081 大穴観察日記1
なないろ最高ですね。凄い綺麗です。
あ、今回は未登場キャラの過去編第三弾です。
一日目
流れ着いて最初の日に偶然にも何も書いてない本を見つけた。
一人でここに流されて溢れそうになる気持ちを抑えられるものを探していたのでこの本はとても間が良いものです。この本に日記をつけていきます。でも今日はもう流され続けて突かれているのでもう休みましょう。
明日は周辺の探索をしましょう。おやすみなさい
二日目
今日は周囲の探索をします。朝から日記を開いて書こうと思ったんですけど朝だと書くことがありませんね。そうだ、周囲の探索をしながら日記をつけるのがいいかもしれません。
では出発しましょう。
もし、これを誰かが読むのなら、私と一緒に探索してるような気分で呼んでくれると嬉しいです。
辺りは一面真っ白です。とてもきれいで眩しくて目を細めてしまいます。
反対に海の側はとても暗いです。暴風が吹き荒れているようで、その暴風の中には細長い巨大な影が動いているのが見えます。他にもいろいろ飛んでるのが。私はよくあの中を流れて生きていられましたね。
それはともかくとして、こんなに白くて、こんなに眩しいのに私は全然寒くありません。それがとても不思議です。
見回しても辺りは多少の凹凸があるだけで大して特別なものは見えません。にしても広いですね、地面の城さのせいで空がとても青く見えます。
少し歩いてきました。
一つだけ特別なものを見つけました。これは…神殿ですかね?
神殿の周りをぐるりと覆う回廊の様な物が作られていて、外側は壁じゃなくて柱です。内側は壁になっていて、一周見て回りましたけれど、扉も無ければ脆い場所もなく、侵入は難しそうです。
中には何があるのでしょう?
でも不思議とこれからの私の人生に深くかかわるとても重要な建造物のような予感がするのです。
予感みたいな曖昧なものを重視するのは良くないですね、やっぱり今は考えるのはやめにしましょう。私にとって重要な物なら自然と思い出すようなことがあるはずです。
見つけました見つけました!
もう一つ凄い物を見つけましたよ!
あ、はしゃいでしまいました。
私が見つけたのはとても大きな穴です。
真っ直ぐに地面の下に続いています。橋の方から顔を出して覗いてみたのですが、穴はとても深いです。まるで奈落です。地の底まで続いているんじゃないでしょうか?
大分歩いたのでもう暗くなってきました。今までにほとんど生き物を見ていません。明日起きた後は生き物を探すのもいいかもしれません。
三日目
生き物はいません。
残念です。やっぱりそう都合よくはいかないのかもしれません。
そういえば昨日流されてから何も食べていません。
思い出すと急にお腹が空いてきました。
もう一歩も歩けません。しばらくこの大穴を眺めて過ごすことになるかもしれません。そうなるとこの日記の名前も決まりますね。
ずばり!この日記の名前は大穴観察日記です。
こんな名前を付けるならちゃんと観察しなきゃですね。
手始めに足元からですね。
足元の大穴の壁はザラザラとした壁面で、材質は一つの物からなるという物ではなくいろいろな岩があります。
下の方を眺めていると足がすくむというか少し怖くなってきました。
顔を上げます。
やはり食事を探しましょう。お腹が空いていてはまともに観察もできません。本当です。けして高くて怖いわけではありません。
では食事を探しに行きましょう。
…忘れていました。おなかがとても空いていたのでした。どうしましょう、動けません。
食事を得るために食事が必要です。
ここで私は餓死してしまうのでしょうか・
それは嫌です。
なので、やはりとにかく歩くべきなのでしょう。そうすれば食事が手に入ります。
…また忘れていました。立ち上がろうとして立ち上がれません。
もういいです。なるようになればいいのです。
四日目
機能は昼間のうちに寝てしまったようです。
空腹が本格化してきました。もう忘れることすらできません。
追い詰められてきました。
これじゃあ大穴観察日記じゃなくて空腹記録日誌です。
食事が欲しいです。
いつの間にでしょう、目の前に白い鳥がいます。
私はその鳥を見上げています。
この鳥をどう説明すればいいのでしょう?
