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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
夢をさます手
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092 西への旅立ち

国狭くね、と思ったので旅にかかる時間を少し伸ばしました。


夜を越してから二日ほどかけてビットにたどり着いた。

ビットに来るのも久しぶりだ。ここに来るまでの二日間は特に何事もなくただ普段通りに話しながら来た。ナナと少し仲良くなれた…かな?

「船に乗るんだよね」

「そう!乗りたいんだ」

「じゃあ市街地を通り抜けて港に向かうか」

「そうしよう」

「一度来たことあるから任せてよ」

「おお!」

俺はちゃんと港までたどり着いた。だから特別非難されるようなことはないはずだ。

「どうしたの」

「いや別に何も」

「ここが港だよね」

「そうだよ」

「凄いね、空との境目がまったいら!」

「青いとかより前にその感想が出てくるんだ」

「もっと前はずっと山だったから」

「そういえば言ってたね」

「?」

「どうした?」

「ずっと止まってなくていいよ、歩きながらでも見れるから」

「…」

「もしかして」

「…」

「港までの道は分かるけど船の乗り方とかは分からない?」

「…い、以心伝心はコンビネーションの基本だよね、これできっと戦闘も大丈夫だね」

「どうするの」

「分からない」


適当に歩きながら考え込むこと、こと……1時間はないと思いたい。

「兄貴、見覚えのある輩が歩きまあってぃあす」

この滅茶苦茶に滅茶苦茶な語尾は!

「おう、どうした」

「どういたしたのですか」

「知り合い?」

「知り合いだけど関わらない方が良いと思うよ」

「おおおお、あんときの毒助じゃねえか」

ほらなんか厄介な雰囲気が

「何してんだ?」

「え?」

「どうしたんです、ぽかんとして」

根に持たれてない?

「毒助えー」

「あの、港で船に乗ろうとしたんですけど乗り方が分からなくて」

「乗る船の当てはあんのか?」

「ないです」

「じゃあ俺たちの乗るところに乗らねえか」

「え?」

「いいんですか?」

ナナも驚いてる。

「ああ、いいぜ。あの毒は絶対に使える。しかもあの時のままでもないんだろ?」

「もちろん!籠手がないならほとんど消せるよ」

「物騒でぁぃんす」

相変わらず滅茶苦茶な語尾は治らないんだ。

「上等、じゃあついて来い。話は俺が通してやるよ」

「ありがとうございます」

「兄貴、あの時喧嘩を吹っ掛けなければいい後輩になったんじゃないでしょうか」

「うるせえ!あの時はあれがしたかったから良いんだよ!」

「そうやって気分で人に対して迷惑かけるから敬遠されるんですよ」

「一番気にしてるところ突くな!」

「でも辞めるきねーなら別によろしでぁねがすか兄貴」

「そうそれだ、言いたかったのは」

「はあ」

賑やかだ。ついていけずに取り残される。

ナナと顔を見合わせる。

そして黙ってついていく。


しばらく歩いていくと大きな船が見えてきた。

「今から乗るのこれ!?」

「大きい」

「立ち止まってないで乗れよ」

「見慣れてない子供が驚くのはわかりゃすけどねぇ」

あの小馬鹿にしたような笑い方、腹立つ。

「本当ですよ、猛毒は合っても人生経験はないんですから」

こいつ、常識人面してたくせに相当煽りやがる。

「ほんとに知り合い?」

「知り合いではあるよ、知り合いでは。初対面の印象も更新された印象も最悪だけどね」


船に乗り込んだ。

「ところでこれは何処へ向かう船なんですか?」

「ああそれか、西の方だぞ。いったん途中で港を経由してから西の大陸に行く」

「別大陸!?」

「ああ、西の方のな。一番未開の地と言える大陸だ。まあ、野蛮って意味では北西のには敵わないが」

「未開の地?」

「俺達からするとな。話に聞くところによるとすでに住んでいる住民は入るようで、彼ら間での交流はあるそうだぞ」

「なるほど、未開というより未踏なんですね」

「そういう事だ」

「分かりました」

「いっちまった」


「ナナー」

「どうしたの」

「初めての船旅だけど結構長くなりそうだよ」

「え」

「酔った?」

「?、船って酔う物なの?」

「らしいよ」

前世含めて今まで乗ったことがないから俺もあくまで伝聞だ。

「窓の外を見たら海が気持ち悪いくらいに動いてるから」

「ああ、なんかスキルがあるんだっけ?」

「そう、それのせい」

「ゆっくり休んで…」

「うん、しばらく寝る」

この場合寝るっていうのは船酔い解消に良いのか?

さて、今ナナが寝ているのが貰った部屋だ。とても窮屈でとても二人では寝たくない。寝ようと思えば寝られるだろうが。なので交互に寝ることにしている。

でも幸いにしてナナが寝るときは丸まっているので座っていれば俺もいは入れる。

歩き疲れているから俺も少し休もう。

まどろみながら窓の外を見る。部屋は窓が一つだけ開いていて、俺が窓のそばの角にいる。

そういえば海と言えば釣りだよな、でも船の上から釣りとかできるのか?甲板に釣りしてる人いたっけ?観察するのを忘れていた。

それに加えて、ナナに具体的な目的地伝えるのも忘れていた。

思えば今回の旅もなんだかんだ言って成り行きだ。

まあでも、それでもいいか。いままでもそうだったし。



シューラッド王国王城にて。

「自治区の奴ら、またも竜斬りに取り入ろうとするか」

「彼は人を探して放浪しています。もし仮に自治区が全面的な支援を条件に竜斬りを取り込めば…」

「それに最近不穏な動きも上がっています」

「なんだ、言ってみよ」

「はい、最近自治区との境界にある関所の出入りが多いとのこと。現在違法な出入りが確認されていませんが、やはり急な量の増加は異常です」

「陛下、これが機ではないでしょうか」

「はい、着々と兵の数も増えているとの報告もあります」

「騎士団長!」

「は、ここに」

「自治区討伐の許可を出す。出陣は勝手だが、一度出たら逃すでないぞ」

「分かりました」

陛下と呼ばれた一人の男が城の奥へと進んでいく。会議は終了した様だ。

こうしてフェリックスの旅の裏で広がるもう一つの物語が幕を開ける。



そこには一面の森が広がる。海岸はそのほとんどが崖になっており、海から内陸へとなだらかな斜面が続くのはごく一部だ。

それだけでなく、その大陸ではすでに独自の魔術や呪術などの固有の体系を形成している。それらはとても特殊であり、簡単に言えば少ない魔力でより巨大な事象を引き起こす事が出来るのだ。それは他の地域よりも魔力が濃い故にできる事であり、侵略者は常にその魔術に苦戦してきた。

しかし、魔力が濃いのであればその魔力から魔物が生まれてくることもある。しかしそれもここまでにはならないだろう。

その大陸では現在魔物が異常発生している。その魔物は溢れ、遂には海を渡るようなタイプが発生し、中央大陸までたどり着いた。それらの魔物から事態を察知した中央大陸側の各国は西の大陸の原住民を|助ける(恩を売る)ために魔物の討伐隊を募った。

それがフェリックスたちが向かう戦いのあらすじである。


この噛ませ犬のような彼等がフェリックスたちを覗いて最初の1、2章をまたいで登場するキャラになります。この人達はノリで悪事を働いたりノリで善行を積んだりする人です。そのどっちを行う時も悪いと思ってないし、良いとも思ってないです。気分屋つまり猫、だから犬なのに猫。何言ってんだろ。

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