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落ちこぼれの少女、世界最強を宿して無双する〜元素魔法が強すぎて世界の奴らがまるで相手にならないんだが〜  作者: エーカン
一章 英雄転生

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グリスフォード学園への帰還

 太陽が西に傾いている。どれぐらい時間がたったのだろうか。シャリーとエリスが目を覚まして辺りを見渡す。いつの間にか眠ってしまったようだ。


「ん、あれ?」


 二人は木の幹にもたれかかるように眠らされていた。広場の真ん中でクレアたちが何かの準備をしているのが見える。エリスが立ち上がっておぼつかない足取りでクレアたちのもとへ向かう。


「あ、エリスちゃん、おはよう」


 薪を持ったユリィがニコニコと笑っている。


「すまない、手伝いもしないで」


 エリスが申し訳なさそうに謝るが、ユリィが首を振る。


「エリスちゃん、結構疲れてそうだったし。気にしなくていいよ」


「エリス、起きたんなら狩りに付き合ってくれ!」


「アルス、エリスちゃんはさっき起きたばっかりだよ!」


「うるせぇ!働かざる者なんとやらッて言うだろ?」


 アルスの言葉にユリィがため息をつく。エリスがアルスに向かって叫ぶ。


「何か必要なものはあるか!」


「何も!」


 アルスが簡潔に叫び返す。エリスがユリィに会釈して駆け出す。


「私は遠慮しとく。あいつ、どんな体力してんだよ。お前、何か知ってるか?」


 シャリーがエリスに尋ねる。


「え、いや.......」


 ユリィが目を逸らす。魂が入れ替わっている、と正直に話したら、果たして信じてもらえるのだろうか。そもそもそのことを口外してよいのかも分からない。まあ隠しているというよりは私たちがすんなりと受け入れすぎたのだろう。


「はあ、まあいいや。あいつ決闘の時よりも魔力の量が格段に増えてるし、そういうもんだって割り切るか」


 シャリーがため息交じりに剣を抜きはらう。


「んで、あれはなんだ?」


 その剣先は磔にされたグレナの方を向いていた。グレナが目を開けるやいなや、まるで子供のように泣きわめく。


「あ、姉貴?」


「エヴァンさんが『これで逃げ出す心配はないだろう』って言ってあの人に幼児化魔法をかけたの」


 ユリィがグレナを顎でしゃくる。


「炎元素魔法も使えなくなってるみたいだし」


 シャリーが苦笑いする。もちろん情けをかけるつもりなどいっさいないが、この光景は妹としてなかなかにクるものがある。


「.......ふっ、一生それでいいんじゃねえか?」


「おや、シャリー君、起きてたのかい?ちょっと君の火を借りたいんだけど、いいかい?」


 クレアがシャリーを手招きする。シャリーが眉をひそめる。


「え、火起こしぐらい自分でやれよ」


「働かざる者なんとやらってアルス君が言っていただろ?」


「はいはい、火を起こせばいいんだろ?」


「それとアルス君たちが取ってくる獲物の解体も頼めるかい?」


 シャリーが慌てて剣を後ろに隠す。


「これは使わないからな」


「調理用のが奇跡的に落ちてたから大丈夫だよ」


 クレアが半笑いで言う。


「ところで先生はエリスについてどう思ってるんだ?」


 シャリーの疑問にクレアが怪訝な顔をする。


「どうって、優秀な生徒だと思うよ」


「そうじゃなくて。あいつが『神託』を受けているのは知ってるよな。あいつの変わりよう、あれが『神託』によるものなんじゃないかってこと」


「うーん、神託っていうけど神から力を授かるわけではないんだよ。神が前兆や神がかり、聖職者を通じて人に考えや意思を伝えることを言うんだよ。まあ元素魔法は神から授かった力だしあながち間違いではないのだけどね。ただ神から授かった力である元素魔法において君やエヴァン君と明確に違うところがある。わかるかい?」


