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第23話 封印都市アーク・ミレニア

王都・禁書区域。

選ばれし継承者のみが入室を許された、古代記録閲覧室。


「ここが……」


静かな緊張感のなか、レオンは結晶端末を操作し、記録された地図を呼び出す。


表示されたその座標には、こう記されていた。


《アーク・ミレニア》

かつて、異種族と契約した人間たちが築いた都市。

“理解なき力”が交錯し、境界を越え、封印された。


「識翼種の転移残滓、座標的に一致。間違いない。

次はこの都市が――“来る”場所だ」


王宮顧問の言葉に、レオンは頷いた。



──その夜。


王都の仮設宿舎。

リュミエルは、いつもと変わらぬ微笑みを浮かべながら、レオンの隣に座っていた。


「明日、また命を懸けるのね」


「……ああ。たぶん、これまでよりもずっと危険だ」


「ふふっ、そう。じゃあ――今のうちに、言っておこうかな」


レオンが顔を上げると、リュミエルはふと微笑を消していた。


「私はね、レオンくん。あなたが“死んだら”……世界がどうなってもいいって思ってる」


「……は?」


「あなたを救ったときから、もうとっくに“壊れてる”のよ。

ただあなたが笑ってくれてれば、それでよかったのに。最近は、他の子とよく話すよね。リュカとか。フェリスとか。王女様とか」


淡々とした声で、淡々と狂気を語る。


「だから。……あの都市でもし私が“おかしく”なっても、驚かないでね?」


そう言って、彼女はまた微笑んだ。


それは、氷のような“独占”の笑みだった。


レオンは何も言えず、その場で静かに息を飲んだ。



翌朝。


封印都市アーク・ミレニアの境界地帯に、3人の姿があった。


「この結界……構造が通常と違う。“迎え入れる”ようにできてる」


リュカが解析結果を見ながら眉をひそめた。


「罠かもな。でも、入らなきゃ始まらない」


レオンが一歩を踏み出そうとしたとき。


「ねえ、リュカちゃん」


「……なに?」


リュミエルが振り返り、にっこりと笑った。


「今回の任務、命を懸ける覚悟があるのよね?」


「もちろん。そのつもりで来てる」


「そっか。それなら安心。……あなたが“レオンくんの重荷”にならなければ、いいけど」


「……言葉の棘が増えたね、最近。何か不満でも?」


「ううん。ただ、私はレオンくんの“最初”だから。……誰にも渡さないって、それだけ」


ヒュッ、と微かに空気が震えた。

リュミエルの周囲に、無意識の魔力干渉が広がっている。


リュカもそれに気付き、対抗するように防壁を張った。


「……ふたりとも、やめてくれ。今は敵じゃない」


レオンの一声で、空気は一応収まった。だが、その火種は確かに残っていた。



都市内。

かつての魔導都市は、もはや廃墟に近かった。


だが、そこに残る魔力は“生きている”。


「この場所……誰かの“思念”が残ってる」


リュカがそう言った直後、突如、空間が反転した。


《異空間転移反応》

《種別不明存在 出現》


「くる……!」


空間の奥から、“声”が響く。


『継承者よ。試されし者たちよ』

『契約都市の記録へようこそ』


紫の霧が晴れた先に立つのは、異種族でも、人でもない――“契約の残響”だった。

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