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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
80/110

080 関所

改めてナナクヨウと名乗る少女の外見を確認しておこう。

まず上から観察していくと、フードをかぶっている、特に模様があるわけではないが、結構深くまで被っているため、右の方は半分目にかかっているような長さの前髪が少し見えるくらいだ。

目は黄緑色で、フードと顔の隙間から髪が前の方に出ている。

フードからは肩にかぶせるようなタイプの硬めの布につながっている。

何かの形に似ている気がするのだが…何だったか

まあ思い出せない物は関係ない。忘れよう。

そしてかぶせられた布のせいで片の付け根のあたりは見えないが、その布の下から服の袖が伸びている。おそらく布の下は普通の服のようになっているのだろう。しかし袖の下は普通ではない。袖の下が閉じていて、手が出せないようになっている。なぜだ、身を以て体験したことだから分かるけど手が使えないって不便でしかないのに。

そして、布地の下の体の部分は金属のバンドの様な物が巻かれている。

金属のバンドはみぞおちのあたりから腰辺りまでの長さがある筒状で、

もしこの中に余裕をもって体を入れられているのなら相当体が細いのだろう。少なくとも太っている人だったら圧力で破裂してそうだ。

流石に言い過ぎたかな?

そして金属のバンドの様な物の下からは少し膨らんだ服になっている。そのため足は服の形だけが分かる。そして靴に関してだが、これはそこまで特別なものではない。先が尖っている角角した靴だ。

そしてここまで全体の感想としては、露出面積の少なさが印象的だ。

本当に顔しか見えない。付け加えるならフードの付け根の穴から髪の毛が出ているため、それは見えるが、多く見てもそれくらいだ。

髪の毛は緑色だ。



「…」

ずっと黙っていたから沈黙が流れている。

ナナクヨウさんの方もしゃべる気はないようで前の方を歩いている。

目的地でもあるのだろうか?

「どこを目指して歩いてるんですか?」

「敬語じゃなくていいって言った気がする」

「言ってましたね」

「…」

「…」

「ライベの方向に一番近い関所に向けて」

「関所?」

「曲がりなりにも自治区を自称している所だから、いくつかの方向に関所があって、そこ以外からの越境を認めない作りになってる」

「魔術的に防いでるのか?」

「違う。見回り」

「原始的だ」

「そう、で関所の無効にどちらも関わらない緩衝地帯がある。人の手が全く加わらないからかなり密林かつ魔獣魔物の巣窟になってるから危険。それもこの自治区を守る盾にもなってる」

「詳しいね」

「そりゃあここにしばらく住んでたから」

「しばらく?」

「うん、ずっといたわけじゃなくて昔ここに逃げてきてから」

「逃げて来たんだ」

「そう、昔どこいたかは覚えてないけど多分そこに行けば分かる」

「行きたい」

「そんなわけがない」

「そうなんんだ」

「そりゃそう、当たり前。私はあそこに戻りたいとは絶対思わない」

「なんで?」

「そこは聞かないでしょ」

嫌な顔をされた。聞かれたいことではなかった様だ。

「でも、そんな不躾な人にも言えるように言うなら」

凄い嫌味を言われたよほど嫌だったんだろうな。

「私はみんなに送り出されたから」

「なるほど」

これ以上踏み込むのはさっきの経験上多分無粋なのでやめておく。

再び沈黙の中で歩く。

蝶が飛んできた。その蝶はふらふらと俺たちの前を飛んでいく。

「しっしっ」

ナナクヨウが手を振り、蝶を追い払おうとしてる。

「無視嫌いなのか?ナナクヨウ」

「嫌いというより苦手、鬱陶しい」

「それは嫌いでもあるんじゃ」

「そうかもしれない、後長いから省略していい」

「分かった」

「それと、関所に着いたら多分戦闘になる」

「なんで!?」

「逃げてくるときに竜斬りさんに足止め頼んで結構盛大に戦闘してから来たから」

「今頃情報が周りに伝わって警戒態勢になってるかもって事?」

「そう、多分歩く速度よりも情報の伝達が遅いなんてことはないだろうからね」

「何とかごまかせないものか…」

「それは無理だと思う。強行突破が一番」

「でも向こうの被害が多かったら自治区の人達怒らない?」

「そうかもしれない、じゃあ私の髪で拘束して突破しよう」

「その髪どういう原理なの?」

「…教えられない」

「じゃあいいや」



関所に着いた。

道中一応最初は様子見しようと伝えておいた。

向こうが友好的な態度だった時に戦闘態勢で臨むと関係が完全に破綻しそうだ。追っ手を向けられたりしても困る。

「こんにちはー」

笑顔で通り過ぎようとする。

半分まで通り過ぎたとき、

「おい、あいつらって人相書き出されてた奴じゃないか?」

ばれた?