 クレアの質問返しにシャリーが考え込む。


「別に魔力量とかそういうんじゃないよな」


「いかにも。もっと、明確な違いがある。さてさて分かるかな?」


 クレアの煽る口調がシャリーをイラつかせる。クレアがパンパンと手を叩く。


「そこまで。君、風元素魔法を発動したエリス君のことを覚えているかい?」


「忘れるかよ。風を纏って、水色のオーラに水色の髪.......ん?なんで髪色が変化してるんだ?」


 シャリーがハッと気づく。クレアも頷く。


「君やエヴァン君は元素魔法を発動した時、魔力をオーラのように纏いはするけど、髪の色が変わったりはしない。でもエリス君は髪の色も変わる」


「個人差があるとかじゃなくてか?」


 シャリーが尋ねる。クレアが腕を組む。確かに元素魔法を使える人間は少ないし分かっていることも少ない。人によって違うこともあるのかもしれない。


「その可能性もあるんだけどねえ」


 含みのある言い方にシャリーが眉をひそめる。


「何か思い当たる節が?」


「んー、あの髪色さあ、風元素の神ウィンディとそっくりなんだよね」


 シャリーがぽかんとする。


「ウィンディ様ってあの?『英雄譚』に載ってる?エンスウェード王国の大聖堂の壁画に描かれてる?」


「うん。そっくりだ」


「じゃ、じゃああいつがウィンディ様の生まれ変わりってことか?」


 シャリーが思わず大声を出す。クレアが肩をすくめる。


「あくまで予想だし、君の言ったように個人差があるのかもしれない」


 クレアがシャリーに綿を手渡す。


「これに火をつけて薪に放り込んで息吹きかけて」


「わーったよ」


 シャリーがクレアの手から綿を取って火をつける。


「なんで私がこんなこと」


 そんな風にぼやきながらくべられている薪に火のついた綿を放り込んで息を吹きかける。瞬く間に炎が立ち昇る。


 「いやー、大収穫だったな。まさかこんなに速く狩りが終わるとは思わなかった」


 アルスたちが獲物を引きずって帰ってきた。鹿やら熊やら大きな魚やらもうたくさんだ。シャリーが唖然とする。


「そんな数取ってきてどうすんだ?」


「食べるに決まってんじゃん」


 アルスが何を言っているんだと言わんばかりの表情を見せる。


「処理にどんだけ時間かかると思ってんだ!日ィ暮れるわ!」


「おお、随分張り切ったねぇ」


 クレアが若干驚きながらアルスたちをほめたたえる。


「ガインの罠にエヴァンが魔法を仕掛けてかかった獲物をエリスと俺とコールで仕留めるってのを繰り返してたらこんなになってた」


 アルスが自慢げに言い放つ。日はすっかり暮れかかっている。


「とりあえず処理を済ませよう。じゃないと食べきる前に腐ってしまうからね」


 クレアがナイフを構える。


「よし、みんなで解体だ」


 エリスが乗り気になり、エヴァンが指示を出し始める。


「熊は俺がやる。シャリーとエリスは鹿の処理を。クレア、アルスは魚の処理を頼む。コールはユリィと一緒に調理の準備だ。何か分からないことがあればすぐにガインに聞くんだ」


「了解」


「さ、始めよう」


 各々が自分のすべきことに向き合っていく。結局晩御飯の準備が終わるころにはすっかり日も暮れ、月と焚き火が煌々と大地を照らしていた。


「はあ、かなり大変だった」


 アルスが焚火を見ながらため息をつく。コールもあくびをしながら頷く。肉の脂がはじける音が、焚き火がパチパチと燃える音が彼らを癒していく。


「肉の調子はどうだい?」


「もうすぐ焼けるんで、おとなしくしててください」


 クレアとガインのやり取りを聴きながらエリスは月を見上げる。


『ダンジョンで戦っていた時よりも魔力の量が多くなった。あの時はギリギリだった。シャリーの炎元素魔法を借りなければあの化け物を倒すことはできなかっただろう』エリスがシャリーの方をチラと見る。シャリーも考え事をしているのだろうか、ボーっと火を見つめている。皆がゆったりと思い思いに過ごす空間にエリスは得も言われぬ心地よさを覚えた。


