074 竜の専門家
竜のランク付けについても教わった。
竜のランク付けはF,Eが下竜、D,Cが上竜、B,Aが竜長
S以上が竜王、それでも竜王とすら一線を画す強さを持つ物が
竜帝因みに他にも将来的に竜王やそれ以上になりかねない個体は竜王子と呼ばれ、下竜並み、もしくはそれ以上に弱いが、将来的に強くなるために報酬は高く、冒険者の中には金の卵と呼ぶものもいる。竜の威厳どこ行った。
「でも竜は賢いからな、もし殺そうとして失敗したりしたら北方向や帰っていく方向を覚えて大人になったら街を襲いに来たりするから竜王子を攻撃する時は絶対殺さないといけない」
訂正、竜の威厳ここにあり。
「でも、実際そんな分かるもんなんですか?変える方向変えたりして対応できそうですけど」
「足跡か魔力の痕跡か分からないが何かを辿ってくるんだそうだ。実際にそういうケース町が壊滅した事件が昔から数えると数十件ある」
「竜って怖いですね」
「ああ、だがそれでも結構最近まで徹底はされてなかったんだぞ」
「そうなんですか!?」
「もちろん竜王子は殺し切ろうって言う風に言われてはいたけどな。それを徹底させるようにした事件が5、6年前の【盲目竜王】がシェキーナを襲った事件だ」
「なんか聞いたことがあるような気がするけど…」
シェキーナ…は分からないけど【盲目竜王】は確か…
「シェキーナはこの国のすぐ東に隣接している国だ」
ああ、そうか。やっぱり
「確かシェキーナの西の方のどこかにやってきた冒険者が竜王子を見つけたんだ。それでその人が見つけたのは眼の無い小さな竜だ。その竜を冒険者は倒した。竜は最初はそこまで強くないからな」
「え?でもそれじゃあ」
「だけど殺し切れてなかったんだろう。その竜にとっては一番痛かっただろうな、死ぬ寸前まで持っていかれたんだから」
「それは…竜も恨むでしょうね」
「ああ、しかも冒険者は殺したと思ってるからな。それを報告して、彼は称賛された。だから彼はそこに定住することにした」
そうか、そこに住めば自分は英雄とまではいかなくとも災害を未然に防いだ者としていられる。だけど
「だから【盲目竜王】もすぐに彼の痕跡を見つけた。それを辿りながら北へ北へと北上し、途中に会った街も集落もすべて焼き払った」
「彼を殺したって関係ない。その痕跡がある場所ならばそれ全てを焼き払った。彼の痕跡が途絶えたところを焼き払って、竜は飛び立った」
「シェキーナは、どうなったんですか?」
「シェキーナの国力は最低水準まで落ち、他の六国の侵略を受けた」
「国は残ったんですか」
「ああ、ギリギリ残った。それでも、今もシェキーナは滅亡寸前の状態から少しずつ取り戻している状況だ」
「何人くらいがその竜の襲撃を生き残ったんですか?」
「結局シェキーナの西方の住民は全滅、生還者はいなかった」
外にはそう伝わっているんだ。でもそうだよな、そりゃそんな災害があった後だ。マリアナさんは多分すぐにその場所から離れただろうし生存者が一人もいないと思われるようなことはあるだろうな。
でもそう考えるとマリアナさんはやっぱり凄い、あの状況で生き残ってるんだから。
「ところで竜のランク分けってどんな基準で行ってるんですか?」
「竜の戦力調査はそれそのものが命懸けだからな、結構大雑把なんだけど確かSランク冒険者には生存能力が高い冒険者がいて、そいつが調査してくれている」
「あれ?Sランク冒険者の中でも生存能力が高い人って魔境で死んでるって聞いたんですけど」
「それは多分先代の枠だな。冒険者ギルドにはそういう調査に便利な生存力に特化したSランク冒険者の枠があるんだ」
「そんな都合よくいるものなんですか?」
「まあでも実際いるからなー、いなくなったらどうするかは知らん」
「Sランク冒険者の枠って他にもあるんですか?」
「無いと思うぞ」
「じゃあアルトさんのランクは幾つなんですか?」
「Aだな」
「AランクでもSランクって分類の竜王を倒せるんですか?」
「SだからSの竜王を倒せるって訳でもないけどな、竜はそもそも人間より強いからランクの基準となる強さも人より竜の方が高い。だから竜のSランクはひとのSランクよりも強い」
「なおさら倒せるか気になります」
「竜への特攻と特防があれば大丈夫だぞ、まあさすがに竜王とかになると苦戦はするが」
「それでも勝てるのがすごいですね」
「そうか?苦戦程度なら逆境でも不利でもなんでもないぞ」
「凄いな、常に格上と戦い続けてる人は」
「そうか?」
「はい、でも、なんでアルトさんはそんな戦いを続けているのですか?」
「竜殺しの事か?」
「はい」
「竜を殺すってのは凄い事だ。だから有名になれるし、金銭も入ってくる。そうすれば俺の人探しがはかどる。だろ?」
「他の道もありそうなのに、わざわざ苦しい道を行くっていうのは尊敬します」
「苦しい道の方が名声は高まるんだよ」
「俺にはそんなこととても…」
「そうか?」
疑問を覚えてる?
