表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれの少女、世界最強を宿して無双する〜元素魔法が強すぎて世界の奴らがまるで相手にならないんだが〜  作者: エーカン
二章 ブレイザード王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/37

一撃必殺 最強の融合パワー

 城の階段をエリスは駆けあがっていた。大きな魔力がどんどん近くなってくる。

『カゾエが近くにいるな』

 警戒しながら階段を駆け上がる。踊り場に兵士の死体がいくつも転がっている。おそらく魔物に殺されたのだろう。惨たらしい姿をエリスは目に焼き付ける。

 その時、エリスが広い空間へとワープさせられた。目の前の玉座にカゾエが座っている。

「よくぞここまでたどり着いたな、人間」

 カゾエが笑いながら言う。まるで子供を褒めているかのように。

 エリスは何も言わずに風元素魔法を発動、カゾエに殴りかかる。

 カゾエはくうから古びた杖を取り出して衝撃波を放つ。衝撃波に圧されたエリスが吹っ飛んでステンドグラスを突き破る。風の力で空中に留まると、カゾエが出てきた。

「お前、この国の人間ではないな?何故反乱軍に与している」


「魔族であるお前を倒すためだ」


「魔族だから殺すか......私の生みの親、人間でいう父からとある話を聞いたことがある。何百年も昔の話だがな」

 カゾエが語りだす。

「昔、お前のように元素魔法を使う戦士がいたらしい。炎・水・風・土・雷、五つの元素魔法を操り、人魔戦争にて魔族をあっという間に絶滅の危機に追いやった。人間界では英雄、と呼ばれているそうな。

 辛うじて生き残った魔族も、人魔戦争終結後に始まった魔狩りという風習によってどんどん数を減らしていったというのだ。希少なものを保護したいと思うのは人間の特徴ではなかったのか?なぜ同胞たちは殺されなければならなかったのか?」

 

「同情してほしいのか?」


「......いいや。ただでさえ増えすぎる人間を多少狩っても、かまわないだろう?人間が魔族を狩るなら、魔族が人間を狩っても文句は言えないだろう」

 カゾエが杖をエリスに向ける。

「元来、人間は魔人に劣る存在であるべきなのだ。己が種をわきまえろ」

 カゾエの言葉にエリスがプッと吹き出す。

「何を言い出すかと思ったら、トチ狂ったのか?今も昔もお前らは人間を殺した、だから人間の手で殺すし殺された。それだけのこと。私はそう思って魔人を殺してきた」

 エリスが拳を構える。

「罪には罰がが伴うんだ」


「お前が私を殺すこと、それが罰というのか。人間のくせに随分と傲慢なことを言う」

 カゾエが笑い出す。

「フハハハハハ!ならばこの私に殺されることがお前の罰だ!裁きあおうじゃないか、傲慢な者どうし!」

 エリスが拳圧をカゾエに放つ。それを杖で受けたカゾエが後ろに吹っ飛ぶ。

『拳圧だけでこの威力、人間とは思えないな』

 カゾエが床に降り立つ。エリスが突っ込んでくる。

「突っ込むだけか!」

 カゾエがエリスの拳を掴んで床に叩きつける。振動とともに、床を突き破ってエリスが落下していく。

「バルジュゼール」

 カゾエが無数のバルジュゼールを放つ。白く輝く流星群が城を崩壊させる。自身が潜伏していたから乗っ取っただけで、カゾエはもうこの国を支配するつもりはないのだ。

 カゾエ自身、魔狩りによって命を脅かされ、目の前で何人も同胞を失っている。生き残った魔人たちは穏健派と言われており、人魔戦争に参戦せずに身を潜めていた者たちだった。

戦争が終結し、彼らが和解に乗り出そうとした矢先に魔狩りが始まった。ただでさえ少なくなった魔族は貴重な魔法実験の材料として捕獲されるか、その場で殺されるかしか選択肢を得られなかった。前者を選んだところですぐ死ぬ運命にあるのは変わらなかったが。

 カゾエはそれを知っていたからこそ、地下に潜伏して復讐の機会を待った。力を蓄え、同胞の無念を晴らす機会を。

 それは十七年前のアンペインの消滅とカゾエがブレイザード王国を乗っ取ったことで機会は達成された。

 人間への復讐のつもりで圧政を敷き、理不尽とも思える処刑を行ってきた。人間の命を奪った分だけ、同胞の魂が救われると信じて。

 ガラにもないが、同胞を救う英雄のような気分でいた。人間がいくら反旗を翻そうとも、その火を絶やすことはなかった。徹底的に反乱を失敗させ、人間の心を折ろうとしたのだ。