「先制しておく?」

耳元でナナが囁く。

「もう少し待とう」

まだ希望はある。

事実、関所にいる人たちは二人で何か話し合っているっぽい。きっと処遇の相談をしているんだ。きっと

「他の人の気配が集まってくる」

「それって…」

「多分、相手は戦略の相談をしている」

「集まってくる人たちが武器を構えてるかとか分かる?」

「多分構えてる。形的に手の位置あたりからみんな何かが伸びてるから」

「すご、感知系なんだ」

「そうだよ、そこまで強いわけじゃないけど」

「じゃあ拘束よろしく」

「分かった、任された」



「伝達完了したか?」

「した」

「準備は完了しているか?」

「している様だ」

「ならもう行こう」

「よし、かかれー!!」

「確認とれた、これでいいよね」

「もちろん!」

「なっ」

緑色の細い影が縦横無尽に関所の内部を駆け巡る。

瞬く間に二人の兵士が捕らえられる。

しかし先制出来たのはそこまでだった。

そこから関所の内部より表れたであろう数人の兵士が俺たちを取り囲む。

今まで戦った兵士はエインの領主直属の練度の低い兵士のみだったから、

相手の練度が高かったら勝てるかは分からない。

「毒を防ぐ技能とか持ってる?」

向こうに聞こえないように小さい声で話す。

「持ってる、どういうのかにもよるけど」

「霧状になってる吸わなければいいやつ」

「それなら大丈夫」

「じゃあ防いでおいて、俺が毒を使うから」

「了解」

毒は『麻痺毒』、そして肝心の形式は、

そういえば、初使用時以来初めて使うな。これ

「『毒霧噴射』」

紫色の煙が充満し、視界を遮ると共に兵士の動きを阻害する。

いまだに麻痺毒はそこまで強くなってないから抵抗される可能性もあるが、視界を遮れている状態で境目を超えれば多分追ってこれない。

流石に誰も殺していない状態で追っ手を向けるのは向こうの大義名分が成立しないからしないだろう。

「視界塞がれるのは聞いてない」

「ごめん、忘れてた」

「それは忘れちゃいけない事」

「でも大丈夫そうだね」

「その通り、私は探索に特化してるから」

「じゃあ案内お願い」

「それはどういう意味?」

「俺も見えない」

「…」

髪の毛が俺に絡みついた。

「放さないから、落ちないで!」

「了解」

そしてナナが跳んだ。

木の枝と髪の毛を使った高速移動でどんどん関所から離れていく。

脱出に成功した様だ。


しばらく移動してからナナが立ち止まる。

「何で後先考えないのかとか言いたいことはいろいろあるけど、とりあえず関所突破だね」

「うん、ナナのおかげ、ありがとう」

「どういたしまして、でもこれからが大変だよ。だってこの先は人の手がほとんど加わってないから強力な魔獣が無数に跋扈してるから」

「怖いな」

「そのため、覚悟が必要です」

「覚悟でどうにかなるの?」

「ならない」

「じゃあ意味ないね、行こう」

「そうかもしれないけど、大丈夫?準備十分?」

「いまさらできる準備なんてない」

「それもそうか、じゃあ行こう、結構密林だから気を付けて」

「分かった、ところでなんか来たことあるような口ぶりだけど」

「それはここに逃げてきたときに通ったからね」

「その時はどうしたの?」

「一人でひたすら逃げた」

「でもどうやって自治区に入ったの?」

「シューラッドから来た人ではないっていうのが分かったらとりあえず入れようって感じで入れた」

「意外と甘い」

「そうでもないでしょ、だってシューラッドに対抗するためにはシューラッドの戦力以外全部取り込まないと拮抗すらできない。そもそもの国力とか領土の広さとか全然違うんだから」

「確かに言われてみれば」

「分かったなら進もう、ここならまだ追われるかもしれない」

「そういえばここってどっちの領土でもないんだっけ」

「そう、だからここは一応向こうも来れる。でも密林だから少しでも奥に行けば多分見つけるのは難しいと思うから」

「さっさと行こうって事だよね、了解」

「分かったならいい」

特別強い魔獣がいないために魔境には分類されていないが、それでも順魔境と言ってもいいような領域へ二人で歩き出す。

なんだかんだ言ってずっと一人にはならない。それがとてもありがたい。



名前・種・Lv

フェリックス・人・72

攻113/30 防228+45 魔167 精192+20 俊121 器121

HP281 MP276

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装 定鋲 投擲補助


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