うーん、首が短くて、大きくて、きりっとした鳥です。
鳥が足を突き出してきます。なんでしょう、これ。
鳥の足に何か引っかかってます。布で包まれたものです。
手を伸ばして取ります。私が取ったのを確認したのをきっかけにしたのかその鳥は空の彼方へ飛んでいきました。
何だったんでしょう。
早速袋を開けてみましょう。
私は今お腹が満たされています。あの鳥がくれたものは食事でした。
ちょっと原始的でしたけど十分美味しくて、私は満足です。
さてお腹も膨れたのでこの後何をするかを決めなければならないのですが
私は大穴観察でいい気がします。
もしここに住んでいるもしくは愛着があるっていう人がいたらその人には失礼ですけどここ大穴と神殿以外何もなさそうな気がするのです。
ですのでこの大穴をもう少し詳しく分析してみたいです。
そのための観察を私はこれからもし続けます。
五日目
大穴のふちで下の方を眺めてます。今までは気づきませんでしたが、大穴の横に小さなくぼみが所々にあり、そこは生き物の住処になっているようです。そこにいるのはほとんどが魔物です。
こっちにまで襲ってくることはないので安全に観察できそうです。
やった
それらの魔物は穴の壁に張り付いたり穴の中を飛んだりしています。
えー、これらの魔物は羽が生えている鳥型のもいれば、足が八本いて毛むくじゃらの大きいのもいます。正直見ていて気持ちのいいのではないです。もっと言うと気持ち悪いです。
今日は一日丸々魔物の観察に使いました。
気分が悪いです。全体的に気持ち悪いのが多かったのです。
もう今日は寝ましょう。ちょうど日も暗くなってきました。
「おい、お前。こいつは連れて行っちゃダメだって」
「でも、私の大切な子供です」
「我が子がかわいいのはみんな同じだ。だから自分の子供を守ろうとしてるんだ、その子を捨てろ」
「いやです。大切な子なんです」
「そう言ってお前は何日粘るつもりなんだよ!」
「こいつの言う通りだ!もう数か月は経ってる。湿田の影響で正確な時期は分かってないんだ。今ならまだお前は旅団に加えられる。さっさと捨てろ」
「いやと言ったらいやです」
「まあまあ、落ち着いて。一時の激情で未来を台無しにするものじゃない」
「あなたからも何か言ってください。みんな揃ってこの子の事を捨てろというんです」
「まあいいじゃないか。この子は我が子じゃないと思えばいい。君だって知ってるだろう?伝承の事を」
「伝承なんてもう曖昧なんですよ!信憑性なんてない。そんなくだらない物のためにこの子を捨てろというんですか」
「ほらほら、そんなに意地を張らないで」
「あなたまで…」
誰かの腕の中に抱えられて、その人が崩れ落ちたのを覚えてる。
泣いていたのを覚えてる。その人の涙が大きくて、顔が濡れたのを覚えてる。
今日は嫌な夢を見てしまいました。
嫌なものを見て寝ると嫌な夢を見てしまうものなのでしょうか?
…本当は、思い出したくもないのです。
あ、そうだ。忘れていました。
六日目
今日は気分を変えて魔物観察以外の事をしましょう。かといってやることがあるわけではありません。
折角ですし、周辺探索を進めましょう。
そういえば何もないだろうで終わっていました。
何もないです。今日はあいにくの天気で空は灰色の雲で覆われています。
私の気分も灰色です。
でも、地面はとてもきれいな真っ白です。
そういえばずっと地面に積み重なっているこの変なのが気になっています。なんでしょうこの白くてパラパラしているものは。
とても冷たそうですが冷たくはないのです。そして此処は何処なんでしょう。私は海に落ちて、流されました。
海に落ちる前に誰かに名前を呼ばれていたような気がします。
でも、そこから海に落ちるまでにちょっと空白があるような気もします。
考えても分かりませんね。周りの観察に集中しましょう。
とはいっても周りにも特にみる物はないのです。
そして天気も悪い。もしかしたら自然とこの天気から眼をそらしていたのかもしれません。
お母さん、元気でしょうか…私のせいで今もひどい扱いを受けていないと良いのですが…
もし、今もお母さんがひどい扱いを受けていたら、私は私の存在意義が見出せません…
は、ダメですダメです。
後ろ向きな思考はだめですね。そうならないように今歩いているというのに。さあ改めて真っ白な世界を眺めて歩きましょう。
今日は何も収穫はありませんでしたが、でも気持ちは少しでも上向いた気がします。多分、きっと…
お母さん…
もう会えないけど、また会いたいよ。
嫌だな。
私の気持ち、少しは上向けたと思ったのに




