075 見知らぬ小国
歩いていくと森が急に途切れて深い緑色に塗られた城壁が見えてきた。
何だこんな町、知らないな…
何のための緑色だろう?迷彩?でもこんな大きな都市に使って意味あるのか?
「この街って…」
「憶えてるような…憶えてないような…」
記憶力が悪いって言ってたし多分来たんだろうな、だけどあんまり覚えてないとかそんな感じな気がする。
門を探すのも一苦労だ。
どこにあるのだろう?
しばらく探してようやく見つけた。
門番も内側に隠れて覗き穴から覗いている。
「おうい、開けてくれ!」
「あ!あなたは【竜斬り】様!」
「有名人ですね」
「有名人っていいな」
「どうぞどうぞお入りください。あなたはこの国の恩人です」
やったー、アルトさんのおかげで楽に入れるー
「げふう」
進もうとしたらお腹の高さに会ったの柄がめり込む。
「どうした」
「何でもないです」
気を取り直して入ろうとしたらまた止められた。
「何で止めるんです?」
「シューラッドの者は信用できん」
「ここシューラッドじゃないんですか!?」
「ああ、その通りだ」
「さあさ、竜斬り様、お入りください」
「彼は俺の従者だ。ともに入らせろ」
「申し訳ありません、素性の分からないものを入れるわけにはいかないのです」
「それ言ったら俺だってそうじゃないのか?」
「あなた様は助けて下さったじゃないですか」
「そうだったか?」
「はい、そうですとも、我々はよく覚えています」
媚びてやがるぜ!
いや恩に応えてるだけなんだろうけど。
でもおかしいな、あの俺が落ちた川はシューラッドの中心を南北に貫くように流れてる。だとすると国外に出るには相当長い距離地下で移動しなければいけないはずだが…
そのことについて聞いてみると
「我々はシューラッドに従わない。シューラッドに反逆するのだ!」
素性のしれない者に情報提供ありがとうございます。
そういう重要な情報の統制がばがばじゃん。
統制しようとしてるのか分からないけど。
ともかくここがシューラッド内部の反政府的な組織の基地もしくは王国に反感を抱く人達の自治区であることは分かった。
自称シューラッドではない国だという事だが…
どういう事なのかはこのあともう少し詳しく調べていく必要がありそうだ。
「そっちはどうする?」
「どうするって選択肢一つなんですけど」
「そうか?」
「はい」
「少し遠くまで行って話をするか、お前の考えを聞きたい」
「了解です」
少し遠くまで来た。
「で、お前はどうするんだ?」
「俺はこの町がどういう街なのかを調べてみます。だからこの場はいったん引きます」
「入らないのか?」
「はい」
「じゃあ俺もお前に同行しようか?」
「え、いえいえそんなことしてもらわなくても大丈夫ですよ」
「どうしてだ?」
「せっかく歓迎されてるんですから、それに俺の好奇心に着き合わせるのは悪いかなって」
「そうか…まあお前がそういうならお前の意思を尊重するか、頑張れよ」
「はい」
「そういえばお前ってなんであの場所にいたんだ?」
「戦闘で川に落ちて流されて、地下水路のようなところに流れ込んで、竜の巣穴に打ち上げられたんです」
「その前は?」
「パーティと一緒に居ました」
「今はぐれちゃってるけどいいのか?」
「ライベに戻るって言ってたので帰れば多分会えると思います」
「お前が落ちたところの近くで探しているかもしれないぞ」
「あ」
「だとしたら?」
「すぐに戻らないと!」
よし、取り敢えず行動しよう。情報を集めなきゃ!
「あ、そうだ最後に聞きたいことがある」
「何ですか?」
「お前のその両手って元から無かったわけじゃないんだよな」
「はい」
「やっぱりか、なんか両手がない事に慣れていないようだったからな」
「そうですよ」
「でも、なら何で平然としているんだ?それがずっと疑問だった。治す手段はあるじゃないか」
「いつかは治るので、そんな焦らなくても良いかなって」
「いつかは…治る?」
「はい、俺の左手首あたりにある魔腺から浄属性の魔力が漏れているので、それで」
「それは多分漏れてるんじゃなくて、染めてるんだと思うぞ」
「…というと?」
「お前多分心臓の魔腺が小さいんだろ?そして左手の魔腺が大きい」
「はい、なんで分かったんですか?」
「それも含めてこれから説明する。お前の神像の魔腺は小さいから、おおもとの体内の魔力の生産能力はそこまで高くない、そこまではいいか?」
「はい」
「よく考えてみろ、だったら漏れようがなくないか?」
「あ、確かに」
魔腺は体内にある目に見えない器官だ。その仕組みは、心臓の魔腺で魔力を生産し、それを他の魔腺で染めるというやり方。
つまり、いくら浄属性の魔腺が大きくても、もともとの心臓の魔腺が小さいのであれば漏れるほどの余剰分を生産できないのだ。
「でも、だったら染めるって?」
「大気中の魔粒子はいわば魔力を包んだ袋みたいなものだからな、多分それを浄属性に染めてるんじゃないか?大きさの割にやること少なくて機能余ってるだろうし」
そういう事か。納得だ。
そしてアルトさんはそこまで行ってからふと不思議そうな顔で
「回復属性の魔腺じゃなくて浄属性なのか?」
「はい、俺の浄属性の魔腺は『再生』の方向により向いているようです」
「ん?じゃあお前って毒と浄の対になる二属性持ってるって事か?」
「はい、そうなりますね」
「じゃあ無属性魔力作ったりできるのか?」
「1回だけ偶然できました」
「まああれ難しいもんな…俺の場合心臓の魔腺から直接取り出そうとしたけど失敗したし」
「それは失敗しますよ、当然」
「そうか?」
「はい、そうです。ところで戻らなくていいんですか?」
「あ、やべえ忘れてた。じゃあまたな。俺は中にいるけど定期的に外のここに来るから助けが必要な時は来いよ」
「了解です。いろいろとありがとうございました」
「気にするな」
アルトさんは走っていった。
俺は情報と信頼を獲得するように動かなければならない。
さてどうしようか?