「それにしても魔物も魔獣も出ないですね」
「竜の縄張りの中だったらこんなもんだろ」
「そうなんですか?」
「ああ、竜の縄張りの中だと魔物も魔獣も怖がっては入らない、なんせ竜は魔物の王みたいなもんだしな」
「へえー」
「だが、あれくらいの竜ならもうそろそろ縄張りが終わるんじゃないか?」
魔獣が出てきた。言ったそばから。
「ほんとに出てきましたね」
「だから言っただろ」
「では、戦いましょう」
「…そうだな、俺は見学しよう」
「え!結構な量要るから俺だけじゃ無理な気がするんですが!」
「アドバイスはする」
「でも…」
「大丈夫だ、お前ならやれる」
「両手ないんですよ、無理じゃないですか?」
「手がないなら足を使えばいいじゃないか」
「でも足での攻撃後に転びますよ」
「じゃあ転んでからすぐに起き上がる練習、もしくは転ばないように工夫するかだ」
「工夫って言われても…」
「よく考えろ、多分できる」
「ほんとですか?」
「ああ、実際俺はすでに数通りの方法を思いついている」
「まじですか!?」
「何度も言うが、よく考えろ」
「…分かりました!」
思考モードに入ろう。足を使って攻撃するとすれば転ばないようにしないといけない。転ばないためにはバランスをとる…いや、そんな抽象的なことで解決できる問題じゃない。具体的な解決策を、転ばないためには物理的に転ばないようにすればいい、そのためには体を固定する必要がある。
でも動きを阻害したら逆効果。
動きを阻害せずに体を固定する方法。多分俺が出来るのはただ一つ。
「『結剣』」
今俺にとっての短剣は錨、身近の木の幹に短剣を飛ばす。
短剣は木に深く刺さる。木の幹を周回するように走り、勢いがついてからは滑るようにして走る。
演習の外側に魔物を発見、内側の足を上げて外側の足に交代、外側の足を軸にして内側の足を回しながら上げ、回転の勢いを乗せた踵の蹴りを魔物に当てる。的が大きい、当てるの簡単!
その回転の要領で群がってくる魔物を飛ばす。
しかし俺は『結剣』の長さを変えていない。だから回転するたびに幹に巻き付いて『結剣』短くなっていき、円の半径は狭まっていく。
やがて木の幹の体が着き、そのタイミングで短剣を挟んで抜き、一度『結剣』を解除して再び接続。
肩の回転に合わせて上に飛ばし、頭上の枝に巻き付け今度は片足を軸としながら回転して足で蹴って攻撃し、攻撃した足を地につけてもう片方の足を軸にして攻撃する。
みしっ
結剣がもう切れそうだ。
一度『結剣』を接続しなおして巻き付けて法を解除する。『結剣』を巻き戻し、短剣を引き付ける。余った勢いで左手で短剣を投げ、木の幹を使った円周運動の方へと変える。開いた右手で『十頭蛇』を魔獣に向かって放つ。まあ今は5本しかないんだけど。
円周運動の限界が来て、今まで積み重ね続けた勢いを消して停止する。
勢いのあるままに短剣を引き抜き滑りながらしゃがみつつ、回転の勢いのままに動く足の高度を下げて地面につけて回転の勢いを殺しながら停止する。出来た。新しい攻撃、名付けて『結式・滑り蹴り』!
「一通り、終わりました」
「まあ殺し切れてないがいいだろう、後は俺が処理する」
「手伝わないんじゃないんですか?」
「いや、お前に少しでも自信をつけさせたいというか自分の力で戦えるようになってほしくてな」
「なんでそんなにしてくれるんですか?」
「お前が自分の力に自信が全然内容だったから見てられなくてな」
「そうなんですね…わざわざありがとうございます」
「俺はあまりお前の事を見ていないが、お前の毒の能力は凄い物だと分かる。だから」
「だから?」
「お前は強くなれるぞ、いつか共にAランクで会おう」
「はい、いつか必ず」
Aランクになってみせる。
名前・種・Lv
フェリックス・人・72
攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10
HP281 MP276
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装
はるか先に強く大きな背中が見えた。
結式・滑り蹴りでやってる事はサラスヴァティ・メルトアウトで大体わかる人はイメージ掴めると思います。
あんなきれいな姿勢じゃないですけど。




