抜きしながら戻るか。」
ーーー冒険者視点
私の名前はイル、魔法使いです。
双子の姉のユーンや仲間達とこの森にやって来ました。
この森のウサギは凄いですね?何度も死にかけました。お陰で装備がぼろぼろです。
ですがこの森に入って本当に良かったと思っています。何故ならあの方に会うことが出来たからです。
何の前触れもなく突如放たれた白銀の波動、波動の後は白銀に染まり、ウサギが凍っていました。
あのウサギ達を凍らせたあの魔法見たことも聞いたこともありません。
普通魔法を放つ場合詠唱する必用があります。魔法は詠唱すると魔力をそれぞれの属性に変質させるので、上級の魔法使いならその変化に気付きます。
私も上級魔法使いです。ですがあの魔法を感知する事は出来ませんでした。
無詠唱という方法も有りますがあれほどの魔法を無詠唱等と信じられません。
あの方は一体何者なのでしょうか?白銀の世界の中、銀色の髪に太陽の光が当たり輝いているように見え、私達を見て少し苦笑しながらも案じてくれたあの表情、何よりも美しく優しさを感じました。
仲間達とも話をしました。姉さんやエインは私と同じ考えでした。ですが残念なことにカルとケヘルはあの方のことを疑っているようでした。
ですが三人で二時間ほどあの方のことを素晴らしさについて教えて上げると彼らも分かってくれました。良かったです。