この近くに民家でもないかな?何かしら情報を聞きたい。
でも情報を集めるってことで言うとこの周辺に来てる冒険者の人を探すのがいいか。
でもどこにいるだろう?この周辺に素材が良い魔獣の生息地とか会ったらいいんだけどそもそもその場所も分からないしな。
困った。これが迷子の戸惑いか。
うーむ、まずは適当に散策から始めるか?分からないと血で知るための情報源が見当たらないのなら、歩いて知ることできっと見つかるかもしれないし、その過程で情報も得られる最適解だと思う。
適当に歩こう。計画的に物事を進めるのなんて無理だから。
なんか凄い暗い。いつの間にこんなことに?
確か森の中を歩いていて、だんだんと暗くなっていって、それが夜になったせいだと思ってたらいつのまにか真っ暗闇で何も見えなくなってた。
「ここまで深い森は見たことないな、まるで森そのものが闇で出来ているかのようだ」
「ご明察」
「誰!」
とっさに振り向き、後ずさる。
直後俺のいた場所にナイフが刺さる。投げナイフか。
「兄貴、言うの早いっすよ。対応されたじゃないすか」
「ほんとですよ」
「こんな暗い中を子供が一人で歩くのは危ないよ」
兄貴と呼ばれていたものが他二人よりも遅れて出てくる
「俺達みたいなのに襲われてしまうよ」
「わざわざ忠告ありがとうございます。出来ればもう少し早くにしてくれると嬉しかったなー」
「…兄貴、こいつむかつきませんか?」
「そうだね、君、生意気は言うもんじゃないよ。俺たちは気が短いんだ。殺してしまうよ」
「やってみてくださいよ!」
アルトさんが自信を持てと言っていた。だからこれもその一環、3対1でも勝利する。
「言うじゃねえかコノヤロー!」
突進、大振り。
簡単に回避!
結剣を頭上の枝に結び付け、結式・滑り蹴りの準備を整える。
隠れて下から攻撃、体を捻って回避。そして回転の勢いそのままにすれ違いざまの相手を蹴る。
「まずは一人!」
偶然にもだいぶいいところに入った。多分膝がみぞおちあたりに当たったんじゃないかな。相手の姿勢がちょうどよく低かったのが幸いした。
「調子に乗るなよ!」
どこだ?後ろ?いない。
「!」
暗闇の中からチンピラが出てくる。
相手は暗闇をうまく使ってる。まずいな
でも今を対処しないと未来もない。
落ち着いて冷静に対処しよう。まずは相手の進路を見る。
…相手はさっきの奴と違いなりふり構わずという感じではない様だ。でも、来る前にこっちが攻撃すれば!
「『毒蛇』」
まず毒蛇で相手に攻撃を仕掛ける。
相手の足止めに成功。もう一人に警戒。
足音!後ろからの不意打ち、滑り蹴りの要領で移動し、蹴りを入れる。
直前で交わされたのでそんなにいいダメージは入ってないと思うが…
ふらりと立ち上がった二人目が再び武器を構える。こちらも体勢を変えようとして…
「動かない?」
足元を見るとみぞおちあたりに蹴りが入った奴が足を掴んでいる。厄介な奴!放せ!振り払おうとしても振り払えない。
この怪力が!
「人の隠れ家を君たちの狩場にするんじゃない!」
突如暗闇の奥から_U字型に岩を加工したものが飛んできてチンピラ2名を無理矢理押し倒して地面に突き刺さり、捕獲してしまった。
「して、君は誰だ?」
名前・種・Lv
フェリックス・人・72
攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10
HP281 MP276
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装




