090 助言と再開
違うんだよ、君はもういいんだよ。ランスロットな妖精が来て欲しいんだよ。
第1章最終回です。
「まあ、フェリックスも頑張って帰ろうとしてたんだ。そう怒らないでくれ」
「もう、じゃなくてそもそも怒ってない」
「それならいいんだ」
「じゃあ昼食の準備して来るっす」
「そういえばもともとフェリックスの担当なんだっけ?」
「違うっす、新しく変わっただけっす」
「それならよかった」
「何がっすか?」
「ああ、いや、念のため念のため」
「?」
「気にしなくていいんでしょ?なら私はやることもないし寝てる~」
「ローシェの奴は変わらないな。…そういえば」
「どうかしたんすか?」
「【竜斬り】さんはフェリックスが何人かで来るような言い方をしなかったか?」
「そうかもっすね、あんま憶えてないんすけど」
「まあそこも昼食時に期待って事で」
「分かった、期待しておく」
「期待ってそういう事なんすか…」
「もうそろそろ昼食が出来てそうだけどどうする?降りる?」
「降りる降りる、私に食事させないつもり!」
「え、さっき人見知りって」
「…」
「沈黙は金、なるほどこういう」
「はいはい、行こう行こう」
ナナに押されて部屋の外に出る。あくまで俺を先に立たせるつもりの様だ。
「昼食出来てます?」
「出来てるよ~」
「ローシェさんは作ってないんじゃ…」
「何のことかな?」
「まあローシェはいつも通りだな」
「つまり?」
「作ってないね」
「やっぱり」
「ローシェさんのなまけ癖の話は置いておいて食事運んでほしいんすけど」
「なまけ癖言うな~」
あれ?ナナ?
角に隠れている。深呼吸をしている様だ。その間に他の人達はもう皿を運びに行ってしまった。
「おーい、出てこーい」
「普通の人間と知り合うのは初めてだから許して」
「相変わらず俺を普通扱いしないんだ」
「そりゃあ…まあ勘だけど」
「それと、運びに行こう」
「…分かった」
来れるか分からないのでとりあえず俺が先行する。厨房に入った所で出てくる他の人達とすれ違った。
あ、これ強制的に会う奴だ。
もうどうにでもなれ—、俺は知ーらない。
カイさんから皿を受け取り、今まさに驚いている最中であろう食卓に…
「あれ、意外と驚かれてない?」
「【竜斬り】さんがフェリックスともう一人いると言っていたからな」
「でもなんで今まで隠れられていたんだい?」
「最初侵入した時は自分に注目集まっていたからじゃないですか?というかアルトさん言ってたんですね」
「いやあ、我慢できなかった」
「そういえば、リーダーがさん付けってアルトさん相当凄いんですね」
「知らなかったのか?」
「いや、【竜斬り】って言われてるぐらいだからすごいのは知ってましたけど、改めて」
「熱くない?」
全員が【竜斬り】さん通称…逆だ。アルトさん通称【竜斬り】さんの話に注目している中でマリアナさん一人だけナナの事を気遣っている。
確かにナナは厚着だ。言われてみれば。だからその心配はもっともだ。
実際どうなんだろう?
「熱くない、慣れてる」
かたこと。
「さあ席に、ってその子が等の構成員っすか?」
「その言い回しは聞いたことないな」
「真偽はどうあれ人見知りらしいのでそこまで注目しないであげてください」
「一言余計じゃないすか?」
「まあそれはともかく」
「そうだな、食べよう」
ナナが確h…見つかったことにより、話が長くなってしまったが、とうとう食事が始まる様だ。
「新メンバー、という事でいいのか?」
「…」
あ、喋らないのか。
「そういうわけではないと思います。今のところは加わらない側に傾いてるんじゃないですかね?」
「それは残念、すごく面白そうなのに」
あ、ナナ真顔になった。
と思ったらすぐに戻った。
「面白いとはなんだ!て感じですかね?」
ナナが頷いている。間違っていなかった様だ。
「あれ、もしかして不機嫌にしちゃった?」
「今のでは行ってくれる可能性減ったかもしないっすね」
「…ほんと?」
ナナが頷いている。ナナ話せるんじゃないの?
