浮島 1
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樹歴864年
気が付けば、森の中に居た。
どうやらターミナルストーンの研究中、某かの事故が起こり転送機能が暴走したらしい。
「と、いうわけだ」
ルエイエは巻き込まれた面々に視線を向けた。
「えーと…どうして休憩室が巻き込まれたんですかね??」
アルバが軽く手を挙げ発言する。急な転移の理由はそれとして、ルエイエは休憩室には居なかった。休憩室に居たのは──
「おそらくターミナルストーンの欠片を持った私が居たからでしょう」
「共鳴ね」
学長の研究を手伝う、ファズとユーリカだ。オブシディマスが鋭い視線を向けている。
「うわぁ、タイミング悪かったな~」
パーブルの嘆きに、普段あまり休憩室を利用しないノルドも同調を示した。
「どうなさるおつもりです?」
パーブルに絡まれて退室が遅れたガイも巻き込まれた身だが、起こった事は仕方がないと飲み込んでいる。
「すまない。急いで解決策を探すから、暫く生徒たちの事を頼むよ」
げんなりする講師陣にキョロキョロと好奇心を露にしている学生たちを任せ、ルエイエは上空に目をやった。
「意外と未知の世界だ、此処は。魔術が使い辛いから気を抜かないように」
オルクレアは逆に地を見つめ、首を捻っている。
「うーん、ホントだ。それに大地がなんだか変な感じ。きゅんってして、きらきらってなってる」
リーザは「何言ってんだ?」と顔に出ているが、黙って成り行きを見守っていた。
「此処は森だが…とんでもない地形だな。聞いた事も無いぞこんなの」
遠くに視線をやったまま、ルエイエはひとりごちる。
「え、なになに。どうなっちゃってんの?」
学長にも気軽なパーブルに眉を顰める者は此処にはいない。
「使い魔の使用が得意な者は…あぁ、早速ハトくんが飛ばしてるな」
ハトは先程までの学長と同じ様に何処か遠くに視線をやったまま呟いた。
「………浮いてる」
「流石ハト。私はダメだ、全然飛ばせないぞ。どうなってんだコレ」
「え、あれ?本当だ…」
ケイナやソーマもハトに続くが、使い魔の形成自体難しかった。魔術が使い辛いというのはこういう事らしい。ルカだけは「よくわかんない」と首を捻っている。
「…精霊が少ない…?」
「いや、突っ込みなさいよ。浮いてるってどういう事よ?」
ハトの調査結果に誰も触れない事に苛々し始めていたエトラは、ユークの発言につい口を出してしまった。
「浮いてるって言ったら、地面から離れている状態のことですね、と」
「だから何がって訊いてんでしょうが」
暢気なネレーナの発言に再びツッコミを入れるエトラの横で、ファズは呆然と言葉を溢した。
「………まさか」
その呟きをオブシディマスが拾う。
「…空に浮く島、か」
全土を歩いて回れる程度の小さな島だ。方角は解らないが、島の両端は森で、一方は山になっている。中央には草原が広がり、島を二分するように川が流れている。ただ尋常でないのは、この島が浮いているという点だ。
山になっていない方の森には廃墟があった。小さいが石造りで頑丈なその建物を、一同は当面の拠点とすることにした。
「丁度良く建物があったな。リーザくん、ノルドくん。ちょっと先生たちは借りていくから、生徒たちを頼むよ。一応ボクも見てはいるから、好きに探索でもしてくるといい」
「あ、はい」
「了解です。もう出掛けちゃってるみたいですし。リーザ、追い掛けよう」
「なんて行動的!もー!声掛けるくらいしてよー!」
一事務員と購買員は自由な学生たちを慌てて追い駆けていった。




