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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
73/110

073 牙と刃は互いに焦がれる・開1

全話のシルエットが実質嘘です。

今回出てくるのはシルエット二人中一人です。


と叫んだのだ。

「ははっ、ノリがいいな。じゃあ遠慮なく!」

竜を眺めていたら俺の後ろから何かが跳び上がった。

尋常じゃない高度まで跳び上がっている。俺が怪鳥に投げ飛ばされた時と同じかそれよりも高い所まで跳んでるぞ。

竜すらもその人の事を見つめている。

「あ!」

竜が火炎を放射した。

その人に向かってだ。

天に向かって噴火と見間違えるほどの爆炎が吹きあがる。

その爆炎の中にかき消されて、その人は見えなくなってしまった。

俺は竜という存在を甘く見ていた様だ。竜というのはとんでもない力を持った存在のようだった。子の化け物じみた火力の噴火の様な通常攻撃を繰り出す相手に対して何人も勝てるわけがない。

俺は甘く見ていた様だ。世の中にはとんでもない人もいるのだ。

竜の化け物じみた火力を、さらに化け物じみた対抗策で相殺してさらに打ち勝つ、それ故に


爆炎が晴れる。その人はバリアの様な球体に包まれていた。

「は!やっぱ火力よえーな!」

その球体には罅一つ入っておらず、その人の顔には不敵な笑みが浮かぶ。

バリアがほどけていく。

現れたその人の両手には、一つずつ大剣が握られていた。

しかもその大剣はマリアナさんの使ってるものよりも巨大だった。そもそもとして大剣は片手で使うものではない。しかも先ほども言ったとおり、この大剣は通常よりもさらに大きいのだ。

