087 共同戦線2
22~24のサブタイトル再利用
龍を倒す。もしくは逃げ切る。帰るためにはおそらくそれしかない。
当然のことだが、とても大変だ。
「ゲアルウアアアアアア」
龍の方向とは思えないなんか汚い叫び声が戦闘開始の合図になる。
さあ、戦おう。
「おはよう」
「おはよう、よく眠れた?」
出鼻をくじかれた。
でも、起きてくれたようでよかった。これで戦力が増えた。
戦力と言えば
「ところで、気配消せるほうの人がいないんですけど戦いが終わった後の不意打ちに使おうとしているんじゃないですよね?」
「そんなわけないだろ、あいつは多分降りてこれないんじゃないか?」
「身のこなし軽そうなのに?」
「そう言われたら弁明する言葉はないが、信じて欲しい」
「そこまで言うなら疑いながらも信じますよ、どちらにせよそれしかないですし」
「ありがたい」
凄く礼儀正しくなった。
気にしなくていいか。
たん
ナナが地に降り立つ。
なぜ今
「降りるの忘れてた」
「忘れるものなんだ」
「みたいだね」
「じゃあよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」
「…どういう状況」
「それもっと早くに聞く質問」
「起きてからずっと置いてけぼりだなー」
「えーっと、逃げたら逃げた先にあいつがいて、地面割ろうとしたら思ったよりもろくて一気に崩落して竜がいたから共同戦線」
「理解させる気が見られないね」
「でもざっくり説明するならこうなる」
「んーー、じゃあとにかくあの竜を倒す。あの兵士は味方。それだけ分かれば良い?」
「そう、それでいい」
「わかったじゃあ行こう」
蜥蜴竜は眼をぎょろぎょろと動かしながら少しずつ近づいてきている。
「まず弱点及び強みを把握しよう、対策を立てるならそれが最低条件だ」
「でも具体的にどうやれば?」
「慎重にいくのならばまず観察から入るべきだろうね、体の特徴からある程度の行動は予測できる」
「そういうのは任せます。俺には出来なそうなので」
「そうか、じゃあくれぐれも死ぬなよ」
「その口調だともしかして囮ですか?」
「?違うのか?耐久戦とか得意そうだと思ったのだが」
「得意ですよ、分かりました。得意なので行ってきますよ」
「ああ、よろしく頼む」
「ナナもついてきてくれるか」
「はーい」
「待てよ、ナナがいない方が無茶できるかもしれない」
「緊急時離脱要員は入らないんだ」
「あ、欲しいです」
「じゃあ、何も問題ないね」
「そうだったね」
「じゃあ改めて」
「よろしく、ナナ」
蜥蜴の近くまでやってきた。
そういえば昔洞窟で戦ったときも蜥蜴が強敵だったな。
あの時とは大きさのスケールが桁違いだけどね。
蜥蜴のような姿であるために頭の高さは低いが、それでも俺よりは高い。
足が長めなのもあるだろうけど。
どうせ隠れたりしても見つかるだろうから正面から堂々と訪ねようじゃないか。
「こんにちは、本日は…」
本日は?えー何を言えばいいんだろう?そうだ
「本日はお日柄もよく…」
取り敢えず無計画に口に出した言葉に続きを繋げてお茶を濁した敗因だけど、なんだっけ、この後手紙の書き出しで続けようと思ったんだけど。
憶えてないな。
時候の挨拶だか何だかが入るような気がするけど。
「おーい」
ナナが呼んでる。相変わらず見た目が手ではなく完全に袋になっている手を振って。
「どうしたの?」
「臨戦態勢」
「了解」
俺があいさつしようとしている間にもう戦闘は始まっていた様だ。
龍に人語は通じないのかな、意思疎通の試みは無駄だったようだ。
どん
俺の体が吹き飛ぶ。
何が起きたか分からなかった。体の前側のどこかに何かが高速で当たったことは分かるのだが、何も見えなかったため、何が起きたのかもわからない。
「ナナ、何が起きた?」
「少し見えたけど、舌じゃない?」
「舌?」
「うん、口から何か出て戻っていったのがかろうじて分かった。だから多分舌」
「あの速度の舌だけですでに脅威じゃないか!そこまでの威力ではないけどさ」
「どんどん来るよ、ほらほら対処!」
「あーもう!まだあの人の分析町なんだから無茶ぶりはよしてくれ!」
「そんなこと言わずに」
「あとさりげなく後ろに隠れないでね、君も戦力なんだから」
「髪で援護はするから、許して」
「何もしなくても別に怒りはしないけど」
「あ、じゃあ何も」
「おいナナさん!?」
「どっちなんだか」
「こっちのセリフだよ、ここぞという時にふざけないでくれないかな?」
「分かった、さすがにやりすぎみたいだからまじめに援護するよ」
「助かる」
攻撃が速いのは舌だけではなかった。
例えば、蜥蜴がこちらを凝視した際にほぼ間無しでダメージを受けたり、
