1年ぶりに帰還したら部下が断罪され出したのだが
エミール・ブランダールは第一皇子でありながら、皇太子ではない。彼の能力に問題があるというよりは、母親が第三王妃であるせいだ。第三王妃は平民の出であり、今は亡くなっている。対してシザールは皇后の子であるため、特に何か活躍した訳ではないが皇太子という地位を得ている。
「お初にお目にかかる、ベルツェ第二騎士団長。第一騎士団の、エミール・ブランダールだ。」
圧倒的なオーラがあり、皇太子であるはずのシザールは即座に剣を納めて礼をしていた。
「お目にかかれて光栄です。助けて頂き、ありがとうございます。」
丁寧に礼をする。
「王家の問題に巻き込んでしまって悪かった。一連の騒動は両陛下の耳にも入っている。シザールは覚悟しておいた方が良い。」
「し、しかし兄上!」
「もうそろそろ陛下が来られる。大人しくしていろ。」
シザールは一応兄のことを尊敬しているのか、エミールが私に丁寧な対応をするのが気に入らないらしい。
まあ、シザールと私は同い年であり、私は魔法特化であり彼は剣術特化型であること、次期王に対して私が平民出であることから、ご令嬢方の言葉を借りるなら正反対の有料物件なのだそうだ。
ちなみに、自分であまり言うことではないが、容姿に関してもタイプの違うイケメン同士であり、かつ私の方が顔が整っているらしい。
また、私には実績があることもあり、シザールは私を勝手にライバル視しているし、そもそも気に入らないのだ。
シザールが口をつぐんだその時、階段の上の方から、大きな扉が扉が開く音がした。
「両陛下、御入場です!」
皇帝と皇后が入城し、階段の上の王座に座った。
「今宵は勝利を祝うために皆を集めた。早速だが、戦争で活躍した家臣に褒美を与えねばならない。各辺境伯には各戦争ごとの賠償金の1割を授けよう。第二、第三騎士団は施設の改善だったな。叶えよう。それと、第一皇子とベルツェ団長には特別に褒美を授けよう。壇上に登りたまえ。」
…?
第二騎士団は皇帝の護衛でもないし、私が壇上まで登らされる理由もないはずだ。
特別な褒美、というのも嫌な予感がするが…。
それとも、婚約破棄騒動に関して何か言われるのか…?
「はっ。」
横でエミールが返事をする。
「…ありがたき、幸せに存じます…。」
戸惑いながらもエミールの後ろについて行く。
階段に登り、壇上の玉座に座る皇帝と皇后の前に膝をつく。
やはり、大国の君主たるもの、オーラというか、圧が大きい。王族に囲まれていると、潰されそうな錯覚に陥る。
…アイリスはこんな場所に何度も立っているのか…。流石だな。帝国一の貴族令嬢の名は伊達じゃない。
「さて、愚息がすまなかったな。アイリス嬢にも後で謝らねばなるまい。」
皇帝は小声で話しはじめた。
私達が登り切った時点で防音魔法がかけられ、壇上の会話は下には聞こえないだろう。
「…勿体無いお言葉にございます。」
間違った返答をしてはいないだろうかとヒヤヒヤしながら答える。のしあがってもあくまで魂が平民であるためか、アイリスや先程のシザールの恋人のような肝っ玉の強いことはできないのだ。
「エミールも、事態の収拾、ご苦労であった。」
話しかけられると、エミールは顔を歪めた。
ものすごく。はぁ?みたいな感じで。 あまり話したことはなかったのだが、実の父親とはいえ皇帝にこんな顔を向けるとは。
「…長いんだが。話さんとしてることは予測はついている。さっさと話したらどうなんだ?」
そして、口調もキツい。
「ははっ。そうだったな。」
「話というのは、私からさせて貰えるかしら?」
皇后がいきなり口を挟んだ。
「単刀直入に言うとね、ベルツェ卿、あなた、私の娘婿にならないかしら?」
……は?




