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vol.24 *

ふわり、ふわりと意識が覚醒していく。

お布団の中で寝選り1つ。

漂ってきた覚えのある香りに目が覚めた。


慌てて飛び起きて、部屋を見回して・・・

またやっちゃった・・・


がっくりと肩を落とす。

窓からカーテン越しに差し込む光は明るく

今日がいいお天気だと教えてくれるものの

2度の失態に私はただただ頭を抱えていた。











でもだからってこのままここに籠城してるわけにも行かない。

意を決して私は寝室を後にすることにした。


静まりかえった室内。

もしかして仁さん、またお仕事で出ちゃったのかな・・・

そう思いながらリビングに足を踏み入れた瞬間

私の目はソファーに釘付けになった。


毛布を身体に巻き付けて眠る人。


寝息は深く、まだその人が熟睡していることを私に教える。

きがつけばふらふらっとソファーの側に行き、

その場にぺたんと腰をおろし、寝顔をマジマジと眺めていた。


仁さん、夕べここで寝たんだ・・・

風邪引いてないかな

エアコンと加湿器動いているけど

お布団で寝るのとは疲れの取れ方も違うよね


そう考えていると小さくうめき声がして

仁さんの眉間に皺が寄る。


もしかして悪い夢でも見てる?

なら起こした方がいい?


どうしようか悩んでいると

私の視線に気がついたのか、仁さんの双眸がゆっくりと開かれた。



「・・・真澄ちゃん?」


「は、はいおはようございます、起こしちゃいましたか?」



寝起きのかすれた声に心臓が大きく脈打つ。

なんでこんなに色っぽいの!?


仁さんはソファーから身体を起こすと

私の方をじっと見つめる。


何?何かしたかな?


ドキドキしながら同じようにみつめていると

ふいに仁さんの手が伸びてきて、その腕の中に抱きしめられた。



「え!?」



突然のことに身体は硬直。

頭の中はパニックになっていく。

でも腕の力はいっこうにゆるむことなく

まるで自分の中に私を閉じこめようとせんばかりに強くなる。

加速する心臓にもうダメだと思いかけたとき

耳元でつぶやかれた一言に心臓が止まるかと思った。



「仁・・・さん?」


「君が好きだ」




どれだけこの言葉を夢見てただろう?

その言葉が仁さんの口からこぼれ出たことが未だに信じられない。


さらにぐいっと引き寄せられ、気がつけばソファーの上に押し倒された形。


え?

え?

え!?



「拒まないで・・・俺のことを」



そういうと仁さんの顔が近づいてくる。

これはキス!?

どうしよう?でも拒まないでって言われちゃった

好きだから拒めないよ


ちょんと軽く触れた唇に顔が真っ赤になる。



「・・・かわいい」



そう言い、仁さんはにっこり笑うと

首の角度を軽く変え、今度は深い口づけを私に与えてくれた。


もう何も考えられない。


何度も交わされる口づけと、仁さんの身体と触れている私の身体

そこが熱くて熱くてしかたない。

好きな人とのキスがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

私はただ仁さんに身をゆだねるだけ。


やかて仁さんの唇が私から離れ、首筋へと移動する。

初めての感覚に背筋に走る電気。


嘘、まさか、しちゃうの!?


スカートがたくし上げられ、外気に触れた太ももに仁さんの手が伸びる。

どうしていいのかわからずに、何を言えばいいのかわからずに

思わず仁さんの名前を呼ぶ。


弾かれたように仁さんの動きが止まり、じっと私を見下ろす。


どうしたのかな、名前呼んじゃまずかったのかな

でも好きだけど、どうしていいのかわからなかったし


そう思い仁さんをじっと見つめていたら

仁さんが私の身体を越えて、ソファーから転がり落ちた。

私も慌てて身体を起こす。

と、ラグに正座している仁さん。



「ま、真澄ちゃん!?」



あれ?仁さん?

不思議には思ったものの、

先ほどの出来事を思い出して顔が真っ赤に染まる。


えーっと、なんて言えばいいんだろう?

私も好きだって言った方がいいのかな?


そう考えてた私の耳に聞こえてきたのは信じられない一言だった。











「あ、あのさ まずはごめん」



ごめん?どういうこと?

頬にあつまっていた熱が下がっていくのがわかる

誤ったってことは誰かと間違えた・・・とか?



「これだけは誤解しないでほしいんだけど

 起きてたら絶対あんな真似しなかった。

 真澄ちゃんの意志を無視して本当にごめん」



起きてたらしなかった・・・

じゃああの時の仁さんは寝ぼけてたんだ

好きという言葉も、その後の行為も全ては私ではない他の誰かへの物・・・



「起きてたらしなかった・・・んですか?

 じゃああの言葉も嘘・・・なんですね」



自分で言った言葉に悲しくて涙が出そうになる。

さっきまでが幸せの絶頂だっただけによけいに。

何故私は仁さんの好きな人じゃないんだろう

何故私はこんなにも子どもなんだろう。



気がつけば両目に涙がたまっていくのを感じる

ダメ、ここで泣いちゃ仁さんが気にしちゃう。


手をぎゅっと握り、必死で決壊を防いでいる。

お願いだから今は何も言わないで



「ち、違う!あの言葉が「君のことが好きだ」を指しているなら

 それは嘘じゃない!!」



必死で我慢していた私の耳に飛び込んできた言葉に

思わず顔をあげてしまった。



「嘘・・・じゃない?」



思わず仁さんを見つめてしまう。

たまった涙でぼやけているものの、その様子は必死で



「真澄ちゃん、いや真澄さん。俺は、貴方が好きです」


「・・・え?」



仁さんの告白に、我慢していた涙は易々と決壊を越え

ころりと頬をながれて落ちていった。

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