尻尾が勝手に切れて飛んできたりと、それらの攻撃がかなりの速度だ。
そのくせ動きは鈍い。実際に見たわけではないが、ここまでかたくなに動かないのなら移動能力はないのだろう。
いわば固定砲台。なら射程がどれくらいかでだいぶ脅威度が変わってくるような気がする。
とりあえず自分でする考察はここまでにして、
「もう思考はまとまりましたかー!」
「ああ、纏まった」
「うわっ」
後ろにいるものだと思っていたら真横にいた。この人もこの人で気配を消すのがうまいのか?俺に不意打ちをしたりしてるし。
まあ、あれは俺が人の気配を感じ取る方法を知らないからだけど。
「仲が良いんだな」
「あなた達も」
「…そうかもしれないが」
「本題に戻りましょう」
「そうだな、お前たちもすでに推測は立っていると思うが、あの竜は動かずにこちらを攻撃する。つまり遠距離攻撃型だ」
「ですね」
「そして、狙いは視覚に頼っているのだろう」
「それはなぜ?」
「今のように物陰に入れば攻撃されないからだ」
「ああー」
「それと射程も分かる」
どうしてだろ…あ、そっか
「最初落ちたときに攻撃されなかった」
「そう、だからあの距離は届かないという事が分かる」
「それだけですか?」
「それ以外に分かる情報はあるが、戦闘にはあまり関係ないだろうから省く」
「でもこの情報だけで攻略できますかね?」
「お前たちが遠距離攻撃が出来るかにかかっている」
「俺は無理です。『結剣』もあそこまでは伸ばせないし、それ以外でも届くスキルはないですね」
「そちらは」
「私の持ってるスキルじゃ攻撃にはならないですよ、だから意味がないと思います」
「そうか、では攻撃を封じる方法を考えよう」
「はい」
「まず舌の攻撃、これは一人攻撃を受ける囮がいれば十分防げる」
「狙いを変えたらどうするんですか?」
「狙いを変えさせない。作戦を話す」
「分かりました」
「私がまず竜に攻撃しよう、舌の攻撃を受け止めながら近づいていき、十分接近したら目を潰す。そして下の攻撃を物理的に私にしか届かないようにする、そしたら一斉に攻撃してほしい」
「分かりました」
でも、そうなるともう俺の出番はなさそうだな。
真面目そうな兵士も戦闘へ行ってしまった。
そうだ、じゃあ今のうちに
「ナナ、この短剣持っておいて」
「なんで?」
「脱出用、一度刺さると抜けにくいからこれを使って上に上って脱出する」
「それって私の髪を使ってって事?」
「そう、でも二人分の体重は耐えられ無い気もする」
「それなら私が上に行ってからフェリックスを引き上げればいいね。よし、それでいこう」
「じゃあその時はそれで」
爆発の音がする。ちょうど両目を潰したところの様だ。
「あ、行かなきゃ。ナナはそこで待ってて勝利敗北どっちでもいいから終わりそうになったら上に上がってて」
「分かった」
『結剣』が使えないから覚えておこう。いざという時に『結剣』に頼るような行動しないように。
長い距離を走っていく。
前方では真面目な兵士が舌の攻撃を受け止め続けている。
大分遅れてしまったが到着した。
「到着です!」
「頼んだ」
目の位置が微妙に高い。でも届かない位置ならこれだ!
「『毒蛇』」
眼球に着いた巨大な傷に毒蛇をねじり込む。
「ゲエイアアアアアアア」
蜥蜴が大きくのけぞる。そしてそのまま動かなくなったと思ったら
ボロボロと崩れてチリになってしまった。
なんか弱くね?
でも確かに勝利した。だけど、勝ったという事は次の戦いが始まる。そしてその戦いにおいて俺は背後を取られていて不利だ。
ナナが機転を利かせてくれたら…
「フェリックス!!」
ナナらしくない大声だ。まあ付き合い短いからナナの事を知っているとは言い難いけどそれでも意外だな。
飛んできた髪の毛を掴む。ナナが引っ張り上げてくれる。
「どこに行ったかと思ったら――こんな所とはな――」
この声は!へへへ野郎!
今まさに引っ張り上げられている俺の命綱である髪の毛に向かってへへへ野郎が落ちながら攻撃を仕掛けてきていた。
名前・種・Lv
フェリックス・人・72
攻113/30 防228+45 魔167 精192+20 俊121 器121
HP281 MP276
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装 定鋲 投擲補助
龍が弱いのは衰弱していたからです。そもそも足が異常に遅いので仮が出来ず、地下でひたすら魔力を節約しながら何とか生き延びていたような個体です。
地下に移動したのは地下の方が安全というのもありますが、何よりある理由で地下の方が魔力濃度が濃いからです。