「フハハハハハ!どうした、もっと抗え!」

 カゾエが高笑いする。

「くそっ、なんて威力......」

 エリスはバルジュゼールの連撃を風の障壁で防御していたが、そろそろ限界を迎えようとしていた。

『これ以上は障壁が持たない』

 カゾエがさらに攻撃の勢いを強めようとしたとき、紫の稲妻の膝蹴りがカゾエの顔面を捉えた。

「なあっ」

 カゾエが体勢を崩す。攻撃の手が緩まった隙をついてエリスが飛び上がり、カゾエを蹴り飛ばす。

「助かったよ、ユリィ」

 エリスがユリィに礼を言う。ユリィが頷いてカゾエの方を見る。

「エリスちゃんが押されるなんて、相当な相手だね」

 カゾエが放ったバルジュゼールを避けながらユリィとエリスが作戦を立てる。

「手ごたえが全く感じられなかった、全盛期には遠く及ばないみたいだ」


「そっか、エリスちゃんの魂は昔の人のだったね」


「攻略法もなしに力尽くで倒してたから、弱点とかもわからないし......」

 カゾエが地面に降り立ったのが見える。

「......私、一つ案がある!」

 ユリィがそう言って地面に向かう。エリスもすぐに追う。

「有利な位置を捨てて地上に?」

 カゾエが訝しむ。が、所詮人間の考えることなど、理解できる魔族などいない。

『近接戦に持ち込むつもりか?』

 地面に降り立ったエリスはユリィに訊ねる。

「案ってなんだ?」

 尋ねられたユリィがエリスに耳打ちする。それを聞いたエリスの顔色が変わる。

「失敗したらどうするんだ?みんながここまで繋いだものが無駄に......」


「無駄にしたくないから、確実にカゾエを倒したいからこその提案だよ」

 ユリィの瞳は強い決意であふれている。

「分かったよ。ただ問題は、カゾエが悠長に待ってくれるかどうかだ」


「やるしかないよ、エリスちゃん!」

 ユリィとエリスが横並びに均等に距離をとる。

 二人が両腕をピッと挙げる。その瞬間、カゾエからバルジュゼールが放たれた。

 爆炎の中からエリスとユリィが飛び出すように回転しながら後ろに下がる。

「やはり簡単には融合メタモルフォーゼさせてはもらえないか」

 エリスの表情が険しくなる。

「何が狙いか知らんが、好きにはさせんぞ!」

 カゾエが地を蹴り、二人にとびかかろうとする。が、そこにレイナとオウボが飛び込んできた。振り下ろされた三節混と剣を腕を挙げてカゾエは受け止めた。

「渾身の一撃を腕で止めやがった」

 オウボが思わず笑みを漏らす。レイナがエリスたちに叫ぶ。

「今のうちに!」

 レイナは彼女らが何をしようとしているのか勘づいていた。両手を真上に挙げるポーズ。ユーゴが昔、得意になって見せてきたことがあった。その時は適当に褒めて流したが......。

「今度こそやるよ、エリスちゃん」


「ああ、失敗しても恨まないでくれよ」

 二人がピッと両手を真上に挙げる。そのまま歩幅を小さく内側にカニ歩きしつつ、腕を外側に倒し、指先をピンと伸ばす。お互いがぎりぎりまで近づくと、自分の外側にある足を真っ直ぐ伸ばす。そして外側の手を前に出して、内側の手を上にあげる。そしてほっぺたをつけて唱えた。

融合メタモルフォーゼ!」




「虫けらに構っている暇などない」

 カゾエが腕を振るってオウボとレイナを振り払う。

 その時、目の前に燃え上がる炎のような光の柱が立ち上った。肌を魔力がじりじりと灼かれるような感覚を覚える。

「な、なんだ」

 カゾエが目を凝らす。光の柱は人間一人から放たれるオーラへと集束していった。黒みががった紫色の髪を一つ結びにした女がこちらを睨むように見つめている。雷と暴風を纏うその女は、自身の何倍もの魔力を有していることに気が付いた。

『あいつはなんだ?どこから現れた?さっきの女二人は何処へ......』

 カゾエが結論を導き出す。

「合体とは、人間の魔法には驚かされる。だが、本気を出した私には遠く及ばないぞ!」

 自身のもつありったけの魔力をエネルギーに変換し、戦闘能力を著しく向上させる魔帝カースド状態に移行する。この状態は全身が赤く発光し、絶大な魔力を消費するため、戦闘が長引けば、死んでしまうことすらある。

 まさしく諸刃の剣。カゾエもまた新たな境地へ駆けあがったのだ。

「死ね!」

 カゾエが女の顔面に渾身の一撃を打ち出す。女はそれを避けもせず、顔で受け止めた。爆発音にも似た音が響く。

「ククク......なに⁉」

 女は涼しい顔をして立ち続けている。カゾエは手加減したつもりはなかった。

 女が拳を引く。その瞬間、カゾエの身体を強い衝撃が襲う。カゾエは声を出す間もなく、後方に吹っ飛ばされた。

「くっ、この程度!」

 カゾエが体勢を立て直した瞬間、地面をすべるように近づいてきた女からの拳圧を無数に受けて吐血する。

『か、身体がへこむほどの打撃を拳圧で......!』

 カゾエが空中へ退避する。本能があの女から距離をとれと叫んだのだ。全身の毛が逆立つような恐怖、魔狩りから逃れていたあのときの動悸が走る。

 それは死の予感といっても差し支えなかった。

「来るな!」

 カゾエが叫んで魔力の塊を投げつける。純粋な破壊のエネルギーを女は軽々と蹴り返した。

蹴り返されたそれはカゾエにぶつかって、大爆発した。

「お前は......何者だ」

 薄れゆく意識の中でカゾエが女に訊ねる。女は答えずにカゾエの真上に瞬間移動し、虹色に輝く拳を振り下ろした。

 カゾエが地面に墜落しながら光の粒子に分解されていく。人間を恨んだ魔人の最期は実にあっけないものであった。

 それと同時に女の身体も光って、気を失った状態のエリスとユリィに分離した。

「勝ったのか......?あんなにあっさり?」

 レイナが立ち上がりながら上空を見上げる。夜明けが近いのだろうか、空が白み始めている。

「カゾエの魔力が消えてやがる、あいつらやりやがった!」

 オウボが三節混を空に掲げる。レイナも倣って剣を空に掲げる。

 それを見たユーゴが後続の反乱軍に伝える。

「レイナたちが剣を掲げている?カゾエの魔力が消えている......勝ったんだ、エリスとユリィがカゾエを倒したんだ!」

 それは瞬く間に反乱軍に伝わり、あちこちで歓喜の声が上がる。

 エリスとユリィが空高くから墜落する。歓喜の声の渦に飛び込むように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