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vol.9

何を言ってものらりくらりかわす遠江さん。

駿河さんは心底呆れたって感じだし、

槇原さんも話が通じない相手にぐったりしてきている。

すみません、私なんかの為に…

そう思ってたら槇原さんが急に私に視線を投げてよこす。



「水口さんはどうなの」



質問の意味がわからずに首を傾げる。



「俺の事、名前で呼びたい?」



あ、僕が俺に変わってる。

よほど疲れてんだな。

駿河さんが「遠江さんの言うことなんか無視していいのよ」って言ってくれる。

私は…

正直ご本人が望んでらっしゃらない事はしたくない。

そう言ったら…あれ…なんか空気が?



遠江さんは「あ~あ~」って残念そうだし

駿河さんはそれでいいのよといいたげ。

槇原さんは…あれ?なんで固まってんでしょう?


私、変なことが言ってない…よね?











静まりかえったテーブルにウェイトレスさんが

追加オーダーの飲み物を運んできた。

っていつの間に誰が注文してたんだろ?

たぶん顔に出てたんだろう

遠江さんが「勝手にごめんね。でも喉渇いたでしょ?」と皆に笑顔を振り撒く。

あの状況でいつの間に!?

その手際のよさにびっくりした。


確かに咽は渇いていたのでありがたい。

口をつけようか悩んでいると、駿河さんがため息を1つ吐き出し、

アイスティーに手を伸ばし口をつけていた。

そのまま一気にアイスティーを空にすると

駿河さんは私の手をとって立ち上がる。



「ちょっとお化粧室に行ってきます」



男性陣の方を見向きもせず

ヒールの音をたてて私を化粧室へと押し込んだ。











「水口さんちょっとお聞きしたいんだけどいいかしら」



駿河さんの第一声は真剣な眼差しで私の顔を覗き込むように発せられる。



「なんでしょう?」


「人の恋愛事情に口を挟むなんてしたくないんだけど、あの二人のどっちが好きなの?」



駿河さんの言葉に思わず固まってしまう。

は?恋愛?誰が?私が?誰と?

そんな思いが顔に出てたんだろう。

駿河さんの顔がいぶかしげになる。



「水口さん?」


「いや誤解です。私とあのお二人の間にはこれっぽっちもそんな感情ありませんって!

 第一出会ったの昨日なんですよ!?」


思わず叫ぶように言ってしまう。

恋愛!?なにがどうしてそうなったの!?



「…駿河さん」



縋るように彼女を見ると・・・あれ怒ってらっしゃる…?

小さな声で「あのバカな人のせいね?」なんて呟きも聞こえてきたり



「水口さん、これも何かの縁だわ。私のことは名前で呼んで?」


「あ、じゃあ私も名前で呼んでください」


「ありがとう、じゃあ遠慮なくそうさせてもらうわね

 もう一度確認するけどあの二人とはなんともないのね?」



駿河さん、いや真琴さんの言葉にしっかり頷く。

たった2日でなにがあるもんか!



「わかった。諸悪の根源は私にまかせて」



諸悪の根源…きっと遠江さんの事なんだろうな

真琴さんはきゅっと口元を引き締めると、私にとっても綺麗な笑顔を見せ

とっても真剣な目になって「戻ろう」と彼等の待つテーブルへと歩いて行った。

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