緊張してる感じないけど。
「ナナ、ほんとに人見知りなの?」
「遂にぼろが出た」
「は?」
「名前をばらされた」
「いやいや略称だし、それ隠したいことだったの!?」
「隠したいって程ではないけど知られたくはなかったな。他の人からしたら違和感のある名前みたいだし」
「そんなことないよ、ナナクヨウさん」
「ねええーーーー、言ったばかりじゃん」
「ゴメンウッカリ」
「わざとなんだね」
「そりゃそうだ」
「ナナクヨウ、不思議な名前だ」
そうなんだよな、日本っぽい発音なんだけど日本語っぽくはないというか
「ああ、分かった」
話をさせてみて分かった。
ナナは多分だけどそこまで人見知りじゃないし、多分不通に人と関われる。でも、多分関わりたくないんじゃないだろうか。
なんか前に同族がいないとかなんとか言ってたし、彼女の言い方だと俺もそれに該当するっぽいけどやはり実感はない。
再び朝が来る。
あの後は部位欠損治療薬を買いに行き、遂に右手も再生した。けれどそのせいで一気に貧乏になった。
そしてナナを空き部屋に押しこ…割り当て、寝た。
起きてぼんやりとしているときに、マリアナさんの声で目を覚まされた。
「フェリックス、起きて、早く」
なんだろう、部屋のドアを開ける。
「何が何だか分かんないだろうけど、取り敢えず荷物持って」
「分かりました」
急いで部屋の中から荷物を持ち出す。
「あ、そうだ。二つだけ助言を」
「どうして急に?」
「いいから」
「分かった、お願い」
「1つ、一番近くにいる人を一番気にかけてあげてね」
「よく分からないけど分かった」
「2つ、自分の事をちゃんと分かってね」
「もっと分からない、どういう意味?」
「後は、自分で考えて」
「え、あ、はい」
「さあ、早く玄関に」
玄関?
押されるままに進んでいく。
「ナナ!」
ナナがいた。今まさに出発しようとしている所をビルトの全員による足止めを食らっている様だ。
「どうしたの?」
「もう発とうと思って」
「そう?じゃあいってらっしゃい」
「フェリックスも行くんだよ」
「え?」
「嫌?」
「そうじゃないけど…」
「それならいいでしょ、もう行っちゃうよ」
「分かった、という事だから、これからもよろしく。ナナ」
なんか流れに身を任せて、という感じだからこれでよかったのかは分からないけど、何はともあれ、出発だ。
「あ、でも忘れかけてたけど昇格試験って」
「冒険者ギルドによって行けばいいよ、手続きできるから」
「ビルト誰もいなくて大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ、フェリックス君の試験だし」
「分かりました」
じゃあ次に行くところは決まった。その後は…まあ気の赴くままに、でいいかな。
「じゃあ今度こそ、行こうか」
「はーい」
到着した。今はとても静かだ。
ほとんど人はいなくて、いる人もみな若い。
俺もそこまで浮いてない。
「ナナはここで待ってて」
「はーい」
受付に向かう。
「Fランクへの昇格試験の事なんですけど」
「ビルトの皆さんから話は聞いています」
「なら?」
「はい、もう問題はありません。獲得した雑用技能も結構多いですね、ビルトの皆さんの教育はとても効果を出しているようですね」
「マリアナさんは?」
「?ああ、あのビルトのもう一人の新人さんですね、彼女ならかなり前にビルトにパーティとして正式加入しました。彼女は戦闘能力の面と最初からパーティに加入するという事で簡単に昇格しました」
「凄いなあ、流石だ」
「要件はそれだけでしょうか?」
「はい」
まだ何かの依頼を受けるつもりはないからな。
で、素材の売却が出来るのは何処だっけ?
しばらく探してついに見つけた。いや、そんな大したことしたわけではないんだけどさ。
そこで売却も済ませ、部位欠損治療薬によって空っぽになりかけていた財布に再び多少重みが取り戻された。
これでしばらくは安泰だ。よほどのことが無ければ。
「ナナ」
「やっと終わったんだ」
「そんな待ってないでしょ」
「…待ったよ」
「まあそんなことはどうでもよくて」
「ぐ」
「さ、冒険者ギルドでの作業も終わったし、次の目的地を決めなきゃね、行きたい場所とかある?」
「ない」
「奇遇だね、俺もない」
「じゃあ次どこ行くの?」
「そうだ、ナナが言ったことなさそうな場所を上げていくから行きたくなったら言ってよ」
「分かった」
「じゃあまずは…」
ふと思いついた場所を口にする。
俺が最初に行った場所、冒険を始めたのはここから
「海、水があふれるところ」
「行ってみたい!今のところ大体緑色しか見てないから。青い地面って面白そう」
「あ、でも塩水だから飲まないでね」
「そう、でも行きたい!早く行こう」
「ああ、ちょっと待って。歩いていくと遠いから馬車とかいろいろ」
「私は分からないからそういうのは全部任せるよ」
ナナがいつになく楽しそうだ。俺がそうだったようにナナも旅に向いてる性格なんじゃないかな。
「でも、ナナに手伝ってもらう事もあるかもだから」
「はいはい」
「ちょ、速い速い!歩くの速い!」
いつかまた帰ってくるまでの間の旅も、楽しくなりそうだ。
名前・種・Lv
フェリックス・人・72
攻113/30 防228+45 魔167 精192+20 俊121 器121
HP281 MP276
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装 定鋲 投擲補助
第1章第4篇独立宣言、完結です。
それと同時に第1章も完結です。
次の投稿は結構先になります。ぐだぐだと一話を長い間書いてしまっているのでしばらく先までのプロット?を書いてみて、勢いよく投稿できるようにしようと思っています。




