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vol.16

一通り悩み倒すとおなかが存在を主張する。

こんな朝でもおなかは空くのね・・・。



「・・・いただきます」



今はいない部屋の主に小さくつぶやくとパン屋の紙袋を開ける。

ふわっとただよってくる湯気とバターの香り。

中には焼きたてのクロワッサンが2つ入っていた。


パンくずを落とさないように気をつけて咀嚼する。

カフェオーレもまだ温かく、あっという間に食べ終わった私は

ふぅーと大きなため息をついた。


さて、どうしよう。


1.お金を借りて真琴さんの所へいく

2.このままお帰りを待つ


うん、2は除外だ。

ここで待ってたら間違いなく真琴さん所に連れてってくれて

その後家に送ってくれるだろう。

仁さんはそういう人だ。

これ以上迷惑はかけられない。


で、ふと考えた。

ベッドは整えた。

でもシーツどうしよう・・・

勝手に洗濯機借りる?でもそれってどうよ

このまま放置?それもなぁ・・・・


この部屋で考える事って多いな。


そう思いながらとりあえずシーツと枕カバーをはずし、たたんで部屋の隅に置く。

やっぱ洗濯機借りるのまずいし

勝手に持って帰って洗濯もまずい気がする。

これはお仕事でお疲れかもしんないけどお願いするしかない。

だって勝手にリネン探せません。


リビングのソファーに置かれていた毛布。

仁さんは夕べここで寝たのかと思うと申し訳なさでいっぱいになる。

毛布を寝室に運び、キッチンでカフェオレの入ってたマグを洗い

布巾で飛び散った水をぬぐうとほっと一安心できた。


リビングにとって返すと仁さんのメモを裏返し、そこにメッセージを記す。

夕べの謝罪、ベッドのリネンの事

お金を借りていくこと。そのお礼。


何度も文章を読んで確かめると側においてある銀色の鍵を手にとる。

まずは真琴さんに会わなくちゃ。

そう意気込むと、もう一度だけ部屋を見回して

私は仁さんの部屋を後にした。











「真澄ちゃん!」



電車に揺られて真琴さんの会社のビルへ。

どうやって連絡とろうかと悩んでいると受付にいた真琴さんが気がついてくれた。


力なくわらって見せると真琴さんはその場にいた同僚の女性に

「少しだけはずしますね」と声をかけて

私を少し離れたとこのソファーに案内してくれた


まず最初に私のウェストポーチを返してもらう。

これで一安心。

バイクにものれるしお財布も携帯もある。


ほっとしてると真琴さんに小さな声で昨日の事を尋ねられた。



「真澄ちゃん、夕べは大丈夫だった?」


「はい」


「大丈夫だとは思うけど・・・槇原さんに何もされてない?」



心臓が1つ大きくはねる。

あれ?なんでどきっとしてるの?私。


うわぁーん お姉さん目が怖いです!

その言葉にただただこくこくうなずく。

そうするとやっと安心したのか雰囲気がいつもの真琴さんに戻る。


私が仁さんの家にいた理由は鍵もなくて、家に誰もいなくて

仁さん優しいからほっておけなくて保護してくれた・・・

が、正解なんだと思う。



そう話すと真琴さんの綺麗な眉間にしわがよっている。



「あのバカな人のせいよね・・・」



ああ、バカって遠江さんですかー、やっぱり。

どんどん真琴さんの中で遠江さんの点数が下がってる気がするのは

絶対に気のせいじゃないだろう。

昨日あれだけモーションかけてたのに・・・遠江さんごめんなさい。



「でもやっぱり槇原さんよね」



真琴さんが仁さんを褒める。

それが何故かくすぐったい。


ん?さっきのどきっといい、何この感情・・・


自分の感情に首を傾げていると、真琴さんに

今日はお家に帰ってゆっくり寝なさいといわれた。

まぁバイトもないし、お風呂にも入りたいので帰るのには異存はまったくない。



「遠江さんは責任もって締めておいたからね」



と、にっこり笑顔の真琴さんがちょっとだけ怖かった。


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