「フフフ」


 思わず笑いがこぼれる。あんな戦いを誰一人として死なさずに終えられたのは奇跡に近い。いくら強い力を持つエリスでもそう思わざるを得なかった。


「何笑ってんだ?」


 シャリーが気味悪そうにエリスを見る。


「いいや、何でもない」


 この体を実質的に乗っ取ってからかなり経つが、エリスは、いやエリスの魂とすげ変わった五元素使いの英雄の魂は今の生活を楽しんでいた。『最初はどうなるかと思ったが、ユリィやアルスたちも私を受け入れてくれたし、シャリーやエヴァンも共に戦ってくれた。まあ、仕方ない状況だったといわれるかもしれないが。


「よーし、みんな、晩御飯の時間だー!」


 ガインが肉の刺さった串を掲げて高らかに宣言する。一同の顔がパッと明るくなる。


「いただきまーす!」


 一同が串にかぶりつく。


「ん、旨いな。うちのシェフが調理したやつには及ばないけど、なかなかいけるぞ」


 シャリーが目を丸くする。絶妙な火加減が肉のポテンシャルを最大限に引き出しているのが嚙めば嚙むほど分かる。


「調味料はほとんどないけど、そのおかげで素材の味が引き立つねぇ」


「同感だ。俺の寮の調理担当は調味料をばかすか入れるから。これくらいがちょうどいい気がするよ」


 クレアとエヴァンもうなずきながら肉を堪能する。一方でアルスとエリスが魚の身にかぶりつく。


「甘っ!なんだこれ!」


「魚が甘い?こんなの初めてだ。この前食べたのとはまた違うな」


「それはクレヤナ。まさかこっちでも取れるとは思わなかったけどね。そのまま焼くのも美味しいけど、から揚げにするのも美味しいよ」


 ガインの言葉にエリスが引っかかる。


「から揚げってなんだ?」


 アルスがプッと吹き出す。クレアもエリスの発言に笑い出す。


「フフフ、君、物忘れがひどすぎやしないかい?」


「から揚げはあれだよ、醬油とすりおろしたニンニクに漬け込んだ魚や肉に衣つけて油で揚げるやつだよ」


 ガインが説明するが、エリスはますます困惑を深めていく。


「醬油?ニンニク?」


「それらは『ヴェリタス帝国』が起源とされている。今から三百年ほど前にヴェリタスで様々な作物や調理法が開発されたと、歴史学の教授が言っていた」


 エヴァンが説明を続ける。


「だが不可解な点がいくつかある。まず作物だが、歴史書に記載されている従来の作物とは全く違うものが同じ時期に数百種類確認されている。突然変異や交配の成功だと考えるには数が多すぎる。調理法についても同時期に多く開発されているようだ。塩焼きや簡単なスープなどは当時から存在していたようだが、新種の作物が出現したあたりからヴェリタスの食文化も大きな転換期を迎えた」


 解説を話半分に聞く者、はなから無視する者、真剣に聞き入る者、反応は様々に分かれたが、エヴァンは気にせずに解説を続ける。


「お前たちが言っていたから揚げだったり朝ごはんで良く出るパンも、前学期の課外授業で振る舞われたカレーや炒飯も、複雑な調理過程を経るほとんどの料理がヴェリタスから広まっていたものなんだ」


「従来から存在していた調理法も大幅な改良が加えられているしね。肉を調理するにしても、香辛料をまぶして焼いたり、野菜と一緒に煮込んで甘辛く味付けしたスープにしたりね」


