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一匹の小説家  作者: 槙島
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本という生き物

何気なくただ生きてきた主人公 山浦 哲平が29歳から本を読み、本にハマり本気で小説家を目指す、後には引けない前に進むしかない物語。

自分は今から大勝負をする。絶対に負けられない戦いが始まる。

2017年12月24日、町では綺麗なイルミネーションやクリスマスソングが流れ、街を歩く人達はどこか浮かれている中、そんな自分もこの日を心待ちにしていた。

朝の6時に起きて朝の支度を済ませ7時には外を出た。心臓が少しドキドキしている。

ついにこの時が来たと思い、友人と車である場所に向かっていた。

そう自分達が向かっているのは中山競馬場。今日は有馬記念なのだ。

「クリスマスなんて俺にとってはどうでもいい絶対に勝ってみせる」

そんな意気込みを語っていると、助手席に乗っている友人の赤木が言った。

「山浦ってすげー意気込むけど毎回負けるよな」


山浦 哲平 「ヤマウラ テッペイ」 基本的にめんどくさがり屋で、活発なタイプでもなく、これといった才能はないがやたらポジティブな人間。


それにしてもなんて事言うだこいつは。今日は勝つから任せておけと言うと

「山浦は競馬以外の趣味なんか見つけろよ」と言ってきた。


赤木誠「アカギ マコト」 こいつは自分の数少ない友人で頭も結構よく自分以外の友達も結構いるはずなのに何故か自分とよく遊んでくれるいいやつだ。


「趣味って意外と難しいんだよねー」と言うと

なにを言ってるんだこいつはと言う顔で俺を見てきた。

「いや趣味ってお金かかるし、遠出するのとか少しめんどくさいだよね」と言うと間髪入れずに

「お前今日こんな混んでる中山競馬場で有馬記念にお金賭けるために6時起きまでしたくせに何言ってだよ」と言ってきた。

何にも言い返せなかった。確かにそれを言われると痛い。まぁそんな事より今日楽しもうと言うと赤木は少し笑って呆れていた。

競馬場についてからは、早くきた甲斐も会って椅子を確保することが出来た。競馬場についてからは自分は1レース目からやる気満々でいると、隣の赤木はあまり競馬に詳しくもないし、やる気もないのか座って本を読み始めていた。

だが自分はあまり気にしていなかった。他の人から見れば勝手だとか捉えられるかもしれないが、俺と赤木はあんまり縛られるが好きじゃなくお互い遊んでいても好き勝手やっていても気にならない性格なので馬が合う。けどなんとなく暇つぶしに一つ質問をした。

「赤木ってよく本読んでるけど頭良くなるために本読んでるの?それとも単純に面白いから?」こんな小学生みたいな質問にも赤木はちゃんと答えてくれる。

「楽しいから読んでるだけだよ。頭良くなるために本は読んでないよ」と言った。

なんとなくカッケーじゃねーかと思った。

もし俺も誰かに競馬好きなんですか?と聞かれたら馬が走るのがたまらなくが好きなんだ。勝ち負けはあんまり気にしないかな。と言うと決めた。本当は勝ち負けがめちゃくちゃ大事です。自分の買った馬券の馬が1センチでも先にゴール板を駆け抜けること祈ってます。

そしてやっとメインの有馬記念の11レース目になった。ちなみに1レース目から10レースは当てたり外したりを繰り返し2万くらい失った。

そんな中赤木もメインの有馬記念くらいはやろうかなと言ってきた。これまた珍しい。いつも適当に見て終わりにしてるのに。

馬券何を買ったか気になったので聞いてると「よくわかんないけど、このキタサンブラックってのが一番人気だからこれ買えば当たるんじゃないかと思ったから一万円分単勝買ったよ」と平然と言ってきた。

この時俺は、甘いなと思った。1番人気がそんな簡単に来るわけないだろーとまだ始まってもないのに気分よく競馬について赤木に語った。

赤木に山浦は何買ったのと言われたからスワーヴリチャードって馬だよと言った。ちなみに3万単勝2万を複勝に賭けた。これならいけるぜと謎自信に満ち溢れて赤木に「当たったら飯くらい奢ってやるぜ」と言ってしまった。

そしてついに有馬記念が始まった。



「これが男の引き際だー」実況がでかい声でそういうとキタサンブラックが有終の美を飾って有馬記念を制した。

何を間違えたというんだ。俺は結局1日で7万も失った。普通にショックだ。自分の買った馬は4着だった。まさか3着以内に入らないと思わなかった。

そんな中俺の隣に立っている赤木が1番人気とはいえしっかり当てている。

赤木は俺を見るなり馬鹿にしてくると思ったがこいつから出た一言目が「馬ってやっぱり間近で見る走ってる姿かっこいいね。正直勝ち負けあんまり気にならないね」と言ってきた。

