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塔のこぼれ話  作者: 炯斗
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身長の話

コクマの人間は背が高い。占術局によると、その平均身長はコクマ全域で180。モンテスクに限れば185あるそうだ。

ナナプトナフト、オブシディマス、ルルイエ、ユーリカ、アカシャ。なるほど、コクマ出身者は皆背が高い。ルエイエが小さかったのは幼かったからだ。父親は他国の出でそう大きくはないが、成長したルエイエの背は今や父と並ぶ。

他国から来た者は驚くものだ。特に南方民は平均身長が低いので、恐怖すら感じると言う者もいる。

「らしいよ」

「あくまで平均だから」

「でかけりゃいいってもんでもないだろ」

カルタが聞いた話をそのまま伝えると、フィアとマキはそういって鼻を鳴らした。

「だいたい、先輩だってそんな大きくないでしょ」

「え?オレ関係ある話?」

あくまでホーマサスの話。自分には関係ないと思って話していた。

「そう言うなら、猫がでかいのも関係ない話だな」

そもそも何故こんな話になったかと言うと、フィアがルエイエに背を追い越されたと嘆いたからだ。

「そういや、フィアちゃんの出身って何処?」

「一応コクマです。……だいぶ端っこだけど」

生まれはラインストレートの西端だったと記録されている。哀しいかな、ラインストレートの平均身長はそこまで高くはない。

「学長の背が伸びて何が問題なの」

「釣り合い!!」

しかし考えてみれば聖霊の写しはかなり大きかった。血を引いているとされている以上、学長の背が更に伸びても不思議はない。母親である魔女だって、ヒール分を差し引いても背が高い。

「いいだろ。師が大きい方が威厳が判りやすくて」

「そうだけど…そうだけど…!」

もう30年は小さいサイズの学長を見てきたフィアはイメージの更新が追い付かない。

「あんたそういうところがジジイだよな」

「なんだと」

一瞬ドキッとしたが、ただの軽口だと思い直す。マキは偶にフィアの事情を全て知っているのではと思わせるような発言をする。そんな筈ないと思うが、同時に、マキならば知っていかねないとも思う。この察しの良い親友をフィアは未だに測りかねている。

「いいじゃない。フィアちゃんは」

カルタはするりとフィアの指を絡めとる。

「オレと釣り合い取れてれば」

極上の笑みを向けられて言葉に詰まるフィア。

「俺の居ないところでやってくれます?」

マキは無になってノートを閉じた。

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