悠子さんの場合-1
今回こそ、百合百合したいです!
自分の顔の造作が人より優れている、と悠子が気付くのは幼稚園へ上がる前だった。その割に情緒が育つのが遅かったのか、ぼんやりした子供だったと思う。
プレに通う前から、会う人ごとに「綺麗なお嬢さんね」と言われていた。
その単語が人の口に上る度に母親が笑顔になって謙遜していたため、褒められているのは母だと思っていた。自分が褒められていると気付いて以降は、とりあえず頭を下げることも覚えた。
結果、礼儀正しいが愛想の無い子供、という評価を得ることになった。
浮き沈みのある商売の低迷期だったのだろう、プレに通っていた悠子だが、特に私立の幼稚園などを受験などすることもなく近所の子供達と地元の幼稚園へ通い、公立の小学校へ行った。
そしてすぐに、不登校になった。
最初は名簿順だった座席が二学期でくじ引きになった時のことだ。悠子の隣の席に当たった男の子が些細な意地悪をしだしたのだ。
貸した消しゴムを返してくれない。当人が忘れた教科書を見せてあげているのに悠子に見せないようにする。ブス、ブス、とことあるごとに言ってくる。
「うるさい。ブスって言う方がブス」
振り絞るように言ったその台詞はその男の子のプライドを傷つけたのだろう、彼がちょっと人気のある男の子だったのも悪かった。悠子に対する「ちょっとした意地悪」はクラス全体に広がり、そして、悠子は学校へ行かなくなった。
おそらく彼は私のことを好きだったんだろうなぁ、イジメが本格的に女子に飛び火する前で良かったなぁ、と中学生になった悠子は幾分暢気に思う。
不登校に関して文句を言われなかったのは、体面を気にする両親にしてはずいぶんと甘い処遇だとは思うが、おそらく通っていた学習塾からの判定もあったのだろう。
「この子は○○高校へ入れますよ。いえ、親御さんがそこへ入れるお気持ちが無いのは存じておりますが、当校から宿泊費や受験費はお出ししますから是非!」
実績を出したい学習塾から、全国でも有名な複数の進学校の「宿泊費」と「受験費」を出させたことに両親は随分鼻を高くし、不登校気味だった中学時代に珍しく褒められたことは記憶に残った。
いつの間にか家業が上向いていたのか、受かったいくつかの進学校から奨学生でも入学は可能であると誘いを受けたにも関わらず、父親は悠子に馨ヶ岡に入学することを命じ、学校と言うものに対していささか投げやりな気持ちになっていた悠子は、了承した。