しかしその手から大剣がすり抜けていく。しかしその手の構えはそのままに、その体勢はそのままに。

その人の体が加速していく。下へ下へと落ちていく。

「覚悟しやがれ、貴様は今落ちる」

ダン

竜の背中に無手の男の人が着地する。大剣は空中に取り残されている。

その人が手を振った。

空中に取り残された大剣がさっき落ちた人の速度よりも速く落ちていく。

大剣は加速の果てに見えなくなった。

目を凝らして俺がその大剣を見ようとしている間に

竜の両翼が切断された。

「グウイイアアアアア!!!」

竜の叫びがこだまする。翼を斬られた竜は天空から落ちる。両翼を切断した大剣二つを掴みなおし、その背中を蹴ってこちらへ降りてくる。

その姿は強く目に焼き付いた。



「よう、改めて大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます」

「良いって事さ、それより…」

「はい」

「会ったことあったか?」

「はい!」

「そっかー。まあいいや、どっちにしろ名乗るからな」

「お願いします」

「俺は中央大陸四大竜殺しの一人【竜斬り(ドラゴンクラッシャー)】名前は…確かアルトだ。」

「確か?」

「ああ、昔俺は記憶を失ってな、それ以来記憶が曖昧なんだ」

記憶喪失してから記憶力が低下したって事か?そんなこともあるのか。

「何も覚えてないんですか?」

「いや、憶えていることが二つある。一つはなんとなく、もう一つはしっかりと?」

「その二つっていうのは?」

「一つは俺の名前だ。苗字はもう思い出せないけど、名前だけはぼんやりと憶えてる。なんでかは…多少見当がつくけどな」

「その理由って聞いても良いですか?」

「それは今から言う「もう一つ」と関係があるから待ってろ」

「はい」

もう一つ、なんだろ?普通に考えれば言葉なんだと思うけど…

「もう一つは、記憶にずっと残ってる影なんだ。その影自身の強い光に照らされて顔も見えないし、名前も思い出せないけど、思い出だけはずっと聞こえるんだ」

「影?」

「多分、俺の大事な人なんだ。でも、声しか聞こえないんだ。思い出の背景もなんだかぼやけてて…声も頼みの声もほとんど遠くで聞こえてて…」

「ほとんど、ですか?」

「そういえば、お前にさっきは嘘をついた」

「え?」

「俺はその誰かの影しか覚えてないんだよ」

「でも、名前は憶えてるって…」

確かにぼんやりとだ、とは言ってたけど。

「でもな、俺の名前だってその影が教えてくれるんだ。その影がいつも俺に名前を呼び掛けてくるんだ。」

今気づいたけど顔が泣きそうだ。声も凄い悲しそうだ。さっきまで不敵に笑って竜を切り倒していた人とは別人の様だ。

「懐かしいんですか?」

「分からないんだ。でも、もう一度会いたい。それだけは分かる」

「姿とか思い出せますか?」

「思い出せないんだ。こんなに眩しいのに」

「どんな人だったかは?」

「それも、同じだ」

「そうですか…」

「聞いても良い事なんてないぞ」

「助けてもらったので、お礼として探そうかなって」

「それは無謀だ。俺の憶えている最後の思い出はその人が上ににいて、視界が青に塗りつぶされて行くんだ」

「それって」

「ああ、多分俺は海に落ちた。そこで記憶は途切れてるから多分そ戸で記憶を失ったんだと思う」

「…」

「次に目覚めたときにはもうこの国の海岸に打ち上げられた後だった」

「そこからアルトさんの生人探しが始まったんですね」

「そうだ、どこに行けばいいのかもわからない。どんな人だったのかもわからない、名前も、姿も。」

「はい」

「それでも、そんな絶望的な人探しでも、俺は見つけたいんだ。絶対に」

それは、つまり

「それほどに眩しいんだ」

「……あの、俺これから世界中を冒険しようと思ってるんですけど、やっぱり、あなたの人探しを手伝います」

「ありがとう、でもどうしてだ」

「…どうしてでしょう?分からないんですけど、なんかそう思って」

「そうか、なら素直に感謝しなくてはだな」

「え、あ、いえ、ただのお礼ですので」

「それなら俺もただのお礼だ」



歩きながらいろいろなことを話した。

あの両手剣だが、同じものを二つ作ってもらったらしい。もともとは予備として使っていたが、ある日片手で一本持てることに気付いてからは良く片手持ちの二本装備をしているそうだ。そしてこの両手剣には竜に対する特攻効果を持っているらしい。特攻って概念まであるんだ…

因みにあの全方位バリアは鎧に刻まれているスキルらしく、その鎧には竜に対する特防効果があるらしい。

そのおかげで竜の火炎放射はほとんど効かなかったという事だ。

何だそういうからくりか。

しかもそれに加えてあの竜はそこまで強くなかったらしい。

竜も冒険者ギルドの方と同様に強さでランク分けされているそうなのだが、あの竜はDランク程度の実力であり、分類としては上竜という区分になるそうだ。

「最近B以上の個体に出会えてないんだよなー、このままじゃスライサーの奴に負けるぞ」

「スライサー?」

竜殺しの一人だとして、確かに四人の内訳は…

【竜狩り】【竜斬り】【竜砕き】【竜喰い】だったはずだ。

その中でありそうなのといえば【竜斬り】なのだが…

それは今目の前にいるし、読みはクラッシャーだと判明している。

てかなぜクラッシャー、スラッシャーとかじゃないのか。

竜殺しの四人は読み取文字が一致していないかもしれないな。

「他にはどんな読みがあるんですか?」

「確か…イレイサーとスレイヤーだな」

「どれが誰だ…?」

イレイサーは俺の予想だと竜砕き、スレイヤーに関しては全員当てはまるんじゃないかって思うから分からない。

そうなるとスライサーは喰いか狩りかになる。流石に喰いがスライサーはないと思うからスライサーは竜狩りだろう。消去法で喰いはスレイヤーになる。にしても竜喰いは何をしたらそう呼ばれるようになった?ほんとに竜を食べてたのか?だとしたらどんだけ歯が頑丈なんだよ…

「確かに分かりにくいかもな【竜狩り】がスライサー」

やっぱりね、知ってた

「【竜砕き】がスレイヤー」

やっぱり…じゃなかった、外れだ。という事はもう一つも外れな訳で…

で【竜喰い】がイレイサーだな」

「どういう基準だ?」

「俺にも分からない。けれど文字の方が倒す過程を、読みの方が結果を表しているらしい」

「じゃあ【竜狩り】さんと戦った竜は薄切りにされるんですか?」

「確かにされていたな」

恐ろしいな

「【竜砕き】さんは、分からないけど【竜喰い】さんは食べて消すんですか?」

「見たことがないから分からないな」

「全員を面識があるわけではないんですね」

「それは難しいな、特に【竜砕き】なんかは北東の砂漠地帯にいるから会いにくいからな」

「?北東の砂漠地帯は行きにくいんですか?」

「ああ、あそこは年中砂嵐が吹いている。それに加えて時々強い風が海岸へと抜けていって死者や行方不明者を出して過ぎ去る。しかも魔物が大量にいる危険地帯だ」

「そんな大変なところにいるんですね。故郷だから離れたくないんですかね?」

「いや、離れられないんじゃないか?」

「え?」

「…お前は何も知らないんだな」

「すいません」

「まあいいや、砂漠地帯で生まれた人間は砂漠地帯から出られないんだよ」

「!なんでですか?」

「さあ?俺も詳しくないのでよく分からないが、神罰だと言われたりするな」



名前・種・Lv

フェリックス・人・72

攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10

HP281 MP276

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装


アルトさんは金髪の男性で、がっしりとした体格の大人です。年齢不明。冒険者となり戦っている理由はすべて人探しというただ一つの事のため。

今回のサブタイトルの候補のもう一つは、絶望的な人探し、でした。

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