表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

別の世界ではただの日常です

スマートフォン命

作者: 茅野榛人
掲載日:2023/06/10

 すっかり外も暗くなり、満腹にもなった俺達は、幸せいっぱいの状態でホテルの部屋に帰って来た。

「いやー美味かった!」

「滅茶苦茶美味かったな!」

「苦しい……」

「三回もおかわりしたんだから当然だろ」

「つい調子に乗ったわ」

「俺風呂入るわ」

「ん……分かった……」

 シャワーで今日かいた汗を全て流し、風呂で身体を温める。

 すると突然部屋の方から何かしらの破裂音が聞こえた。

 まるで、大きめの水風船を破裂させた時ような、水音を含んだ破裂音だ。

「どした? 何した?」

 友人に声をかけるも、返事が返って来ない。

 出かけたのか? だとしても先ほど聞こえてきた水音はどう説明する……。

 俺は風呂を終えて、部屋に戻った。

 身体が硬直した。

 部屋は真っ赤に染まっており、ベッドには真っ赤になって横たわっている友人がいた。

 部屋中には、血のにおいが立ち込めていた。

 俺は直ぐに救急車を呼んだ。

「大変残念ですが……お亡くなりになられています……」

「そんな……」

「ただ……」

「ただ?」

「落ち着いて聞いてほしいのですが……」

「はい……」

「この方……胸部に巨大な穴があいているんです」

「……はい?」

「まるで……爆弾が爆発したかのように……」

「……」


 あの旅行をした日から数日が経過した。

 友人の死には謎が多すぎた為、ニュースになった。

 しかしあの謎の死は、友人だけに留まらず、世界中で発生し始めたのだ。それも……友人が死んでから……。

 俺は度々スマートフォンでニュースを見るようになった。

 今日もインターネットでニュースを見ていると、こんな記事を見つけた。

『謎に包まれた死の連鎖の共通点が判明』

 俺は直ぐにその記事を読んだ。

『亡くなった方々は全員、充電の切れたスマートフォンを所持、もしくは破損したスマートフォンを所持していたとの事』

 スマートフォン……友人のスマートフォンは捜査の為と警察が預かっている。

 謎の死とスマートフォンが一体どう繋がるのだろうか……。


 休日、たまには散歩をしてみようと、公園を歩いていた。

 暫く歩き、疲れてベンチで休んでいると、向かいのベンチに座っている親子が目に入った。

 母親の方は、息を切らして休んでいるようだった。

 子供の方は、スマートフォンを横にして持っていた。

 恐らく、子供に母親のスマートフォンを渡して、インターネットの動画を見せているのだろう。

 その時だった。

 パン!

 突然母親の胸部が破裂し、風穴があき、母親の周辺が真っ赤に染まった。

 公園にいる人達は悲鳴を上げ、パニック状態になった。

 まさか……子供の持っている……あの母親のスマートフォンの充電が切れるかしたが為に……いや……そんな馬鹿な事……。

 その時直ぐ近くに立っていた女性が口を押えようとした時、手に持っていたスマートフォンを離してしまった。

 俺は嫌な予感がして、落ちて行くスマートフォンを、スライディングしてキャッチした。

「大丈夫ですか?」

「あ……あの……気分がちょっと……」

「肩捕まって下さい」

「あ……ありがとうございます……」

 俺は女性をベンチに座らせ、俺も女性の隣に座った。

 救急車を呼び、蹲る女性の背中をさすりながら話をしていると……。

「お礼に……連絡先……教えます」

「いや、そんなお礼されるほどの事をしたわけでもないですし……」

 断ろうとしたが、既に女性は手帳にペンを走らせていた。

 走らせた部分を切り取り、俺に差し出した。

「私なら大丈夫なので……これ……私の携帯の電話番号と……私のSNSのユーザー名です」

 女性の目は、心なしか輝いているように見えた。

 俺はその輝きに圧倒され、紙を受け取った。


 公園で女性と別れ、家に帰宅すると、スマートフォンに電話がかかって来た。

 表示された名前は、俺の母親の名前だった。

「もしもし?」

「あ、もしもし! 大変なの!」

「何? 何があったの!?」

「夫が……夫が!」

「え? 父さんがどうかしたのか!」

「う……う……うん! ねえ……こっち来て!」

「分かった! 直ぐそっち行くから!」


 慌てて実家に帰ると、いきなり変なにおいに包まれた。

 血のにおいだった。

 俺は最初に居間に入った。

 そこには母がソファで怯えていた。

「母さん!」

「と……突然……変な破裂音みたいな音が聞こえてきて……聞こえた方向に向かったら……夫が……」

「父さんは!?」

 母は首を横に振った。

「そんな……破裂音は……どこから聞こえてきたの……」

「私達の……寝室……」

 俺は直ぐに両親の寝室に向かった。

 そこは辺り一面真っ赤になっていた。

 俺は直感で、スマートフォンの充電が切れた、もしくは破損した事が原因だろうと考えた。

 何時しか世界は……スマートフォンと持ち主の命が繋がった世界になってしまった……確証は無いが……亡くなった人の共通点である以上……そう考えざるを得ない……。

 部屋に戻ると、母は誰かと電話をしていた。

 その時だった。

 パン!

 俺と居間が真っ赤に染まった。


 相続登記を終えて、家に帰って来た。

 疲労に塗れた俺は、ショックの気持ちを抑えられず、前に貰った紙に書かれた電話番号に電話をした。

「……もしもし?」

「もしもし……俺です……前に公園で会った」

「あ……ああ! あの方でしたか! どうしました?」

「取り敢えず……家に来てくれませんか……」

「……わ……分かりました!」

「今から言う場所で待ち合わせしましょう」

「OKでーす!」

「言いますね……」

「はい!」

 場所を読んでいる途中で、電話が切れた。

 俺は直ぐにかけ直したが、繋がらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