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vol.4

朝、目が覚めると外は雨が降っていた。

雨の日はバイクが使えないので少し面倒になる。

電車も混むし、バスも混む。

それに湿気がうっとおしい。

バイト以外では降ろしている髪を今日は朝から上げる。

少しでも気分を憂鬱にしない&湿気対策。

お金が貯まったら次は車だよなぁと思い、

私はいつもより早く、家を後にした。











やはり雨はどこも混んでいる。

ぬれた傘や、湿気た服が電車の中で新たに雨雲を作りそうだ。

私はため息を1つつくと、人混みの中に突進した。


運良くドアの隅に場所がとれたので見るともなしに外を見る。

雨に濡れたドアの窓は湿気で少し曇って落書きができそう。

出かける予定がないのなら、雨はキライではないのになぁと

ぼんやり考えていると、電車が駅のホームに滑り込み乗客が入れ替わる。



「あれ?レナーズの子?」



覚えのある店名にふと顔をあげると



「あ、笑い病の人・・・」



私の言葉にその人はぽかんとしたかと思うと

電車の中にもかかわらず、大爆笑してくれた。

さすがにはずかしくなったので、次の停車駅で降りるとその人もついて降りてきた。

あのまま電車内で笑い続けていたら

駅の人か警察か、あるいは救急車呼ばれてただろうけど。



「昨日といい、今日といい、君ホント面白い」



そう言いながらまだ笑っている。

人生楽しそうで良いですねーと言いかけたら

やっと笑いが治まったのか普通の状態になっていた。



「ごめんね、俺、ツボると長いんだ」


「そうですか・・・」



私には関係ないし。

そう思っていると、その人はニッコリ笑顔になり



「昨日は自己紹介できなかったよね、俺、遠江誠とおえ まこと

槇の先輩にあたります。」



急に真面目に挨拶されたので、ついつられて

「水口真澄です」と、挨拶してしまった。



「みなくちますみ、水口真澄・・・うん、覚えた」



しまった、覚えられてしまった。



「ね、真澄ちゃんって呼んでいい?」


「はぁ・・・別にいいですけど・・・」


「でさ、君って、槇の彼女だったりする?」



真面目な顔して聞いてきた遠江さんに

私は電車の中での彼に負けないくらいの大きな声で

「はぁ?」といってしまっていた。











「お待たせしました、ホットとカフェオレでございます」



さて、何故私は遠江さんとお茶しているのでしょう?


私の返答を聞いた遠江さんは「時間ある?」と

私を駅近くのカフェへと連れ込んだ。



「昨日さー、時間にすっごい厳しい槇がギリギリで飛び込んできて

 ピンクのメットなんか持ってるじゃない?車が拗ねたってのは連絡もらってたから

 遅刻に驚きもしなかったけど、あの色のメットは正直予想外でさ。

 現場では時間押してたから聞けなかったし、お昼はああだったでしょ?

 で、夜に飲みで聞いてもアイツ吐かないしさ~気になってたの」



ふむ・・・端からみたら昨日の槇原さんはそう見えるのか。

別に隠す事もないので、私は昨日の出来事を遠江さん話す。

話が進んでいくうちに、おっきな彼の目が更におっきくなっていく。

「ドライアイになりますよ?」と言おうとしたら

遠江さんの口から小さな声がポロリとこぼれた。



「槇が困ったからって女の子に家まで送ってもらった・・・?」


「はいそーですけど?」



注文したカフェオレが冷めてももったいないので

私は遠江さんにかまわず口をつける。

彼はフリーズしたままだ。



「あのー、冷めますよ?」



私が声をかけるとフリーズは一瞬にして溶け



「嘘でしょ!?」



と、店内に響く大声を発したあと、私を凝視した。

ホントこの人たち、声は良いのにいちいちでかすぎ。

私はそうため息をつくとカフェオレの残りを喉に流し込んだ。



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