待て待て待てやめてください。これ以上いじめないでください。そのセリフは俺がカッコつけるためにいつかの誰に言おうとしたセリフじゃねーか。

そして赤木が当たり馬券を交換して夜飯行く流れになり俺は車の中で何を間違えたんだーと叫んだ。赤木に競馬はほどほどにしとけよと言われてしまった。

おまけに夜飯奢ってやると息巻いてたくせに結局赤木に奢ってもらう事になってしまい恥ずかしい話だ。

そんな中車で夜飯何処で食べるか車を走らせていると「ごめん。少し本屋寄らせて」と言ってきた。

赤木は俺と遊ぶ時よく本屋に行くからこのセリフ聞き慣れたもんだ。「けどまだ手元にある本読み終わってなくない?」と言うと、これもう少しで読み終わるか新しく読む本が欲しいとのことだった。

ある意味この男は本の中毒だと俺は思った。

俺も少しは本読もうかなと言うとおすすめなの教えるよと食い気味にきた。今日1番元気だったな。

何だかんだで本屋に着いたが実は俺はあまり本屋と本があまり好きではない。

理由はいくつかある。

一つ目の理由は、本屋に何千冊とある本の中から面白いと思える本を見つけるにはどうすれば良いんだという漠然と抱いている疑問ずっとあった。赤木にこれを聞くと「色んなジャンルがあるし、正直あんまり面白くない本にもよく当たるけど何冊買ってればいずれ面白いと思える本に当たるよ」と言ってきた。要する数打ち当たるよという意味だ。ギャンブルしないくせにすげーギャンブラーぽいこと言うなコイツ。

二つ目の理由は、本の値段が高い。いや分かっています。競馬で7万も使ってるような奴が何言ってんだよと思われてるのもわかります。けど高いんです。

まず本1冊の値段がA6判と言われる文庫本の小さいサイズで650円くらいする。B6判と言われる単行本サイズの大きめの本だと1500円くらいしたりもする。

服とか家具とかの毎日使って長持ちするものになら高い値段を出すのにも少し抵抗はないけど本1冊となると少し抵抗が出てくる。読んだらもう読まないのに割高な気がするから俺はあまり手を出さないでいる。

三つ目の理由は、すげーくだらないし俺だけかもしれないが、本屋は無性にトイレに行きたくなるからだ。いや本屋ってトイレに行きたくなる薬でも撒いてるのかと疑いたくなるくらいトイレに行きたくなる。

これらの理由で俺はあんまり本と本屋が好きではない。けど今日は赤木もいるので珍しく一緒に回る事にした。


本屋に着いてからは赤木はミステリー小説のコーナーで立ち止まっていた。

俺がぼーっと本を見ていると背表紙に知っているタイトルの本を見つけた。この本はアニメ化もされたから知っていたし、俺はこのアニメを見ていた。この事を赤木に言うと「あ、うん知ってるよ」と言われた。

え、なにその薄い反応。

俺は結構驚いていた。漫画やライトノベルと言われる小説がアニメ化されるというのはよく聞くが、一般のミステリー小説の本からアニメになる事があるのかと思った。

そして一度気になってしまった以上これを買うか悩み初めてしまうと、小説の方が描写が細い事が多かったりするよと赤木に言われたので余計に悩んでしまう。


悩んだ結果俺は本を買ってしまった。普段本はおろか小説なんて絶対買わないから買っただけで賢くなった気分だ。こんなんで賢くなった気分になれるから俺は安い人間だなとつくづく思う。

夜飯を一緒に食い終わってから、19時頃には家についた。家に帰ってから寝るまでに時間が空いていたので、本を買って賢くなった気分になっている内に少しでも読もうかなと思ったので本を読み始めた。

読み始めてから気づけば時間は経ち23時手前になっていた。



俺はこんなに面白い物が世界にはあったのかと思ってしまった。



まず俺は、気がつけば4時間近くも集中した事に驚いている。

学生時代にテスト勉強や部活などをしてきたが、こんなに集中した事はないし、家にいる時でさえスマホを触ったり、意味なくテレビを付けてしまっていた。

そして1番驚いた理由としては俺は小説なんて途中飽きると思っていた。

だが読み始めたら手が止まらなかった。面白すぎた。

アニメで見た事あるし、知っている話だからこそこの本にそこまでの期待をしていなかった。だが小説では描写が細くアニメでは描かれていないような心の声や背景が事細かに描かれていた。

漫画ですら途中で飽きてしまうような俺がこんな活字だけの本に集中してしまった。

もう読み終えてしまった。

俺はこの本の事について調べたらちゃんと続きの小説があった。

だが今日はこの一冊しか買っていない。

時間も23時くらいで明日は仕事だというのに俺は気づけば外に出て本屋に向かっていた。

この時からだ俺人生が本に少しずつだが確実に侵されるようになったのは。

今は俺は本の虫になりつつある。


 





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