 クレアが自分が言った料理の数々を思い浮かべてよだれを垂らす。


「お腹がすいてきたよ」


「いま食べてる真っ最中だろ」


 アルスが呆れてつっこむ。だがクレアは気にも留めない。


「学園に戻ったらアリス寮長に作ってもらおうかな」


「実に興味深い話だった、ありがとう」


 エリスがエヴァンに礼を言うがエヴァンは何も言わずに肉を頬張る。こうして夕食の時間も過ぎていき、程なく睡魔に襲われたエリスたちは地下室に入って睡眠をとった。


 地下室への階段のそばに腰かけたクレアが満点の星空を見上げる。あんなことがあったが、心は安堵に満たされている。みんな無事に戻ってくることができた。誰一人欠けることなく。まあ、自分が一番先に欠けるかもしれなかったのだが。


「.......きれいな星空だ」


 クレアがポツリと呟く。学園に戻ったらどんな授業をしようか。今回の件で監督責任を取らされて解雇になったら話は別だが。


『そうなったら久しぶりに先生に会いに行こう。元気にしているだろうか』


 クレアが『先生』との暮らしを懐かしむ。流れ星がいくつも夜空を駆ける。







 次の朝、まだ日も登りきらないうちにシャリーとエヴァンはグレナを連れて森を出立した。学園に到着次第、すぐにこちらに馬車を送ってもらう算段になっている。


 その二時間後くらいにエリスたちは起床し、上にあがってきた。


「おはよう、君たち。井戸は残ってるから顔洗っておいで」


「はーい」


 クレアに言われてエリスたちが井戸に向かう。少し離れたところに穴が開いている。そばにロープが括りつけられた桶が置いてある。ロープを井戸に垂らし、冷えた水を掬い上げる。


 顔を洗い終えた一同はクレアのもとに集まった。今後について話があるらしい。


「とりあえず野外実習は中止だ。何が起こるか分からないからね」


 エリスたちが頷く。普通に考えればそうだろう。というか一刻も早く学園に帰りたい。


「シャリーたちが学園に到着次第、こっちに馬車を送ってくれる手筈になっているよ。だから夕方には森を出れるんじゃないかな」


「でも帰ってる途中で夜になるんじゃ?」


「盗賊とか出たりするんじゃないか、金目の物持ってないから大丈夫だろうけど」


 ユリィやアルスが心配するがすぐにエリスとクレアを交互に見て頷く。


「この二人がいれば問題ねえか」


「エリスちゃんと先生がいれば大丈夫だよ」


 クレアが苦笑いする。


「君たち......ま、良いか。なんせ馬車が来るまで暇だから吹き飛ばされた荷物でも探しに行ってくると良い。あまり遠くに行きすぎないことが条件だけど」


「分かった、みんな行こう」


 エリスたちが森へ歩いて行く。


「小屋が消し飛ぶほどの衝撃波だぜ、森はピンピンしてんのすごいよな」


「自然の力は強大なんだね」


 森を歩きながらアルスがしんみりしながら言うと、ガインも頷く。


「あ、見つけた」


 ユリィが木の幹に引っかかったカバンを見つけて指をさす。


「おぉ、ラッキーだったね。じゃ、さっさと戻ろうか」


「ああ」


 各々が荷物を持ってきた道を戻りだす。クレアが木の枝で土をいじっているのが見える。


「何してるんだろ、先生」


「そういや先生めちゃくちゃ強かったな」


 アルスが思い出したように呟く。ガインとコールも頷く。


「怒らせるのはまずいね」


「言うこと聞いとこう.......」


 ユリィも笑いながら頷く。


「悪者も先生がやっつけてくれたしね」


「え?」


 アルスたちが一斉にユリィのほうを向く。ユリィが怪訝そうな表情を見せる。


「ん?何かおかしなこと言った?」


「お前、何も覚えてないのか?」


 アルスが愕然として言う。エリスとクレア以外の人間は全員、ユリィがあの斧の悪党を消し飛ばした所を見ているのだ。


「?意味わかんない」


 ユリィが首をかしげる。アルスたちは苦笑いしてこの話題を切り上げた。


「おや、随分早かったね!」


 クレアが木の棒を振り回す。


「荷物は全部残ってました!」


「良かった良かった、早く戻っておいで!」


 そこから数時間が過ぎ、学園からの馬車が到着した。しかもその馬車はペガサスであり、空路を使えることを意味していた。クレアたちは早速馬車に乗り込んで、森を後にした。窓から顔を覗かせたユリィが下を覗いて絶叫する。


「高いぃぃ!」


「落ちないように気を付けるんだよ」


 クレアがニヤニヤしながら注意する。こうしてペガサスの馬車は空を悠々自適に飛び、グリスフォード学園に戻っていった。







 結局、グリスフォード学園の冒険者コースの寮に到着したのは夕方過ぎだった。アルス、コール、ガインが手を振って男子寮の方へ走っていく。


「さて、私たちもアドラルクに戻ろうか。みんな待ってるだろうし」


 クレアが扉を開ける。その瞬間、寮長アリスと副寮長セイラが飛び出してきて、クレアの脇をすり抜け、ユリィに抱きつく。


「けがはないか?」


「無事でよかった.......本当に無事で.......」


 そんな二人を後目にクレアが自虐的に笑う。


「フフフ、悲しいねエリス君」


「一緒にするな」


 アリスに撫でられながらエリスがジト目でクレアに言い放つ。


「なっ、エリス君、裏切るというのかい⁉」


 クレアが悲しみの悲鳴を上げる。アリスがクレアの方を向く。


「先生もよくぞご無事で。エヴァンさんから事情を聴いて、ずっと心配しておりましたの」


「ふふ、野外実習に参加した冒険者コースの生徒は全員無事だったよ。事の元凶も捕縛したし、後はシャリー君、エヴァン君に任せるしかないけれども」


 クレアが微笑みながら伝える。それを聞いてセイラが慌てる。


「冒険者コースがどうなるかは分からないんですか?」


「ああ、分からないよ。全員退学になるか、お咎めなしか、はたまた一年生だけ退学、私も責任問題を取らされて辞職。色々考えられるね」


「三年生はいいとして、エラやニュイ、そしてユリィたちはどうするんだ」


 セイラが言うがクレアが指を振る。


「私には特大のコネがあるからね。各国の冒険者ギルドに繋ぐことなんてお茶の子さいさいだよ」


「コネって、『先生』のことですか?」


 アリスがクレアに尋ねる。ユリィとエリスは何のことやらさっぱりのように三人の顔を交互に見ている。


「うん、先生は世界を一度救ってるからねぇ、貸しの数は伊達じゃないと思うよ」


「確か、四十年程前に起きたとされる『滅亡メギド演舞ワルツ』から人類を救ったとか」


「滅亡演舞?それっていったい.......」


 エリスが尋ねると、クレアが説明を始めた。


「四十年前、クレニード王国という大国があったんだ。エンスウェード王国からうんと離れたところにね。そこで人類を悪と断定して殲滅しようとする奴が現れたんだ。先生によればそいつは自分を神だと自称していたそうだ。そいつはクレニードだけでなく、他の国も滅ぼしていってたんだが、当時冒険者として活躍していた先生.......君たちは名前を知らないね、イズヒサって人なんだけど、その人がパーティーメンバーと共に立ち向かって犠牲を払いつつもその神を自称する奴を退けたらしいんだ」


「そ、そんなことが.......授業では習ってなかった.......」


 ユリィが呟く。


「資料が残ってないからね、私も先生に聞くまで知らなかったし」


  クレアが懐かしむように呟く。エリスが腕を組む。私が死んでからも世界の危機は訪れていたようだ。その時生きていたからと言って『滅亡演舞』を止められたかどうかは怪しいが。


「さ、こんな所で立ち話もなんだし、中に入ろう。ニュイたちに帰ってきたことを伝えないとね」


 クレアが寮に入っていく。エリスたちも後に続く。ご飯を食べてお風呂に入って、ふかふかのベッドで一日を終えよう。そう思うエリスであった。

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